おそ松さん 反響

おそ松さん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/05 05:45 UTC 版)

反響

ファン層形成

第1期第1話はパロディネタと下ネタ満載だったが、放送されると六つ子に「萌える」女性が続出し、Twitterpixivには本作のイラストが多数投稿された[109]

おそ松さんの放送期間中にあたる2015年11月末からアニメイト池袋本店で行われた企画展「おそ松さんミュージアム」は、開店前から2000人ほどの行列ができるほどの大盛況をおさめた[110]。その際、スポーツニッポンは女性鉄道ファンを「鉄子」と呼ぶことになぞらえ、本作の女性ファンを「松子」と呼び始めた[110]が、この呼称には女性ファンから批判が殺到した[111]。その一方、六つ子たちのファンを意味する「おそ松girl」「カラ松girl」など、「〜松girl」と自称する女性ファンが増えていると、まんたんウェブは報じている[112][注 20]

アニメージュの編集長である川井久恵はこの状況について、2015年秋から2016年冬にかけてのアニメ業界全体への盛り上がりにつながっているわけではなく一人勝ちに近い状態だとしており、一部の編集者からはアベノミクスをもじって“マツノミクス”と呼ばれていた[113]

本作を特集した雑誌類が軒並み売り切れが続出し、代わりに電子書籍版を購入するファンも多数見られる。また、アニメ関係のフリーライターの渡辺由美子は主要キャラクターの声優に人気男性声優を起用したことも女性ファンの心をくすぐった大きな要因であると評している[114]

テレビ東京アニメ制作部の土方真は、東京新聞のインタビューの中で「当初から「いける」という見通しは全くなかった。ターゲットが明確な作品が多い中、人気声優が採用されていたものの誰をターゲットにしたのかわからない印象があった」と述べ、このような予想外の反響は喜ばしいものだとしている[113]。また、インタビューに同席していたアニメ事業部の広部琢も「ターゲットが不明確なのはビジネスとしてはかけかもしれないが、キービジュアルがポップな雰囲気であるため印象に残るだろうし、間口の広い作品だったがために広い支持を得られたのではないか」とみている[113]

評価

漫画家の倉田真由美は本作の人気について、「モテる男性像が変わってきている。身近にいそうな『おそ松さん』は、今の若い子にとってダメダメなんだけれども元気をもらえる存在になっている」と分析している[110]

月刊アニメ雑誌「アニメディア」の馬渕悠編集長は、女性のアニメ視聴者がイケメンの登場するアニメに疲れたことが一因ではないかと推測しており、馬渕編集長のコメントを掲載したまんたんウェブもシンプルな作画のギャグアニメであるがゆえにイケメンが登場するアニメよりも作画崩壊が起きにくい分、ファンも安心して見られるのではないかと評している[112]

音楽評論家の石黒隆之は本作のサウンドトラックについて、「『おそ松さん』のアニメも漫画も見ていないが、何でもありの音楽の大図鑑ともいえるほどの内容で、最初から最後まで楽しませてもらった。」と評し、「2枚目の26番目に収録されている「実松さん」とその次の「十四松と概念」を聴き比べて、同一のメロディを基にしていても、調やリズムパターン・楽器構成等が異なると全く別の曲のように聞こえるということを改めて知った」とも述べている[115]

第1期第13話

第1期2クール目の開幕となる第13話の各パートは、いずれも実験的な内容から視聴者の間でさまざまな反響を呼んだ。

Aパート「連続テレビドラマ 実松さん 第三話」[注 21]は、これまでとは異なるリアルな作風やショッキングな結末が視聴者の間で話題となり、声優情報ウェブサイト・ボイ☆スタは第13話のレビューの中で、このパートを制作陣からの挑戦状とみたと述べている[116]。また、ボイ☆スタはこのパートのメインキャラクターだった実松がアダルトゲーム『遺作』のキャラクターに似ていることを指摘し、同作の原画を務めた横田守が第13話に関連するイラストを投稿した[117]ことを報じている[116]

