ジョセフソンコンピュータ RSFQ論理回路

ジョセフソンコンピュータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/06 04:53 UTC 版)

RSFQ論理回路

第2図 RSFQ論理回路の動作波形

動作原理

RSFQ論理回路は、多段に接続された超伝導ループの中の磁束を転送していくことによって情報の伝達、演算を行う論理回路である。隣り合う2つの超伝導ループには1つのジョセフソン接合が共有されており、磁束は接合を通過して転送されていく。この時、接合の両端に電圧パルスが発生することから、RSFQ論理回路は電圧パルスの有無を論理状態の"0"、"1"に対応させる回路とみなすこともできる。第2図はRSFQ論理回路の電圧波形である。まず回路全体に電圧パルスからなる周期的なクロックを導入する。クロックパルスとクロックパルスの間の時間がデータの待ちうけ時間であり、この間にデータパルスが到着すれば"1"の入力、到着しなければ"0"の入力とみなす。これらパルスの振幅と時間幅は

の関係を満たし、典型的な値はそれぞれ0.5 mV、5 psの程度である。パルス幅から、RSFQ論理回路の上限クロック周波数は100 GHz程度と考えられている(Nb系接合の場合)。また、ゲートあたりの消費電力はナノワットのオーダーであり、電圧モード論理回路よりもさらに低電力動作が可能である。


  1. ^ 2010年代に入って、D-Waveなど、極低温素子を利用した実用機の稼働例が見られるようになってきたが、同機について学界でもまだ懐疑論が見られる状況である。
  2. ^ J. Matisoo, Appl. Phys. Lett., vol. 9, 166(1966).
  3. ^ S. Kotani, T. Imamura and S. Hasuo, IEEE J. Solid-State Circuits, Vol. 25, 117 (1990).
  4. ^ H. Nakagawa, I. Kurosawa, M. Aoyagi, S. Kosaka, Y. Hamazaki, Y. Okada and S. Takada, IEEE Trans. Appl. Superconductivity, Vol. 1, 37 (1991).
  5. ^ K. Nakajima, Y. Onodera and Y. Ogawa, J. Appl. Phys., Vol. 47, 1620 (1976).
  6. ^ K. K. Likharev and V. K. Semenov, IEEE Trans. Appl. Superconductivity, Vol. 1, 3 (1991).
  7. ^ A. Fujimaki, M. Tanaka, T. Kondo, T. Kawamoto, Y. Yamanashi, N. Nakajima, A. Akimoto, N. Yoshikawa, H. Terai, S. Yorozu and Y. Hashimoto, Extended Abstracts of the 2004 International conference on SSDM, 140 (2004).
  8. ^ T. Van Duzer and C. W. Turner, "Principles of Superconductive Devices and Circuits", Elsevier North Holland, Inc.
  9. ^ M. Jeffery, W. Perold and T. Van Duzer, Appl. Phys. Lett., Vol. 69, 2746 (1996).
  10. ^ S. Kotani, N. Fujimaki, T. Imamura and S. Hasuo, IEEE International Solid-State Circuits Conference, Dig. Tech. Papers, Vol. 31, 150.


「ジョセフソンコンピュータ」の続きの解説一覧




ジョセフソンコンピュータと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ジョセフソンコンピュータ」の関連用語

ジョセフソンコンピュータのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ジョセフソンコンピュータのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのジョセフソンコンピュータ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS