アンナ・カレーニナ 手法

アンナ・カレーニナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 06:41 UTC 版)

手法

トルストイは、リアリズムの巨匠の一人と評され、本作品においても鋭敏な感性で登場人物の肉体や行動、および環境を描くことで、その人物の心理を表現するという作者一流のリアリズムの手法が駆使されている。その的確な描写力に加え、心理に対する深い洞察、厳密なことばの選択などが、数多くの登場人物の個性を鮮やかに描き分ける[8][9][10]。また、修辞学を排し語義そのものを明らかにする直截的な文体が用いられている[11]

評価

雑誌に発表した当初から賞賛の声に包まれた[12]ドストエフスキーは「芸術上の完璧であって、現代、ヨーロッパの文学中、なに一つこれに比肩することのできないような作品である[13]」、トーマス・マンは「このような見事な小説、少しの無駄もなく一気に読ませる書物、全体の構造も細部の仕上げも一点非の打ちどころのない作品[14]」と評し、レーニンは、本がすり切れるまで読んだと言われている[15]桑原武夫は「この間お目にかかった志賀直哉さんも、近代小説の教科書といっていい、ともらされております[16]」と発言している。

2002年にはノルウェー・ブック・クラブ(Norwegian Book Club)が選定した「世界文学最高の100冊」(en:The 100 Best Books of All Time)に選ばれ、2007年刊行の『トップテン 作家が選ぶ愛読書』“The Top Ten: Writers Pick Their Favorite Books”[17]の首位(en:List of novels considered the greatest of all time)を占めた。

日本語訳

複数の訳で重版されており以下は現行版、いずれも「アンナ・カレーニナ」でタイトル統一されている。

  1. ^ 藤沼貴『トルストイ』第三文明社・2009・366頁
  2. ^ 旧正書法による。現在の正書法では Русский Вестник
  3. ^ 『集英社 世界文学大事典3』集英社・1997・240、246頁
  4. ^ マーク・スローニム『ロシア文学史』新潮社・1976・324-325頁
  5. ^ ロマン・ロラン『トルストイの生涯』岩波文庫・1973・65頁
  6. ^ 金子幸彦『ロシア文学案内』岩波文庫・1976・170頁
  7. ^ 木村浩「解説」『アンナ・カレーニナ』新潮文庫・2005年・560-562頁
  8. ^ マーク・スローニム『ロシア文学史』新潮社・1976・309-313頁
  9. ^ 木村彰一『ロシア・ソヴェート文学史』中央公論社・1958・112-113頁
  10. ^ 木村浩「解説」『アンナ・カレーニナ』新潮文庫・2005年・562頁
  11. ^ マーク・スローニム『ロシア文学史』新潮社・1976・321-323頁
  12. ^ 藤沼貴『トルストイ』第三文明社・2009・376頁
  13. ^ 『ドストエフスキー全集15』河出書房新社・1973・231頁
  14. ^ 「『アンナ・カレーニナ』」『トーマス・マン全集 Ⅸ』新潮社、1979、505頁
  15. ^ 藤沼貴『トルストイ』第三文明社・2009・471頁
  16. ^ 桑原武夫『文学入門』岩波新書・1975・131、132頁
  17. ^ Zane,J.Peder(ed.),The Top Ten: Writers Pick Their Favorite Books,New York,London,2007






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