アステカ料理
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食における規範
アステカ文明では、生活のあらゆる面において「中庸」が求められ、その思想を「節制」と受け止めたヨーロッパの記述家らはしばしば感銘を受けた。プエブラ州の司祭ファン・デ・パラホス・Y・メンドーサは、1640年代、ヌエバ・エスパーニャ総督に以下の報告をしている。
「 | 私が見聞きしたところによれば、彼らは非常に慎重で謙虚な思考の元に食生活を送っている。ひとつ例を挙げれば、生活習慣の全てに課せられる「忍耐」は、食の場でも同様である。飢えに任せてがつがつ食べることは許されない。[14] | 」 |
断食
アステカにおける「断食」とは飲食の一切を断つことではなく、塩とトウガラシの摂取を絶つことを意味する。これはアステカ社会の構成員すべてに課せられ、初期のヨーロッパ人入植者を驚かせた。ただ、病人や女子供、老人に対する断食はある程度免除されていた。52年毎に行われる新しき火の儀式に先んじて、一部の神官は1年、他の神官は80日、領主は8日の断食を行う。一方、庶民の断食はそれほど厳密ではない。テワカンにおいては、断食は通常、あるいは偶発的に行われていた。石の枕で休むなど、様々な禁欲的行為を強いられる。食物は1日50グラム程度のトルティーヤのみ。この状態で4年間を過ごすのである。その代わり、20日に一度は何を飲み食いしてもよかった[15]。
モクテスマ2世のような王も酒池肉林に溺れることなく、断食の規律に従った。女性との同衾を自ら禁じ、ミチウハウトリやアマランサスやアカザのケーキのみを食べ、ココア飲料の代用として干からびた豆粉の水溶きを飲用する。これらアステカの断食行為は、肉や魚など動物製品を禁じるキリスト教の断食と対比することができる[16]。
注釈
- ^ カカオに加える香りは様々であるが、一般的なものとしてウエイナカストリ (Cymbopetalum penduliflorum)、「樹脂様の苦味を持つ黒胡椒」で会食に用いられたテオナカストリ (Chirantodendron pentadactylon)、コショウの仲間のメカショチトル (Piper amalgo)、ヨロショチトル(メキシコ産モクレンMagnolia mexicanaの花)は熟したメロンの香り、piztle(Calocarpum mammosum)の種子)は苦いアーモンドの香り、pochotl(Ceipa spp.の種子)は"甘くてこくがある"オールスパイスと表現される。一番普通のレシピはメカショチトル、'ウエイナカストリ、バニラ、柔らかくしたトウモロコシとカカオをぬるま湯で混ぜて、できたてを飲むものである。
出典
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