コホート研究 コホート研究の概要

コホート研究

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/17 03:56 UTC 版)

証拠(科学的根拠またはエビデンス)の強さは、上に行くほど強くなる。上に向けて蓄積されていくので二次研究が一次研究を拾いきれないラグも起こりうる。また効果のみを評価し副作用を考慮していない場合もある。
  in vitro(試験管)など

(ニューヨーク州立大学作成[1]

ある基盤(地域、職業など)を元に行う研究では、実験的な介入は行わない。主に一回の調査を行う「横断研究」と、二回以上にわたり調査を行う「縦断研究」があり、後者の中で特に最初の調査の対象者集団をコホートと呼ぶ。コホート研究はこの集団を前向きに追跡しているので、曝露から疾病発生までの過程を時間を追って観察することができる。したがって、疾病の自然史を調べることができる、観察の時間的な順序や論理の流れが実験に近い、複数の疾病についての調査が可能である(特定の曝露の広範な健康影響を調べることができる)、という利点がある一方で、対象としている疾病の発生がまれである場合には、大規模なコホートを長期間追跡する必要があり、時間とコストがかかるという欠点がある。

薬剤疫学・産業疫学などで、過去の曝露状況が記録として残っている場合には(診療記録、職業コホートなど)、過去にさかのぼって、コホート研究の情報を得ることができる。時間的な順序は逆転するが、この情報を使って、通常のコホート研究と同じように曝露状況と疾病の発生の関連を調べる研究方法を後ろ向きコホート研究(historical cohort study)という。

観察の対象となる集団は必ずしも人間ではなく、例えばある物質を与えたマウスと与えないマウスの間での発生率を調べるような研究もコホート研究と呼ばれうるが、しかし通常は条件を統制したものであることが多く、そうであればランダム化比較試験(RCT)となる。根拠に基づく医療 (EBM) における証拠の質として、コホート研究はランダム化比較試験の一段階下となる。


  1. ^ SUNY Downstate EBM Tutorial”. library.downstate.edu. 2004年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月3日閲覧。
  2. ^ 日本の大規模コホート研究 - 日本疫学会
  3. ^ a b 第19期日本学術会議 予防医学研究連絡委員会報告 衛生学・公衆衛生学の将来展望 「がんの予防」秋葉 澄伯(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  4. ^ 嶋 康晃 世界の心臓を救った町―フラミンガム研究の55年 ライフサイエンス出版 2011


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