いでおろーぐ! あらすじ

いでおろーぐ!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/23 09:16 UTC 版)

あらすじ

12月24日、クリスマス・イヴ。
カップルだらけの渋谷、ハチ公前。高校1年生の高砂は周囲に嫉妬と辟易していると、群衆に向け顔を隠し、ヘルメットをかぶり、トランジスタメガホンで演説をする少女に出会った。「リア充爆発しろ!」。恋愛をすることは愚かな行為であり、何者かの陰謀なのだ!
翌日、少女の姿に触発され、鬱憤晴らしに高砂も叫ぶ。「リア充爆発しろ!」と。すると、昨夜の少女があらわれる。彼女は、同じ高校の地味なクラスメート領家薫だった。
バレンタイン・デー、新入生歓迎会、夏休みに文化祭。恋愛思想をぶっ壊せ。反恋愛主義青年同盟部(以下、反恋部)で繰り広げられる、恋愛至上主義との戦いを描くアンチリア充ラブコメ。

1巻

12月24日。クリスマス・イヴ。リア充だらけの渋谷の街に辟易していた平凡な男子高校生の高砂は、大衆に向け「リア充爆発しろ!」と叫ぶ少女と出会う。翌日、彼女の姿を忘れることができずに、昼休みに遊ぶリア充たちに向けて思わず「リア充爆発しろ!」と叫んだ。快感だった。
「わたしの活動に協力してくれないか?」
叫びを聞いてやってきた、昨夜の少女。ヘルメットと手ぬぐいを外した素顔の彼女は、美しかった。領家薫、高砂のクラスメートである。昼休みを邪魔されたリア充たちが屋上にやってくると、領家は自分と高砂のシャツのボタンを外し、今まさにことに及ぼうかとする様子を見せつけたのだった。放課後、反恋部の部室に案内するからフラワーアレンジメント研究部に来いと言われるが、その場所は魔窟・部室棟の3階であった。印刷機にヘルメット、角材に鉄パイプの散乱する部室はフラワーアレンジメントとはかけ離れていた。領家は更に別にアジトがあるといい、地下アジトに案内する。反恋部は領家のたちあげた団体で、高砂と2人だけの部活だった。少しためらったが、領家の同志として入部を決める。
帰り道、得体のしれない何かに金縛りにされる。それは女児の姿をして高砂の前に現れた。女児は、地球外生命体あるいは神である。大性欲賛会という団体をつくりあげ、人類の繁栄の先にある滅亡を狙っていた。女児にとって領家薫の考え方は脅威だった。その思想に共感した高砂に「領家を落とし、リア充になれ」という命令を下す。
冬休み、女児に焚き付けられ初詣のリア充偵察に領家を誘い出す。浅草寺境内は人の群れで自然と身体がくっついてしまう。その様子をクラスメートに見られてしまいカップルと偽るしかなかった。明けた新学期、高砂と領家はお似合いのカップルとして囃される存在になる。
反恋部はじめての活動は、放送室をジャックした思想拡大だった。放送を敢行し、生徒会との攻防をくぐり抜けると3人の同志が集ってきた。西堀優、瀬ヶ崎渉、神明茜である。5人となった反恋部の次の目的は、バレンタインの反恋愛活動と決定した。しかし、3人も美男美女が入ったは良いが、その大性欲賛会とやらのスパイがいるのではないだろうか?高砂は地下アジトに引き返す。すると、全裸で領家の残り香に包まれる西堀を見つけてしまう。彼女は女子にしか恋愛感情を持てない反恋愛主義者であり、それを知った高砂は西堀を信頼できるようになった。その後、神明と2人で授業をサボり、今もかつても男子に自分の巨乳をからかわれることと、女子にやっかみにされることを告白。リア充へのトラウマから反恋愛主義だということを明かした。バレンタイン直前の週末、渋谷のリア充偵察に出かけた反恋部。瀬ヶ崎と2人きりで話す機会を得た高砂は、瀬ヶ崎はロリコンであり、同世代の女子には恋愛感情が持てないことを聞かされる。三者三様の反恋愛事情を知る高砂。解散となった後に、領家とふたりきりで猫カフェに入る。偶然その場にいたのは、領家を捨てた母親と義妹だった。領家は高砂と出会い自らの反恋愛感情が弱くなってしまったことを自覚させられる。
ついにやってきた2月14日バレンタイン・デー。計算機科学部と柔道部の全面協力の元、反恋部は学園を封鎖し、チョコレートの持ち込みを校門で全て排除する。しかし、非モテ生徒により校内へチョコレートは入り出し、生徒会の宮前が柔道部主将を再起不能に陥れると形成は一気に逆転する。絶体絶命、フラワーアレンジメント研究部室にバリケードを築き立てこもる高砂と領家。陥落もまもなくとなったその時、領家がチョコレートを取り出した。
「私はおまえのことが、好きだ」
そして告白を受けた高砂は……。

2巻

3月。地上部室と印刷機を失った高砂たちは、部室を取り戻す策を考え出す。風紀委員会に偽装して生徒会と交渉をするのだ。目論見通り領家の委員長就任が実現した。恋愛活動の支援に部室が必要だと生徒会長・宮前に提案すると、生徒会室への合流を勧められる。が、高砂と領家の仲を見て旧フラワーアレンジメント研究部室を改修の上提供するという。印刷機の奪還により反恋愛活動がやりやすくなった上に、風紀委員の活動を反恋部として批判するマッチポンプも可能になった。活動として恋愛相談を開始するが、男女を結びつける以外の方法で解決を図ったため、評判は悪くなる一方だった。
そんな中、1人の女子生徒が「告白を断りたい」という相談を持ちかけた。上峰泉、映画研究部の2年生である。彼女の相談を受け、文化部発表会で上映するプロパガンダ映像をつくる案が浮上する。映画を用いて、上峰に対する告白を改めさせようという魂胆である。
反恋部員の身バレという問題が出るが後回しにし、恋愛主義者の悲しい末路を描いた短いもののシナリオをそれぞれ持ち寄った。しかし、西堀[注 1]、瀬ヶ崎[注 2]は自らの欲望に忠実なシナリオで、神明に至っては学園ラブコメという枠を守ってすらいない[注 3]。領家のものは「主人公は高1の女子で、クラスの気になる男子と仲良くなるが、なかなか距離は縮まない。バレンタインに告白するが振られてしまい、絶望しても強く生きていく」という実体験を描いたものだった。結局シナリオは高砂の無難なものに。上峰には風紀委員のプロモーション映像とごまかし、カメラを借りる。その際、上峰には想い人の大学生がいることを知る。
シナリオが決まり、撮影に入る。
恋愛主義者で受験に失敗するヒロインと、反恋愛で受験に合格し、順風満帆な人生を謳歌するもう一人のヒロインの人生。
受験に失敗するヒロインを領家、その恋人を高砂。受験に合格するヒロインを西堀が演じる。多くの生徒に顔が割れている瀬ヶ崎と神明はカメラマンと監督だ。
撮影の最中、新たなる懸念事項がやってきた。スキー合宿だ。カップル成立率の非常に高い大性欲賛会主導のイベントで、雪山での反恋愛活動が決定した。スキー場で高砂と領家は早速、リフトの上から反恋演説を始める。そして、山頂を目指す途中にリフトが止まってしまう。バレンタインのお返しにとネックウォーマーを取り出す高砂。まるでリア充じゃないか! と言いつつ、喜ぶ領家だった。
温泉旅館にたどり着くと、男女別に大浴場を満喫した。浴衣の女子たちとトランプで遊んでいるうちに、夜は更けていく。
同室の瀬ヶ崎と女児が眠ってしまったのち、高砂は内露天風呂に入ろうとする。すると、領家が先客で入っていた。女子の部屋とこの露天風呂はつながっていたのである[注 4]。暗がりの中、見えない相手をどうしても意識してしまいながら他愛ない会話をしていると、領家はやはり高砂が好きだということを言い出す。反恋愛に矛盾しないよう、高砂は領家以外の誰とも付き合わない、という恋愛関係にならずとも安心できる関係の提案をした。その契りをしながら、夜は更けてゆく。
文化部発表会2日前。編集作業に追われる高砂は気晴らしに上峰を訪ねる。映画への思いを語り、脇目も振らず打ち込む姿を見ることができた。発表前夜、映画は完成するが部員顔出しの解決策が見つからない。生徒会との全面対決もやむなしと、女児も加えて鍋を囲みながら微調整を続ける。
当日朝。ギリギリに駆け込んだ反恋部は上映される映画を見て驚愕する。

3巻

新学期がやってきた。新入生からあらたな反恋部員の獲得に領家は燃えている。講堂で開催される新入生歓迎会を利用し、反恋愛思想を広めようと動き出す。西堀が漫画研究会として発表していると、照明が落ち、西堀を人質に領家の演説が始まった。演説に合わせビラがまかれ、新入生はついつい手を伸ばしてしまう。その時、宮前が突入してきた。人質開放に走る宮前はポケットから警棒ならぬ自撮り棒を取り出した。角材で応戦する領家。角材が割れ、自撮り棒がひしゃげる。絶体絶命か、と思うと反恋部は逃亡する。
圧倒的パフォーマンスを展開したが、門戸を開放しない秘密クラブには誰も新入生は来なかった。そこで、風紀委員の隠れ蓑を利用し、恋愛意識アンケートを実施した。半数の生徒が回答し、その中に反恋愛的な結果が1人だけ混じっていた。恋愛に対する超保守的思考。素行調査を行い、天沼皐という女子生徒を呼び出した。
どんなにカマをかけても彼女の反恋部に入りたい気持ちは本物だ。領家はすっかり天沼を気に入り、反恋部を迎え入れるのだった。女子三人に早々に懐く天沼。瀬ヶ崎も気に入ったようだ。領家は地下アジトの存在も教えることにした。
放課後、どうも天沼のことが気になる高砂は地下アジトに戻る。すると、天沼がやってきて何かを仕掛けだした。彼女はスパイだったのである。前に女児が言っていた直属の近衛兵に当たる存在。力ずくで高砂の口を塞ごうとする天沼に、苦し紛れに自分も大性欲賛会のスパイだと言う。天沼は高砂と領家の仲を引き合いに出し、自分の家来になれと恐喝しだした。
翌日、生徒会の女子が訪ねてきた。染谷と名乗る女子は、彼氏の浮気調査を依頼する。自分の彼氏が宮前と逢瀬を重ねているという目撃談があったからである。宮前を糾弾し、生徒会を潰すチャンスになりえるだろうと、さっそく動き出した。
週末、領家と2人で浮気調査をしようと約束をする。しかし、天沼からの誘いでダブルブッキングとなり、逆らえず領家との約束を断ることになってしまう。天沼とのミーティングはデートのようなものになった。買い物をしカフェに行き、本題のミーティングはラブホテルで行われた。大性欲賛会系列のホテルだからである。
天沼は何者なのか。高砂の疑問に彼女は答えだした。天沼は両親が大性欲賛会員であり、親の立場を利用して楽に生きてきた。恋愛はたかが契約で、必要になればすればいいのだ。そういうドライな考えから大性欲賛会にいる。高砂もいくらかの情報を与え、ホテルを出る。今まで全くなかった恋愛観に混乱しながら。直後、2人は領家薫と出くわした。
その夜、何度連絡してもコンタクトは取れず、翌日もほとんど話せない。無理やり自転車で逃げる領家を捕まえて弁明するが、聞く耳を持たなかった。地下アジトで仲直りの協力を天沼にしている最中、領家が戻ってくる。誤解が誤解を生み、高砂の苦し紛れの皮肉が2人の仲を引き裂く決定打になってしまう。
染谷が、宮前と彼氏がホテルから出てくる目撃証言があったと報告に来た。自らに重ね激昂する領家。宮前の破滅を宣言し、無謀とも言える生徒会への正面突破を天沼と叫びだした。他の4人は自爆と同じことだと困惑するしか無い。
頼れるのは天沼だけ。そう決めた日の放課後、彼女に地下アジトに呼び出される。領家との仲直りを助けてほしいと高砂は頭を下げる。本当に領家が大切なのか?
天沼に問い詰められた高砂は……。

4巻

反恋愛思想の総点検と世界同時革命に向けた夏季遠征合宿
中編。
梅雨も開け、夏休みも近くなった反恋部。いつもの演説には生徒から非難轟々だった。恋愛よりも定期テストを粉砕しろ、と。定期テスト前に対策しようとする姿勢がおかしいと批判する領家だが、定期テストのストライキで好感度をあげる提案をするが、憎きリア充が喜んでしまうためにむしろ優秀な成績を残せばよいのでは? という考えに至った。丁度、部活動大公成績リレーなるものが介される。1位になって、生徒会の陰謀に抗議しようではないか。
テストを不安なく乗り越え、反恋部(成績リレーは風紀委員名義)は2位になる。1位は天文部で部員が1人のため、繰り上がりで旅館の宿泊権利を手に入れた。合宿を決行するのにうってつけの舞台だ。長い夏休みが始まる。
電車で2時間、房総半島の海沿いの街にたどり着いた一行。と女児。荷を解くと手持ち無沙汰になる。それなら海へ行こうと提案する高砂。しかし、領家はホワイトボードを持って戻ってきた。この合宿の目的は勉強会である。1日目は勉強会で終わり、2日目も午前は講義が続いていた。女児に諭され、一行は海の家で昼食を取ることになった。まずい昼食を食べ、水着で浜に再集合。領家が演説を行った。
その後、休憩と称して遊び出す。スイカを割ったり、泳いだり。いつの間にか領家と神明がナンパされてしまうが、高砂が割って入り、天沼の急襲で再起不能。更に女児に瞬間移動で飛ばされてしまう。
晩御飯の後、旅館の娘、文と仲良くなる。泣きながら相談に来た文の悩みは、反恋部として見逃せないものだった。
恋愛至上主義による悲劇とその再帰的構造についての試論
中編。
反恋部に夏休みはなく毎日反恋愛活動の作業を続けていると、風紀委員会に依頼主がやってきた。超常現象研究部の上落合茵と、円阿弥である。この学校にある七不思議[注 5]その中でもとりわけ謎の多い不思議が、満月の夜に失恋した映画研究部の女子生徒の幽霊話である。部室棟でいかがわしい行為に及ぼうとした生徒の邪魔に現れる。そして、いかがわしい行為に及ぼうとした女生徒の首は血塗れに染まるのだ。という。
調査は高砂主導で動き出した。天文部と映画研究部に協力を仰ぎ、過去のフィルムも発見できた。わずかばかりの映像と、白い影。怪談の輪郭はぼやけたままである。進展を伝えに行くと、上落合は調査の報告を喜んだ。そして祭に行けば進展が在るのではという。
祭には浴衣の反恋部員に女児と全員集合だ。上落合も円阿弥も合流。上落合は自分で調査を勧めると言い、こちらは反恋部活動である。浴衣に半被、トラメガにサングラスで叫びながら祭を練り歩く。反恋部の前に、宮前が立ちふさがった。宮前の投げる水風船をコルク銃で撃ち落とす領家の大立ち回り。
超常現象研究部との活動に戻る。領家の手を取り人の多いエリアを進むと謎の光を目にする。それを追ううちに領家とははぐれ、青白い女の陰に遭遇。しかしよく見れば円阿弥だった。領家と上落合に合流するが、火の玉は懐中電灯の見間違いだという。
結局怪談調査は進まなかった。上落合は「謎は謎のままがよい」という。円阿弥の言ったことばである。しかし、円阿弥とは誰だ? そう上落合は言うのだった。

