ニューヨーク 街並み

ニューヨーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/28 00:22 UTC 版)

街並み

建築

エンパイア・ステート・ビルディングはニューヨークの象徴の一つであり、かつては世界一高いビルであった。
ニューヨークの伝統的な高置水槽

ニューヨークの建築を何よりも特徴づけるのが、超高層ビルである。超高層ビルの出現と広がりによって、ニューヨークはヨーロッパ的な低層建築の街から、建物のそそり立つビジネス街へと変貌した。2008年8月現在、ニューヨークには高層ビルが5,538棟あり[67]、200メートルを超える高層ビルで、完成済みのものは50棟ある。この数はアメリカ国内で1位であり、世界では香港に次いで2位である[68]

ブルックリン、ベッドフォード・スタイベサント地区のロウハウス(長屋建住宅)

ニューヨークには、さまざまな様式の、建築的に優れた建物が数々ある。1913年に建てられたウールワースビルは、初期のゴシック・リヴァイヴァル建築による高層ビルであり、大ぶりに設計されたゴシック様式の装飾は、200メートル近く下の路上からも読み取ることができる。1916年のゾーニング条例により、街路に日光が届くよう、新しく建てられる建物にはセットバックが必要とされ、敷地面積に対する高さの比率が制限された[69]。1930年のクライスラー・ビルディングは、アール・デコ調のデザインで、上部が上に向かって細くなっており、スチール製の尖塔が立っているが、ゾーニング条例の要件を反映したものである。61階目の角にある鷲の頭のレプリカや、尖塔の下にあるV字型の照明など見事な装飾から、多くの歴史家や建築家から、ニューヨークのもっとも優れた建築であると評価されている[70]。アメリカにおけるインターナショナル・スタイル建築の例として、大きな影響を与えたのが、1957年のシーグラム・ビルディングであり、前面には、建物の構造を表すブロンズ材のIビーム(I字梁)が外部から見えるようになっている。2000年の4 タイムズスクエアは、アメリカの超高層ビルの中ではグリーン・デザインの重要な一例である[64]

都心の建物が高層化するにつれ、水圧を確保するために屋上に貯水槽(高置水槽)を設置するようになった。現代でも耐久性、難腐敗性に優れたヒマラヤスギで作られた伝統的な高置水槽を載せた給水塔が1万基以上設置されている[71]

ニューヨークの大規模住宅地は、エレガントな褐色砂岩のテラスハウスタウンハウス、そして1870年から1930年にかけての急開発期に建てられた粗末な集合住宅と境界が分けられることが多い[72]。1835年のニューヨーク大火後、木造建築の建設が制限されるようになってからは、おもに石とレンガが建築材として選ばれるようになった[73]。何世紀にもわたって町自身の石灰岩の地盤から建築材を得ていたパリとは異なり、ニューヨークはいつも広範囲の採石場から建築材を運び入れており、その石造建造物は多様な石理や色相を示している[74]。市の建造物の多くに見られる特徴は、屋根の上に木造の給水塔があることである。1800年代のニューヨークでは、6階より高い建物には給水塔を設置しないと、低い階で過度に高い水圧をかけなければならず、そうなると市の水道管に破裂の危険性があったのである[75]。1920年代には、中心部から離れた地域で、田園都市が盛んになった。地下鉄の伸張でアクセスしやすくなった、クイーンズ区のジャクソン・ハイツもそのひとつである[76]

公園

セントラル・パークは、アメリカ合衆国の中でもっとも来訪者の多い都市公園である[77]

ニューヨーク市には、110km2以上の市営の公園と、23キロの公共の砂浜がある[78][79]。これに加えて、国立公園の一部で市域内に入っている、何km2にも及ぶゲートウェイ・ナショナル・リクリエーション・エリアがある。ジャマイカ湾野生生物保護区は、国立公園の中で唯一の野生生物保護区であるが、36km2以上の湿地島と水域からなり、ジャマイカ湾のほとんどを占めている。

