ジョーン・ロビンソン ノーベル経済学賞について

ジョーン・ロビンソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/04 03:23 UTC 版)

ノーベル経済学賞について

ロビンソンは、14年間にわたって何度かノーベル経済学賞の受賞候補に挙がったが、受賞することなく1983年にこの世を去った[10]。ロビンソンは、政治色が強過ぎるため、受賞を辞退する恐れがあったために、経済学賞受賞を逃したと一部で憶測された[10]。選考委員会の委員長を務めたアサール・リンドベックは「賞を辞退する恐れもあったし、脚光を浴びる機会に乗じて主流派経済学を批判する可能性も考えられたからである」と述べている[11]

語録

  • 「経済学を学ぶ目的は、経済問題に対する出来合いの対処法を得るためではなく、そのようなものを受け売りして経済を語る者にだまされないようにするためである」
  • 「均衡の経済学は、モーラックの如く経済学徒を次から次へと生贄としてきた」
  • 「縮尺1/1の地図は要らない(役に立たない)」(現実は複雑なので、単純化したモデルを用いた分析は非現実的で意味がないという批判に対して)
  • ヒトラーは、ケインズが失業はなぜ起こるかを説明し終えたときには、すでに失業の解決策を発見していた[12]
  • 信条としてのマルクス主義は、歴史においてきわめて重要な役割を演じてきたし、また演じつつある。他の信条と同様、それはその追随者たちに英雄的な献身を呼び起こし、彼らがぞっとするような罪を犯すのを許している。」「問題は、マルクス主義たちが、他の多くの哲学者たちのように方法教義に変えてしまったことである。」「ある方法がドグマに変形するや否や、それは根本的に衰退してしまう。」[13]

参考文献

  • G.C.ハーコート/プリュー・ケール『ジョーン・ロビンソン マクミラン経済学者列伝』、小谷野俊夫訳、一灯舎、2021年
  • 小宮隆太郎『ジョーン・ロビンソン「現代経済学」の解剖――批判的コンメンタール』、日本経済新聞社、1979年
  • 宇沢弘文「ジョーン・ロビンソンの経済学」、『経済学の考え方』pp.170-185、岩波新書、1989年
  • 根井雅弘「間奏曲4 J.イートウェル」、『異端の経済学』pp.155-163、筑摩書房、1995年
  • 根井雅弘 『経済学のことば(講談社現代新書)』講談社、2004年11月。ISBN 978-4061497542 

関連項目


  1. ^ a b Mathematics Genealogy Projectを参照。
  2. ^ ロビンソン』 - コトバンク
  3. ^ 根井 2004, p. 151.
  4. ^ 「An Essay on Marxian Economics(マルクス経済学についての一試論)」(1942),「マルクス主義経済学の検討」(1955) 「マルクスとケインズ」(1948) :『資本理論とケインズ経済学』 p69-83.「労働価値論」(スウィージー編「論争マルクス経済学」書評、1950):『資本理論とケインズ経済学』 p84-91.「マルクス主義の何が生き残るか」 (1957):『資本理論とケインズ経済学』 p.106-116.
  5. ^ 竹本司朗 「マルクス主義批判 」經濟學論叢 24巻4-6号、1976,同志社大学経済学会、p276-298,松嶋敦茂「パレートのマルクス経済学批判」彦根論叢, 第213号, pp. 145-169,滋賀大学経済学会,1982年.
  6. ^ 鈴木重靖ロビンソンとマルクス: 価値および剰余価値論を中心として」立教経済学研究49(4),1996,p1-22.
  7. ^ 小谷野俊夫(訳)、G. C. ハーコート、プリュー・ケール 『ジョーン・ロビンソン (マクミラン経済学者列伝) 』、一灯舎、2021年、p365.
  8. ^ 橘木俊詔 『朝日おとなの学びなおし 経済学 課題解明の経済学史』 朝日新聞出版、2012年、154頁。
  9. ^ 根井 2004, pp. 152–153.
  10. ^ a b トーマス・カリアー 『ノーベル経済学賞の40年〈上〉-20世紀経済思想史入門』 筑摩書房〈筑摩選書〉、2012年、23頁。
  11. ^ トーマス・カリアー 『ノーベル経済学賞の40年〈上〉-20世紀経済思想史入門』 筑摩書房〈筑摩選書〉、2012年、23-24頁。
  12. ^ J.ロビンソン『資本理論とケインズ経済学』 ポスト・ケインジアン叢書 山田克巳訳、日本経済評論社、1988年,p315.
  13. ^ ロビンソン「マルクス主義の何が生き残るか」 (1957):『資本理論とケインズ経済学』山田克巳訳、日本経済評論社、1988年 p.106-116.


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