5巻

9月。反恋部にとっては充実の夏季休暇が終わり、文化祭が迫っている。西堀は文化部連、瀬ヶ崎は運動部連、神明はミス・コンテストの運営、天沼は1年生クラス代表者としてそれぞれが反恋部のために活動をしている。領家と高砂も、前々から実行委員で暗躍していた。クラス展示、部活の屋台などで賑わう中、領家たちの2-Fも喫茶店を出店する。
生徒会からの弾圧はエスカレートしていた。毎日の荷物検査に、アジト発見への情報提供も喚起されている。風紀委員会居室も調査されてはまずいため、地下アジトに備品を移動しなくてはならなくなった。その間、瀬ヶ崎は一般生徒名義で抗議をし、西堀も偽アジトの情報をリークした。立ち入り調査の情報を得るために、神明が生徒会役員の拉致を提案する。拉致した男子生徒に精神的な攻撃をしかける反恋部。実はハブられているのだろう? その年でその地位で彼女がいないのはお前に問題があるのだろう? と。誰もがやりすぎたと思う中、心を鬼に自己批判を要求する。男子生徒は泣きながら叫んだ。「リア充爆発しろ!」と。そして本来の目的だった監査の日程に合わせ、風紀委員会居室を綺麗にし乗り切ることができた。
事態は急転直下、地下にアジトが存在するというタレコミが入った。犯人は筆跡でわかる。女児の仕業である。急ぎ地下アジトの破壊に入った。名簿、各データ類、何もかもを消去する。生徒会の突入まで僅かな時間、ぎりぎりまで続けると領家と高砂が残った。脱出の時間は残されていない。高砂はダメ元で、使用したことのない講堂に向かう通路を進もうと提案する。コンクリートで封鎖されていたとしても、何もしないよりマシだ、と。すると講堂側にははしごがあった。一度塞いだコンクリートには、再び穴を開けた形跡が在る。登って行くと、講堂内の倉庫に出た。しかし、講堂の外に生徒会の見張りがいる。地下からは宮前が迫ってくる。2人はシャツのボタンを外し、領家が高砂にまたがった。宮前がやってくると、事に及ぼうとしている2人に出くわすこととなる。急いで乱れた衣服をなおす領家。そして、地下アジトを失ったが2人は生還したのだった。
女児を問い詰める高砂。案の定、すべて彼女の仕組んだものだった。女児の策にまんまと嵌められたのだ。生徒会は反恋部を壊滅させたかのように喧伝し、宮前は過労でへとへとになりながらも文化祭実行委員長との両立で働いていた。文化部会議は白熱し、西堀は生徒会の女子と懇意にしている。心を鬼に、裏切ることができるのだろうか。瀬ヶ崎の周囲もざわついており、彼の取り合いでぎすぎすしていた。神明のミスコンも彼女を甘くみているようで、不満がたまっているのが分かる。天沼も一年生と見くびられ、反恋部は鬱憤がたまりつつあった。領家のカリスマ的な演説と行動だけが現状を打破してくれると高砂は信じていた。なのに。
「私は議長を辞任する」
領家から放たれた言葉は驚愕のものだった。高砂は激昂する。軟弱者は出ていけ! 他の部員の説得に聞く耳持たず、演説は続く。領家はもう革命戦士ではない。リア充じゃないか。あの母親そっくりだ! 領家を除名し、速攻で俺も辞めてやる。そしてお前に告白する。恋人になってやる。反恋部もなくなるし、みんなでリア充になってやる。領家が議長でないと反恋部そのものが、思想ごとなくなってしまう。悪いのは領家の魅力だ。だから、自己批判しろ。
「流されて議長の私がリア充になってしまうところだった。高砂と付き合う羽目になりかねなかった。アジト損失分を補填できるようにがんばります」
いつもどおりの調子に戻った領家は反恋部を再スタートする。手始めに生徒会に扮したアジビラを撒き、反恋部が生きていることを証明した。それぞれの文化祭準備は進んでおり、高砂ら2-Fの喫茶店、西堀の描く第二美術部の漫画、瀬ヶ崎はテニス部のクレープ屋、神明はクラスの展示(「鉄道の時相〜黎明期から高度経済成長期」)とミスコン運営、天沼はクラスのお化け屋敷と大忙しである。後夜祭の企画委員長である領家も八面六臂の仕事をしている。
文化祭前夜、部室に泊まり込む高砂のもとに、一度帰宅した領家が戻ってくる。二人きりの夜は手を繋いだまま眠りに落ちてゆく。
文化祭1日目、講堂の開会式。宮前の挨拶を邪魔するように、反恋部の声明とともにスローガンを掲げた垂れ幕を掲示し生徒の注意を向けることに成功する。展示を見つつ巡回しつつ、他の部員を尋ねる。もう裏切りも怖くないという西堀、女子テニス部員の妹を案内できると喜ぶ瀬ヶ崎、ミスコンのステージをひとりで主導する神明、行列ができる天沼のクラスのお化け屋敷。それぞれが全力で文化祭に挑んでいる。領家も喫茶店の店員を手伝っている。しかし、生徒会長の宮前は違った。生徒会そして文化祭実行委員長の役目で手一杯になり、クラス展示は休憩室という手抜きになってしまったのだ。
2日目。朝からでかでかと横断幕を掲示した。宮前はミスコンに出場しているため止めるものはいない。反恋部の面々もそれぞれの努力が実りつつある[注 6]。そんな中実行委員の活動に精を出す高砂と領家の前で、宮前が過労で倒れてしまった。敵ながら同情し、領家が宮前の代理を務めると言い出したのだ。あらゆる事態にカリスマを発揮し、反恋部の仲間とともに奔走する。宮前のヘルプもあり、一般開放は大成功のもと終えることができた。礼を言う宮前は、生徒会長の後任に領家を強く推薦したいという。反恋部が覇権を取るためには、それも悪くないアイデアだった。
後夜祭が始まる。キャンプファイヤーの火が揺らめく。「学生注目!!」。宮前が壇上に立ったそのとき、屋上で声高らかに叫ばれる。領家薫は反恋部の手に落ちたと自作自演を見せつけながら、校舎内への立てこもりが始まる。議長と人質を演じ分けながら、生徒をあおる領家。一方の宮前は、領家にそんな仕打ちをする反恋部を許すことはできなかった。自ら先頭に立ち、救出に走り出す。
反恋部の協力者たちは宮前の叫びになすすべもなかった。彼女のいない程度で弱音を吐くな。事務に忙殺され、生徒会長という役職で男に避けられ、それでも他人の幸せを願わずにはいられない。澄んだ目で突き進む彼女は強かった。
ぼろぼろになりながら、屋上にたどり着いた宮前はゲバ棒を拾い、顔を隠した領家に振りかざす。平行線の議論をぶつけ合い、本気のやりあいとなった。疲労から、先に膝をついたのは宮前だった。倒れ行く中、領家の顔を隠す手ぬぐいを引き抜く。
宮前は驚愕する。なぜならそこにいるのは領家薫だったからだ。

