ウクライナ 国際関係・外交

ウクライナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 01:05 UTC 版)

国際関係・外交

ロシア

ウクライナの外務省
ウクライナの国際関係

ウクライナとロシアは歴史上複雑な関係を持つが、ソ連崩壊後現在に至るまで緊張が続いている。

ユシチェンコ大統領の就任当初は、ロシアよりもEU(欧州連合)諸国との関係を強化することを目指していた。同様の立場を取るグルジア、アゼルバイジャン、モルドバとともにGUAM(4か国の頭文字)と呼ばれる連合を結成。同国自身が将来のEU加盟を希望し、2017年時点でもそのための外交努力を続けている(後述の「欧米との関係」を参照)。

一方で、ウクライナ経済はロシアとの関係を悪化させたことなどを理由に急速に悪化した。大統領はロシアとの関係に対する見解の相違などからティモシェンコ首相を解任。その後は頻繁にロシアを訪問し、ロシアとの政治的・経済的関係を強化させようとするなど、ロシアとの関係修復も模索してきた。2010年の大統領選挙で当選したヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領の誕生により、ロシアとの関係改善がより一層進むものと見られていた。

ヤヌコーヴィチ政権時、ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)やロシア主導のCSTOのような軍事同盟加盟を目指さない中立主義を法律で定めた。

しかし、2013年末から生じたウクライナ騒乱に続き、ロシアによるクリミア併合・東部不安定化以降、ロシアとの関係は再び悪化した。新政権は、一方でアメリカ合衆国やEUを中心とした欧米諸国との関係を重視している。ポロシェンコ-ヤツェニュク政権は、在ウクライナ米国大使館勤務経験のあるアメリカ人やグルジアのサーカシビリ政権の側近らを要職に就かせるなど、親欧米・反露路線を鮮明にしている。

なお、2016年時点でウクライナはロシアに対し30億ドルの負債を負っており[75]、今後、国際裁判所で争われることとなっている。

また、司法分野においては、ロシアに対し、2014年6月頃にルハーンシク州内の戦闘中に拘束され、ロシアに連れ出され勾留されたウクライナ人女性のナジーヤ・サウチェンコ英語版の即時釈放を訴えている。ロシア当局は、同女性がウクライナ西部においてロシア人ジャーナリスト2名を殺害した嫌疑があると主張していたが、ウクライナをはじめアメリカ、ドイツ、フランスなどの各国政府、欧州議会などがロシアによるサウチェンコの拘束には根拠がないとして、ミンスク合意に従ってロシアはサウチェンコを解放すべきとした[76]

ウクライナとロシアの旅客流動は最大であったが、2015年10月以降、ウクライナとロシアを結ぶ航空旅客便は全便の運行が停止している[77]

また、2017年にはポロシェンコ大統領の大統領令を通じて、対露制裁の一環で、VKontakteOdnoklassnikiなどのロシア系SMSサービス、YandexMail.ruなどのロシア系のウェブサイトへのアクセスを禁止した[78]

ウクライナ政府はロシアからの天然ガス輸入を2016年は打ち切り、2017年も再開しない見通しであると表明している[79]

さらに2018年9月、1997年にロシアと締結した友好協力条約を延長しないとロシア政府に通告した[80]

欧米

ポロシェンコ政権はEU加盟を希望している。具体的な加盟交渉に至ってはいないが、東欧諸国を対象とするEU安定化・連合プロセスの要となる連合協定について、EU加盟国で唯一未批准だったオランダの上院が2017年5月に批准を承認した。同年6月11日からは、イギリスアイルランドを除くEU加盟国へウクライナ国民が90日の査証(ビザ)なし渡航が可能になった。

旧ソ連でロシア離れを志向しており同じくEUと連合協定を締結しているモルドバ、ジョージアと2021年5月に「連合トリオ」を結成している[81]

ロシアによるクリミア編入宣言や東部ウクライナ紛争への関与疑惑に対して、欧米諸国は対露制裁でウクライナを支援している。米軍はウクライナ軍へ兵器供給と訓練を実施している[79]

トルコ

トルコ企業600社がウクライナに進出してインフラ建設や再生可能エネルギー事業を手掛けているほか、トルコは軍事用無人航空機バイラクタル TB2」を輸出し、ウクライナ軍が東部紛争の偵察に投入している。ウクライナはトルコの無人攻撃機「アキンチ」にエンジンやプロペラを供与している。ゼレンスキー大統領は2021年4月にトルコを訪問し、軍事産業での協力関係を強調した。こうした両国の接近は、クリミア・ウクライナ東部紛争でロシアと対立するウクライナと、シリア内戦リビア内戦でロシアと別の勢力を支援するトルコの利害が一致していることが背景と指摘されている[82]

日本

日本はユシチェンコ大統領期の2005年3月に同国とのODA円借款契約を初めて締結しているが(190億9,200万円、償還期間30年)、ヤヌコーヴィチ大統領およびティモシェンコ首相の時期は契約を行っておらず、2014年6月7日にポロシェンコが大統領となり9年ぶりに契約の締結を再開した。2014年7月には100億円(償還期間20年間)、2015年6月に1,081億9,300万円(同40年間)、12月に369億6,900万円(同20年間)と、巨額の資金貸付けが行われた[83]

2005年8月1日より日本国民がウクライナに入国する際のビザ(査証)を短期90日までの滞在(ただし、就労を伴わない活動に限る)に限って、その取得を必要としない制度が開始された。しかしながら、2014年7月時点、ウクライナ国民の日本への入国には依然としてビザが必要である。


注釈

  1. ^ 日本語文献では「ウクライナ共和国」という正式国号がしばしば見られるが、間違いである。
    ウクライナ語の「Україна」については、日本語には「ї」に近い発音がないため表記が困難であるが、便宜的に「ウクライィーナ」と表現される。ラテン文字表記としては「Ukrayina」や「Ukraina」が用いられる。
  2. ^ 現在の国籍ウクライナからアゼルバイジャンへ変更。

出典

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