オリエンタリズム (サイード) オリエンタリズム (サイード)の概要

オリエンタリズム (サイード)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/08 17:09 UTC 版)

オリエンタリズム
Orientalism
著者 エドワード・サイード
訳者 今沢紀子
発行日 1978年 1986年
発行元 Vintage Books
ジャンル ノンフィクションポストコロニアル理論
アメリカ合衆国
言語 英語
形態 ペーパーバック
コード ISBN 978-0394-74067-6 OCLC 4831769 DDC 950/.07/2
ISBN 978-4-582-74402-6
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主な内容は、著者がスタンフォード大学の研究員だった1975年-76年に執筆された。従来は美術における東洋趣味などを指す語だった「オリエンタリズム」を、西洋の東洋に対する思考様式として定義し、人種主義的帝国主義的であるとして批判的に検討した。その検討を通じて、人間は異文化をいかにして表象するのか、また異文化とは何なのかという問題提起も行なった。そのための素材として、学術文献だけでなく文芸作品も含めて論じている。

本書で扱う「オリエント」の範囲は主に中東であり、18世紀以降のフランスイギリスアメリカ合衆国のオリエンタリズムが分析されている。サイードは、オリエンタリズムを研究することになった動機について、パレスチナエジプトで育った東洋人(オリエンタル)としての意識をあげている。

サイードは『オリエンタリズム』や『文化と帝国主義』を念頭に、「自分で書いた本のなかで覆そうと闘ってきた相手は、「東洋」(イースト)とか「西洋」(ウエスト)といった虚構(フィクション)であり、またさらに、人種差別主義が捏造したところの従属人種、東洋人、アーリア人、ニグロといった本質主義的分類法であった。と同時に、いっぽうで、過去において植民地主義の暴虐を幾度もかいくぐってきた国々では、原初にあった無垢の状態が西欧人によっておかされたという被害者意識が強いが、わたしは、こうした考えかたに与(くみ)することなく、つぎの点をくりかえし強調してきた。東洋とか西洋といった神話的抽象概念は端的にいって虚偽であるが、同じことは、かつての植民地国が西欧に向けて発する非難のレトリックのなかで駆使されるむきだしの対立図式についてもいえる。文化は、たがいに混じりあい、その内容も歴史も、たがいに依存しあい、雑種的なものであるため、外科手術的な切り分けをおこなって、<東洋>(オリエント)とか<西洋>(オクシデント)といったおおざっぱで、おおむねイデオロギー的な対立をこしらえることなどできないのである」[1]


  1. ^ エドワード・W・サイード『知識人とは何か』(大橋洋一訳)平凡社 1998年初版、2008年11刷 (平凡社ライブラリー 236)13-14頁。ISBN 978-4-582-76236-5.
  2. ^ サイード - 「オリエンタリズム」新版序文


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