ティグラト・ピレセル3世 聖書の記述

ティグラト・ピレセル3世

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/09 00:06 UTC 版)

聖書の記述

前8世紀におけるアッシリア帝国の中心部分。紀元前783年にアダド・ニラリ3世が死んだ後、アッシリアは不安定かつ衰退の時代を迎え、かつての属国と進貢国に対する宗主権を失った。
ティグラト・ピレセル3世によるイスラエルの征服と強制移住を示した地図。ティグラト・ピレセル3世は帝国中の何千人もの人々を強制移住させて、アッシリアに対する反乱の意欲を失わせた[17]

聖書には、ティグラト・ピレセル3世(聖書においては「プル」)がイスラエル王メナヘムに1000キカルの銀を要求し(列王記下15:19)、その後、ペカの時代に攻めてきて住民を連れ去った(列王記下15:29)ことが記されている。

ペカはユダ王アハズ(ヤフ・アジというアッシリア名でも知られる)に対抗するため、アラムの王レツィンと同盟した。アハズはこれに対応するためにアッシリア王に神殿の金銀を提供して支援を求めた。ティグラト・ピレセル3世は素早く反応した。最初に彼は、軍を地中海東岸沿いに南下させ、エジプトに至る道中にある街々を占領した。これは、敵が海に出る道をふさぐものだった。この作戦が完了すると、彼は北イスラエル王国に戻り、その軍を壊滅させ、ルベン族、ガド族、マナセ族の人々をヘラ、ハボル、ハラ、ゴザン川へと強制移住させた(歴代誌上5:26)。その後、ティグラト・ピレセル3世は、ペカの代わりにホシェアを北イスラエル王にした(治世紀元前732~723年)。彼はさらに北と西に進んでアラムを荒らし、ダマスカスを奪い、アラムの王レツィンを処刑し、生き残った住民をキルに強制移住させて(列王記下16:9)、この大規模な遠征を終えた。

これ以外に、ユダ王アハズがアッシリアとの同盟から得た利益はなかった(歴代誌下28:20)


  1. ^ a b Lendering, Jona (2006). The Assyrian King List. Livius.org.
    (オランダの歴史学者ヨナ・レンダリングが開設しているウェブサイトLivius.org 『アッシリア王一覧』)
  2. ^ Tadmor 1994, p. 29.
  3. ^ Healy 1991, p. 17.
  4. ^ ブリタニカ百科事典『メソポタミアの歴史』から、Tiglath-pileser III and Shalmaneser V(ティグラト・ピレセル3世とシャルマネセル5世)
  5. ^ Howard 2002, p. 36.
  6. ^ Schwartzwald 2014, p. 24.
  7. ^ Chisholm 1911, p. 968.
  8. ^ Jones 2004, p. 150.
  9. ^ Nemet-Nejat 1998, p. 38.
  10. ^ Kaufman 2007, pp. 7–26.
  11. ^ Katherine 2018, p. 20.
  12. ^ Shafer 1998, pp. 32–33.
  13. ^ 大英博物館収蔵の壁画” (英語). The British Museum. 2021年8月16日閲覧。
  14. ^ Luckenbill 1927, p. 84.
  15. ^ a b Roux 1992.
  16. ^ Tadmor 1994, p. 43.
  17. ^ Healy 1991, p. 21.


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