マンハッタンのセントラル・パークは、フレデリック・ロー・オルムステッドとカルヴァート・ヴォークスによって設計され、毎年3,000万人が訪れ、アメリカでもっとも来訪者の多い都市公園である。セントラル・パークの大部分は天然のものに見えるが、実は、ほとんどすべて造園されたものである。天然に見えるいくつかの、長大なウォーキング・コース、乗馬道、2つのアイススケート・リンク(うちひとつは7月、8月はスイミング・プールとなる)、セントラル・パーク温室園、野生生物保護区、広大な自然林、43ヘクタールに及び37億リットルの水を貯めている貯水池とそれを取り囲むランニング・トラック、デラコート・シアターと呼ばれ「シェークスピア・イン・ザ・パーク」夏の祭典が行われる野外劇場がある。屋内施設には、ベルベディア・キャッスルと自然センター、スエディッシュ・コテージ・マリオネット・シアター、歴史のあるメリーゴーラウンドがある。そのほか、大小多数の草地があり、その一部はスポーツで使われたり、静穏区域として区画されたりしており、囲いつきの子どもの遊び場もいくつもある。

セントラル・パークには固有の野生生物がおり、特に春・秋には渡り鳥のオアシスとなっている。バード・ウォッチャーたちも多く集まっており、常時200種の鳥が見られる。公園内の10キロにわたる道路は、特に自動車の通行が禁止される週末と午後7時以降、ジョギング自転車、インライン・スケートなどに使われている。

ブルックリンのプロスペクト・パークも、オルムステッドとヴォークスによって設計されたものである。36万m2の草地が広がる[80]。クイーンズ区のフラッシング・メドウズ・コロナ・パークは市で3番目に大きい公園で、1939年の万国博覧会および1964年の万国博覧会の会場となった。ブロンクスの5分の1以上、28km2は公共スペースと公園に当てられており、ヴァン・コートランド・パーク、ペルハム・ベイ・パーク、ブロンクス動物園ニューヨーク植物園がある[81]

マンハッタンにはセントラル・パークおよび複数の小規模の緑化地区・公園があるが、商業エリアの再開発などで公共用途の土地確保が困難な地区である。最近の例では、かつての高架鉄道(すなわち、空中にある構築物)の跡地を緑化し公園として整備したハイライン[82]など、地表面の土地を利用しない公園整備の事例がある。

行政区

ニューヨーク市の行政区要覧
領域 人口 面積
行政区 (2010年4月1日
国勢調査
mi² km²
1. マンハッタン ニューヨーク 1,626,159 23 59
2. ブルックリン キングズ 2,592,149 71 183
3. クイーンズ クイーンズ 2,296,175 109 283
4. ブロンクス ブロンクス 1,418,733 42 109
5. スタテンアイランド リッチモンド 472,621 58 151
ニューヨーク市
8,405,830 303 786
19,651,127 47,214 122,284
出典: アメリカ合衆国国勢調査局[83][84]
ニューヨーク市の行政区

ニューヨーク市は、5つの行政区(borough)からなるが、アメリカでは珍しい政治形態である。各行政区は、ニューヨーク州の各(カウンティ)の領域と一致する。そして、各行政区には、何百もの地区(ネイバーフッド)があり、それぞれ独自の歴史や地域色を持つ。

もし各行政区が独立都市であったとすれば、うち4つ(ブルックリン、クイーンズ、マンハッタン、ブロンクス)はアメリカ国内でもっとも人口の多い都市10位以内に入ることになる。