Bパート「じょし松さん」は、6つ子を女体化したキャラクターたちが居酒屋で話し合う内容でありながら、6つ子を演じた男性声優たちが彼女たちを演じたことも話題となり、ボイ☆スタは「まさに公式が最大手」と評した[116]。また、アニメイトTVは女性の視聴者から「女の嫌なところがすべて出てきた」、「私もこのように気持ちを吐き出したい」といったキャラクターへの共感が多数寄せられ、再登場を望む声も上がったことを報じた[118]

Cパート「事故?」は、チョロ松の一人遊びをおそ松がからかったことに端を発した6つ子たちの大喧嘩を描いた内容であり、ボイ☆スタは生々しいテーマだったと評した[116]。一方、アニメイトTVは視聴者から「翌朝に元の関係に戻っているのが良かった」「6つ子たちの日常が見られた」「今まで描かれなかった側面が描かれたことでさらにキャラクターに興味を抱けた」といった好意的な反応が寄せられたことを報じた[118]。また、この回は番組名こそ書かれてはいないが、行為を兄弟に見られてからかわれるというネタだったことから、BPOに苦情が入った[119]。そして、一部の視聴者がNHKのニュース番組『NEWS WEB』のミニコーナーの一つでTwitter上の流行ワードを取り上げる「つぶやきビッグデータ」に「シコ松」を乗せようとする動きもあったが、実際の放送では「松さん」が表示された[120]

第1期最終回放送前後の反応

第1期最終回である2016年3月28日の放送1か月前からネット上では番組終了を惜しむ声が上がり、「松ロス」「松鬱」という言葉がネット上に現れるほどだった[121]

2016年3月29日1時35分 - 2時5分(28日深夜)放送の最終回では、自己最高となる平均視聴率3.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯、以下略)を獲得し、占拠率も21.8%を獲得した[122]

他作品への影響

2015年12月10日には、同時期放送の『ヤング ブラック・ジャック』第11話のエンドカードで漫画家の田中圭一による本作風のパロディイラストが公開され、ヤングチャンピオン編集部が公式Twitterで謝罪した(詳細はヤング ブラック・ジャック (漫画)#テレビアニメを参照)。

売上・指標

『おそ松さん』のBD第1巻は発売1週目で3.6万枚の売上を記録し[123]、日本のオリコン週間BDランキングのアニメ部門で1位を獲得した[123][124]。また、同日に発売したDVDについても4.3万枚を売り上げて週間DVDランキングのアニメ部門で1位を獲得し[125]、アニメ部門での同時首位を達成した[123]。 続く第2巻も第1巻と同様に、BD・DVD双方で週間ランキングの1位を獲得した[126][127][128]

また、『おそ松さん』の大判ポスターを付録とした月刊アニメ雑誌「PASH!」の2016年1月号は大きな反響を呼び、発売の5日後には発行部数の6万部を完売したため緊急重版が実施された[129]。その後、「PASH!」の2016年2月号においては発売前から重版が決定するなど異例の事態となっている[130]。また、本作を表紙として特集を行った「アニメージュ」の2016年2月号においても売り切れ店舗が続出し、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の「マチルダ・アジャン」が表紙を飾った1980年3月号以来、約36年ぶりに重版が行われた[131]。ピンナップやクリアファイルを付録にした「アニメディア」「オトメディア」の2016年2月号も同様の経緯から重版されることとなった[注 22]

『おそ松さん』の人気により、原作『おそ松くん』にも若い層が興味を持つという現象も発生しており、eBookJapanでの電子書籍版の売上は前年(2014年1月 - 12月)対比で80倍にものぼった[133]。これを受け、「eBookJapan」の運営元であるイーブックイニシアティブジャパンは、原作全34巻セット半額かつ1巻無料キャンペーンを2016年1月14日まで延長した[133]。また、チバテレは本作の大ヒットにあやかり、第2作の再放送を2015年11月27日から開始することを発表した[134]

『おそ松さん』はニュースサイト「アニメ!アニメ!」が行ったアンケートにおいて、2015年素晴らしかったアニメ総合4位を獲得した[135]

おそ松さん〜The Game〜(仮)』の予約を2016年5月13日にAmazon.co.jpにて開始した所、2016年5月14日正午時点でAmazon.co.jpのゲームの人気度ランキングの1位から14位までを独占するという事象を記録した[136]

2016年5月7日に発売された『おそ松さん Original Sound Track Album』は発売初週に約1万4000枚を売り上げ、オリコンチャートで初登場5位を記録した[137]

