キャンピングカー 呼称

キャンピングカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 23:08 UTC 版)

呼称

広義では米国Recreational vehicle(RV)、狭義では同様に米国での大型自走式「Motorhome(モーターホーム)」と同義。また欧州ではドイツ語で牽引タイプをWohnwagenやキャラバン、自走式をWohnmobilと呼んでいる。オーストラリアではCamperと呼ぶことが多い。これらを日本ではすべてキャンピングカーと呼ぶ。フランス語ではCamping-carは自走式のキャンピングカーを指す。

各国における利用と規格

1981年、ニュージーランドのNambassa(ヒッピーの祭典)で目撃されたキャンピングカー

米国

アメリカ合衆国では、古くから整備されたキャンプ場において、トレーラーハウスやキャンピングカーに宿泊して休暇を過ごす「デスティネーション・キャンピング」と呼ばれるレジャーの形態が発達してきた[2]

米国においては、トレーラーハウス(被牽引式キャンプ用車両)やキャンピングカー自走式キャンプ用車両)の設備や設置方法等について、ANSI(アメリカ規格協会)規格によって規定されている[2]

日本

日本では、キャンピングカーについて基本的に道路運送車両法に定める自動車として登録すれば運行が認められる[2]

特種用途自動車の一種としてのキャンピングカー

キャンピングカー
(トヨタ・カムロードキャブコンタイプ)

日本の道路運送車両法においては、特種自動車の使用目的3-4の「キャンプまたは宣伝活動を行うための特種な設備を有する自動車」(ここではキャンピング車と定義される)に該当すれば特種用途自動車に区分され、いわゆる8ナンバー登録が可能である。「特種な設備」が必要かどうかは、使用者の判断による。

日本では、公道走行可能な車両の区分の一つの分類として道路運送車両法において、特種用途自動車という分類中に「キャンピングカー」という車両区分が定められている。あるカテゴリーの車両が、税金など法令上の諸条件の取り扱いを他のカテゴリーと区分して取り扱えるようになっているためのものである。

キャンピングカーが特種用途自動車の一種類として定められたのは、「所有者が日常的に頻繁に使うものではなく常用の車両を別途所有して納税している者がさらに追加で所有する車両である」といった認識から、日常的利用の乗用車や商用車とは税体系が異なる車両とされる免税措置的観点からであった。ところが、1980年代のRV(現代のSUV/ミニバン/ステーションワゴン相当)の流行時に、日常的利用の車両でも「キャンピングカー」として登録できることが一般に知れ渡り、これがRVの販売促進につながったことから、実質的には「特種用途自動車のキャンピングカー」に該当しない車両までもがこれを取得する状況が増加した。多くは単に税負担軽減目的での取得だった。このため、改正された法令が2003年に施行され、より厳密な構造要件が制定され、また排気量別の税体系に変更されたことにより税軽減のメリットは無くなっており、先の状況は解消されている。

  • 構造要件
    • 道路運送車両法では、車両の「構造要件」が決められている。「特種用途自動車のキャンピングカー」にも特有の構造要件が定められている。
    • 寝台が必要である。乗車定員の3分の1以上の人数分の平坦な寝台の面積が必要である。走行中に寝台を使用してはいけない。よって寝台自動車として利用してはいけない。ただ、可動式であっても良く、通常は座席の状態となっているものが多い。
    • 調理設備が必要である。最低でも「湯が沸かせること」が必要。流し台や、調理スペースと、調理をする人間がそこに立つことのできる空間(室内高160cm以上)が必要である。この点は先の構造要件改正時に厳密に再規定され具体的な寸法が要求されている。熱源(電気かガス)と水道設備(清水(=ホワイトタンク)と汚水(=グレータンク)の貯蔵設備と、その供給設備)が必要である。なお室内高についての基準は令和5年に緩和された。
  • 権利義務
    • 取得した区分に応じて、車両それぞれには法的な権利と義務が生じる。これは各区分に対して生じるものであるため、先のとおり寝泊りするためのキャンピングカー(実質上のキャンピングカー)は、それぞれが取得している車両区分によって法的権利と義務をもつものとなる。その車両が「特種用途自動車のキャンピングカー」であればそれに応じたものとなり、そうでなければ、それ相応の区分のものとなる。
    • 「特種用途自動車のキャンピングカー」を取得しいわゆる8ナンバーを取得している車両であるのに、上記構造要件が揃っていない場合、つまり、取得時は構造要件がそろっていたにもかかわらず、ある時点で、寝台が使えないまたは湯沸しが出来ないなどの状態となっているのであれば、違法として摘発される可能性がある。全長、全幅、全高、車両総重量が改造申請取得後に大きく変更されている車両は、構造変更検査を受ける必要がある。軽微な変更の場合は記載変更を受ける必要がある。
    • また同様に、損害保険会社との契約上では、8ナンバーの車両が8ナンバー構造要件を満たしていない状態で事故を起こした場合は、申請時の内容と異なる条件であるため、同様に8ナンバーにかかわらず自動車保険金の支払に問題が生じることが考えられる。

