キング・ジョージ5世級戦艦 (初代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/07 06:35 UTC 版)
防御
防御方式は前級に引き続き全体防御方式を採用しており、水線部に艦首から艦尾部までの舷側全体に装甲が張られた。水線中央部の1番から5番主砲塔の間が203mmから305mm、艦首・艦尾部では102mmから152mmであった。1番主砲塔と5番主砲塔の手前には横隔壁として152mmの装甲で防御していた。副砲ケースメイト部は89mmであった。当時の水雷防御として水線下の水密隔壁に鋼板が張られた。
主砲塔の前盾には280mm、側面から後盾にかけて203mm装甲が張られ、天蓋は前面の傾斜部は102mmで平面は76mmへとテーパーしていた。バーベット部は甲板上は254mmであったが甲板下は178mmでしかなかった。甲板部の水平防御は防御甲板は102mmで、横隔壁から先は25mmであった。司令塔は前盾から側盾は305mmで天蓋は76mmであった。
本級の防御装甲は同世代のプロヴァンス級戦艦と比較して舷側装甲や司令塔などの厚みではカタログデータ的に優秀であったが、甲板防御や主砲塔装甲やバーベットなどの防御など一見しては判らない場所では全体的に薄くなっていた。
本級の設計時には、この頃から駆逐艦や潜水艦の発達が進み、実戦において機雷や魚雷の被害を受ける事が多くなっていた。本級の水雷防御面においては水線下の防御隔壁は主砲弾薬庫と機械室の側面にしか施されておらず、それよりもスペースの大きいボイラー室の側面に防御隔壁は施されていなかった。1914年10月に本国の沿岸で訓練中の「オーディシャス」がドイツ海軍が敷設した機雷1発で重要装甲区画にあるボイラー室の舷側に、大穴を開けてしまい、機関が停止してしまった「オーディシャス」は横転沈没してしまった。オーディシャスの沈没は本級の不十分な水雷防御設計が危険であることを実戦で証明することとなった。
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