受賞歴

アニメージュ第38回アニメグランプリ
  • 作品部門グランプリ - おそ松さん
  • 男性キャラクター部門グランプリ - カラ松
  • アニメソング部門グランプリ - 「はなまるぴっぴはよいこだけ」
第33回新語・流行語大賞
  • ノミネート - おそ松さん

  1. ^ 作中でおそ松は「自己責任アニメ」と提唱。
  2. ^ 第1期はアニメーションプロデューサー。
  3. ^ 第1期は音楽プロデューサー。
  4. ^ 音楽プロデューサー。
  5. ^ なお、浅野は『のび太の人魚大海戦』『新・のび太と鉄人兵団』で総作画監督を務めた。
  6. ^ モザイク処理されている場面もある。
  7. ^ 2つボタンの青いジャケットに灰色のネクタイ姿。
  8. ^ 「松パーカー」の名で公式グッズ化された。
  9. ^ おそ松、カラ松、一松は主に「俺」、チョロ松、十四松、トド松は主に「僕」を使用している。F6など異なる設定では一人称が変化することも多い。また、各一人称の表記については、2016年開催の『フェス松さん'16』のパンフレットにて、おそ松とチョロ松は漢字の「俺」「僕」、カラ松とトド松はカタカナの「オレ」「ボク」、一松と十四松はひらがなの「おれ」「ぼく」と書き分けられるようになり、それ以降にリリースされた書籍媒体(雑誌記事、コミックス2巻以降、各種小説版、TVアニメコミックスなど)はこの表記に準拠しているものが多い。
  10. ^ 妄想なのか幽霊とかなのかは明かされていない。
  11. ^ TV版第1話のモノクロ画面においてもべらんめぇ口調で話していた。
  12. ^ 「動物が好きらしい」という紹介もある[91]
  13. ^ おそ松の怒りを買い、ぶっ飛ばされる羽目になった。
  14. ^ 17つ子全員とも上田燿司が声を担当。
  15. ^ アケボノコミックス『赤塚不二夫全集』第25巻(曙出版・1971年発行)に収録。
  16. ^ 一松が立ち去った後姿を見ながら、オムスビ達は「気に入らなかったのかな?」「僕たちが嫌いなのかな?」「…わからない」などと呟いていた。
  17. ^ その際、置き去りにされたショックで初めて正しく「シェー」できるようになり、お互いに責任を押し付けあいながら喧嘩を始めた。
  18. ^ この愛称はその後公式となり[82]兄たちからも呼ばれるようになる。
  19. ^ あらすじについては 原作者公認サイトの「『おそ松くん』エピソード 赤塚先生お気に入り『おそ松くん』2」 を参照のこと。
  20. ^ おそ松さん第2話「おそ松の憂鬱」より、劇中のカラ松のセリフ「フッ、やっと来たかいカラ松ガールズ」に由来。
  21. ^ 第一話・第二話は登場しない。
  22. ^ なお、「アニメディア」の重版は1981年の創刊から35年で初である[132]
  23. ^ BD・DVDには未収録。遅れネットの各放送局でも未放送扱いとなる。
  24. ^ かつて公式サイト上で紹介されていた際のタイトル表記[150]。番組内の表記は「ふっかつ おそ松くん」。
  25. ^ 同話では4:3画角→16:9画角→4:3画角→16:9画角と状況に応じて画面サイズが変わった。
  26. ^ イケメンパートキャラクターデザインも担当。
  27. ^ 実際には「OAW / OSO」、「- 2」、「- 3」、「- returns」、「- final」、「- Episode0」、「- 真」、「OAW OAW / OSO OSO」、「DRIVE A -」の順で放映された。
  28. ^ 実際には「キラキラネーム」の後に「第一回」、「パチンコ警察」の後に「第二回」、「密漁」の後に「第三回」、と分けて放映された。
    2015年10月放送当時のBSジャパンでは大幅に修正、2016年4月以降のネット局やBSやCSでは完全カットされ、BD・DVDにも未収録となった。
  29. ^ BD・DVDのみ収録。実写映像。
  30. ^ 予告編はなく、BD・DVDには第3話→第4話の予告→第3.5話という順番で収録されている。また、冒頭では「ここよりのお話は『4話と5話の間くらいの話数』として、広い心で見てね!」という注意書きが表示される。
