ジュール 歴史

ジュール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 07:19 UTC 版)

歴史

CGS単位系におけるエネルギーの単位として、1882年にエルグ(erg)が導入された。同年8月、イギリス科学振興協会の会長に就任したカール・ウィルヘルム・シーメンス英語版は、その就任演説にて、熱量の単位として「ジュール」の導入を初めて提唱した。シーメンスが提唱したジュールは、「1オームの電気抵抗に1アンペアの電流を1間流した時に発生する熱量」というもので、107エルグに等しいとされた。ジュールという単位名称もシーメンスがこのとき提唱したものだが、名祖のジェームズ・プレスコット・ジュールは、当時引退はしていたが存命だった。

このような熱量の単位がもし許容されるなら、それは熱力学の発展に貢献した彼の名を取ってジュールと呼ぶべきだろうと思う[注釈 3]

1889年8月31日の第2回国際電気会議にて、電力の単位ワット(watt)、インダクタンスの単位クワドラント(quadrant)(後にヘンリー(henry)に改称)とともにジュールが正式に採用された[11]。名祖のジュールは同年10月11日に亡くなった。1893年の第4回国際電気会議において、従来と現示方法が異なる「国際アンペア」と「国際オーム」が定義され、ジュールも、これらから組み立てられる「国際ジュール」となった[12]

1935年、国際電気標準会議(国際電気会議の後継)においてジョヴァンニ・ジョルジが提唱したジョルジ単位系が採用され、ジュールは磁気定数に基づいて再定義された。ジョルジ単位系は1946年に国際度量衡委員会で承認され、現行の国際単位系(SI)の元となるMKSA単位系となったが、この際に国際度量衡委員会はジュールを「1メートルの距離で1単位の力[注釈 4]が行う仕事の単位」と定義した[13]。1948年の第9回国際度量衡総会でこの定義が採択された。またこの際に、熱量の単位としてもジュールを使用するものとし、それまで熱量の単位とされていたカロリーが正式に廃止された[14]


注釈

  1. ^ カロリーは非 SI 単位。
  2. ^ 温度上昇によって水の熱容量が変化しない場合。
  3. ^ "The unit of heat has hitherto been taken variously as the heat required to raise a pound of water at the freezing-point through 1° Fahrenheit or Centigrade, or, again, the heat necessary to raise a kilogramme of water 1° Centigrade. The inconvenience of a unit so entirely arbitrary is sufficiently apparent to justify the introduction of one based on the electro-magnetic system, viz. the heat generated in one second by the current of an Ampère flowing through the resistance of an Ohm. In absolute measure its value is 107 C.G.S. units, and, assuming Joule's equivalent as 42,000,000, it is the heat necessary to raise 0.238 grammes of water 1° Centigrade, or, approximately, the 11000th part of the arbitrary unit of a pound of water raised 1° Fahrenheit and the 14000th of the kilogramme of water raised 1° Centigrade. Such a heat unit, if found acceptable, might with great propriety, I think, be called the Joule, after the man who has done so much to develop the dynamical theory of heat."Carl Wilhelm Siemens, Report of the Fifty-Second Meeting of the British Association for the Advancement of Science. S. 6 f.
  4. ^ 「ニュートン」のことだが、当時はまだ固有の名称がなかった。

出典

  1. ^ 計量単位令(平成四年十一月十八日政令第三百五十七号) 、別表第一 二十六:仕事
  2. ^ 計量単位令(平成四年十一月十八日政令第三百五十七号) 別表第1 項番26 「仕事」の欄
  3. ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006) p. 56 CIPM1946年 ジュールは,1 MKS 単位の力[ニュートン]の作用点がその力の方向に 1 メートルに等しい距離だけ移動するときになされる仕事である
  4. ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006) p.29 表3
  5. ^ 計量単位令(平成四年十一月十八日政令第三百五十七号) 別表第1 項番21、「力のモーメント」の欄、計量単位:ニュートンメートル、定義:ある定点から一メートル隔たった点にその定点に向かって直角方向に一ニュートンの力を加えたときのその定点のまわりの力のモーメント
  6. ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006) p. 30–31。ジュールは,形式的にニュートンメートル又はキログラムメートル 2 乗毎秒毎秒と表せる.しかし (中略) 実際には,ある量に対して,固有の単位名をつかうか,単位名の組み合わせを使うかの選択は,同じ次元を持つ異なる量を区別しやすいように,どちらかを優先することとなる
  7. ^ 『数学と理科の法則・定理集』48頁
  8. ^ 計量単位令(平成四年十一月十八日政令第三百五十七号) 、別表第一 二十六:仕事、三十:熱量、四十八:電力量。(計量単位の定義)第二条 法第三条に規定する計量単位の定義は、別表第一のとおりとする
  9. ^ 計量単位令(平成四年十一月十八日政令第三百五十七号) 、別表第六(第五条関係)十三。 カロリー : ジュール又はワット秒の四・一八四倍
  10. ^ エネルギーの安定供給の確保」『原子力総合パンフレット』日本原子力文化財団、2021年https://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-01-05.html 
  11. ^ Pat Naughtin: A chronological history of the modern metric system, metricationmatters.com, 2009.
  12. ^ Proceedings of the International Electrical Congress. New York: American Institute of Electrical Engineers. (1894). https://archive.org/details/proceedingsinte01chicgoog 
  13. ^ CIPM, 1946, Resolution 2, Definitions of electric units. bipm.org.
  14. ^ 9th CGPM, Resolution 3: Triple point of water; thermodynamic scale with a single fixed point; unit of quantity of heat (joule)., bipm.org.






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