マンハッタン区(ニューヨーク郡、人口1,585,873人)[3]
マンハッタンはもっとも人口密度の高い行政区であり、市の多くの超高層ビルが建ち並ぶとともに、セントラル・パークもここにある。市の経済の中心地であり、多くの大企業、国際連合、多くの高名な大学、また多数の博物館、ブロードウェイ劇場街、グリニッジ・ヴィレッジマディソン・スクエア・ガーデンなど数々の文化施設がある。マンハッタンは、大まかにロウアー・マンハッタンミッドタウンアッパー・マンハッタンに分かれる。そのうちアッパー・マンハッタンは、セントラル・パークを境にアッパー・イースト・サイドアッパー・ウェスト・サイドに分かれ、セントラル・パークの北はハーレムである。マンハッタンへの主要空路のひとつであるニュージャージー州ニューアークニューアーク・リバティー国際空港からは、鉄道・バス・タクシーなどでアクセス可能であり、特に鉄道によるアクセスは、ニューヨーク・ペンシルベニア駅が7番街にありマンハッタン側の始終点である。
ブルックリン区(キングス郡、人口2,504,700人)[3]
ブルックリンは、もっとも人口の多い区である。1898年までは独立した市だった。文化的、社会的、民族的な多様性、独自の芸術活動、個性ある町々(ネイバーフッド)、ユニークな建築の伝統などで知られる。またマンハッタン以外では、はっきりしたダウンタウン地区を持つ唯一の行政区である。長い海岸線と、コニーアイランドを有し、ここでは1870年代にアメリカ国内でも先駆けて遊園地として造成された[85]
クイーンズ区(クイーンズ郡、人口2,230,722人)[3]
クイーンズは、最大の面積を持つ区であり、アメリカでもっとも多様な民族が住む地域である[86]。近年の成長により、人口がブルックリンを追い越す可能性もある。古くは、オランダ人によって建設された小さな町や村の集まりであったが、今日では大部分に住宅が広がる中産階級の地域となっている。アフリカ系アメリカ人の年収の中央値(メディアン)は約5万2,000ドルであり、白人よりも高いが、そのような地域はアメリカ国内の大きな郡としてはここだけである[87]ニューヨーク・メッツの本拠地であるシティ・フィールドがあるほか、毎年、テニスの全米オープンが行われる。また、ニューヨーク都市圏の3大空港のうち2つ、ラガーディア空港ジョン・F・ケネディ国際空港がある。北西部のアストリア、ロングアイランドシティは近年マンハッタンからの移住者が多い。アーティスト、ミュージシャンも多数。PS1, Isamu Noguchi Museum, Kafman Studioなど芸術の色が強い。
ブロンクス区(ブロンクス郡、人口1,385,108人)[3]
ブロンクスは、ニューヨーク市最北部の行政区であり、ニューヨーク・ヤンキースの本拠地ヤンキー・スタジアムがあり、アメリカ最大のコーポラティブハウスであるコープ・シティーがある[88]。マンハッタンのマーブルヒルと呼ばれるごく一部の地域を除けば、ブロンクスは、ニューヨーク市の中でアメリカ本土とつながっている唯一の地域である。ブロンクス動物園は、都市圏の動物園としてはアメリカ国内最大であり、広さは1.07km2に及び、6,000頭以上の動物がいる[89]ラップヒップホップ文化誕生の地でもある[19]
スタテンアイランド区(リッチモンド郡、人口468,730人)[3]
日本語では「スタテン島」と表記されることもある。5つの行政区の中でもっとも郊外に位置する。ブルックリンとはヴェラザノ・ナローズ・ブリッジでつながっており、マンハッタンとは無料のスタテンアイランド・フェリーで結ばれている。スタテンアイランド・フェリーは、自由の女神像エリス島、そしてロウアー・マンハッタンの最高の眺めを楽しむことができるため、観光客には非常に人気がある。スタテンアイランドの中央部には25km2のグリーンベルトがあり、約56kmのウォーキング・トレイルが設けられており、市内最後の天然林の一つがここにある。グリーンベルトは、1984年、島の自然を保護するために指定され、7つの公園からなる。サウス・ビーチ沿いのFDR遊歩道は長さが4キロあり、世界で第4位である。



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