「特種用途自動車のキャンピングカー」でないキャンピングカー

「特種用途自動車のキャンピングカー」でないキャンピングカーの場合は(たとえば1ナンバー、3ナンバー、4ナンバー、5ナンバーなどであれば)道路運送車両法上、上記「特種用途自動車のキャンピングカー」の構造要件の義務を負うことはなく、装備の有無は公道走行の可否に関連しない。

軽自動車のキャンピング仕様の完成車の販売も増加し、8ナンバーを取得せず、税や取得要件など軽自動車のメリットを生かしながら、ユーザーにキャンプ利用や長期旅を提供するような車両が、キャンピングカーメーカーから合法的に販売されている。

同様に8ナンバーでの自動車税の恩恵が小さくなるように変更されたので、自身でキャンプを楽しむ、旅を楽しむ車両仕様とした際にも、その他の区分(1, 3, 4, 5ナンバー)での登録も増加している。このようなキャンピングカー車両が、法令上適法であるかどうかは「特種用途自動車のキャンピングカー」の構造要件ではなく、取得している区分の構造要件との比較となる。

架装形態による分類

キャンピングカー
いすゞ・ロデオキャブコンタイプ)
キャンピングカー
トヨタ・ハイエースバンコンタイプ)
キャンピングカー
トヨタ・コースターバスコンタイプ)
キャンピングカー
ダイハツ・ハイゼット軽キャブコンタイプ)

以下は架装形態での区分の一例である。専門誌では「コンバージョン」の“バージョン”を削って「フルコン」「バンコン」と呼ばれることもある。

フルコンバージョン
専用のシャーシに架装したもの。フルコンなどと呼ばれる場合があるが、シャーシを含めて自製されており、他社の完成車を改装したものではないため、正確にはコンバージョンでは無い。米国ではRVと呼ばれ、クラスAに相当する。ドイツではVollintegriertes Wohnmobil相当。全長は7メートルを超えるものもある。
キャブコンバージョン
キャブ付きのシャーシに架装したもの。一般的にはトラックを改造したものが多い。昨今はワンボックス車のBピラーより後ろをボディカットして作られるものも多い。通称キャブコン。米国のクラスC相当。ドイツでは架装によりバンクのあるAlkovenやバンクのないTeilintegriertes Wohnmobilに相当。
日本では、トヨタ・カムロードダイナ / トヨエースベース)[3]や、いすゞ・びーかむエルフベース)[4]のように、キャブコンのベースフレームに市販車とは別の車名を与えているものもある。
車両総重量が大きいため、この型の一部(2t車ベースなど)は準中型自動車に分類される。日本で2017年3月以降に普通自動車免許を取得した場合、運転できない。
バンコンバージョン
キャンパーバンともよばれる、ワンボックス車などの内装、屋根等を加工して架装したもの。乗車定員が10名以下で普通免許で運転できるものが多い。一般的にバンコンと呼ばれる。米国ではクラスB相当。ドイツではKastenwagen
バスコンバージョン
マイクロバスなどのバスに架装したもの。バスコン。窓が大きいため断熱性が低いと言われる。ドイツではWohnbusse
ほとんど普通自動車に分類されるが車両総重量が大きいものが一部存在し、このような車両は準中型自動車に分類される。
軽自動車キャンピングカー
軽自動車をベースにしたキャンピングカー。2006年の「テントむし」発売を契機に、2012年頃からのキャンピングカーブームや団塊の世代の余暇で注目を浴びている。ベース車両の価格の低さ、低維持費、取り回し易さ、駐車場を選ばない、夫婦2人での使用が可能など、日本での使用スタイルにマッチしていることが人気の理由。このジャンルの中でもフルコンバージョン、キャブコンバージョン、バンコンバージョン、軽トラック用トラックキャンパーに分かれる。なお、軽登録のトラベルトレーラーも日本国産で少数ながら存在する。







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