  31. ^ おそ松とトト子の司会による総集編。同話では副音声でキャストコメンタリーを放送。出演はAパートは櫻井孝宏、中村悠一、神谷浩史、Bパートは福山潤、小野大輔、入野自由。
  32. ^ 番組内の表記は「チビ太の花の命」。また、この回のサブタイトルの文字は手書き風になっている。
  33. ^ この回のアイキャッチは「おそ松さん」(番組タイトルの文字)が「十四松まつり」になっている。
  34. ^ 番組内の表記は「しどう 聖澤庄之助さん」。この回は第1話と同じく4:3画角のモノクロ映像で放送された。
  35. ^ 同話では状況に応じて画面サイズが変わっておりモノクロ映像の場面では4:3画角、カラー映像の場面・ちゃんとしたメカパートでは16:9画角で放送された。
  36. ^ a b ちゃんとしたメカパート
  37. ^ a b アクションエフェクト作画監督
  38. ^ ドラマCD『かくれエピソードドラマCD「松野家のなんでもない感じ」』第1巻収録の同名エピソードを元にしている。
  39. ^ 当初は12月15日に放送予定であったが、『緊急生放送!全米女子オープンゴルフ最終日』[151]を急遽放送することになったため、この日に延期となった[152]
  40. ^ 当初第11話は12月22日に放送予定であったが、ゴルフ中継の影響で12話と2話連続放送となった。
  41. ^ オムスビの司会による第1期と第2期の振り返り総集編。同話では副音声でキャストコメンタリーを放送。出演はAパート(第1期)は櫻井孝宏、中村悠一、小野大輔、Bパート(第2期)は神谷浩史、福山潤、入野自由。
  42. ^ ドラマCD『かくれエピソードドラマCD「松野家のわちゃっとした感じ」』第1巻収録の同名エピソードを元にしているが、展開が異なる。
  43. ^ 2016年5月14日開始の再放送では2話から放送・未放送話3.5話も放送。なお、3話は「リアル松」を除いたBD・DVD版に準拠した内容で放送[155]
  44. ^ 最終回(第25話)のみ5分繰り下げ[158]
  45. ^ 2月14日放送分は、前日13日に発生した福島県沖地震の影響で休止(翌週20日に放送)。
  46. ^ 「クリスマスおそ松さん」のために作られたがお蔵入りになっていたもの。
  47. ^ a b 映画『おそ松さん 春の全国大センバツ上映祭』より
  48. ^ 第1話未収録のため、代わりに収録。
  49. ^ 「ほれいけ!DEKAPAN-MAN」と「リアル松」は未収録。
  50. ^ 単行本未収録エピソードは「復活!おそ松くん」、「デリバリーコント(3編とも)」、「シェーの練習」、「こぼれ話集」のうち「ほれいけ!DEKAPAN-MAN」と「リアル松」、「イヤミの大発見」、「北へ」、「ダヨーン相談室(2編とも)」、「年末スペシャルさん」、「連続テレビドラマ 実松さん 第三話」、「逆襲のイヤミ」、「聖澤庄之助さん」、「教えてハタ坊」、「ファイナルシェー」、「ダヨーン族」。
    上記のうち、「デリバリーコント 本当は怖いイソップ物語」、「シェーの練習」、「デリバリーコント 本当は悲しい赤ずきんちゃん」、「ダヨーン相談室(#2)」はcomico PLUS『アニメコミック・おそ松さん』で収録されている。
  51. ^ 2016年1月18日にゲーム化の予定が発表された[213]
  52. ^ a b 購入した謎ときキットを元に、店内に貼られたパネルやアイテムを用いて謎を解き明かしていき、エリア内を巡る。ナゾラリーと呼ばれている。
  53. ^ a b CDケースに入ったブックレットで、店の内外や制限時間を気にせずテイクアウト可能、解答はwebサイトに入力する。ナゾレットと呼ばれている。
  54. ^ a b テーブルに着席し飲食しながらでも謎とき体験ができるストーリー体験アトラクション。パーティーキューブと呼ばれている。
  55. ^ 着ぐるみとしての登場。





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