注釈

  1. ^ 付き合っている彼氏が死に、実は多くの女子と浮気していたことが発覚する。強姦や堕胎で男を信じられなくなった彼女を支えたのは、女同士の友情だった。
  2. ^ 彼女のSNS裏アカウントには、主人公への罵倒が同級生との話の種にされていた。人を信じられなくなり自殺しようとした主人公を救ったのは、幼い少女の無垢な瞳だった。
  3. ^ 西暦3615年、生殖ディストピアの地球で未開の地に逃げ込んだ主人公は部族の少女と恋をする。しかし、地球政府によりすべてを破壊されてしまう。そんな中に襲来した宇宙人によって、2人が選択された。
  4. ^ 温泉旅館を手配した宮前の配慮である。
  5. ^ 18の怪談が七不思議になっている。
  6. ^ 西堀:描いた漫画が好評。瀬ヶ崎:クレープ屋に親子連れも多く訪れる。神明:ミスコンの運営にカリスマを発揮。天沼:お化け屋敷が全校でも1位のアトラクションになりそうだ。
  7. ^ 5巻現在、高砂の名前は明かされていない。
  8. ^ 2ページ以上にわたり領家の好きなところを述べるくらいに惚れている
  9. ^ 2階の高さから飛び降りての逃走を二度している他、スキーの経験も豊富で上手い。高いところでの演説の際は、スカートの下に体操着を履いている。
  10. ^ 昼食の弁当は自分で作っている。短編「2・3 恵方巻粉砕闘争」では、実際に恵方巻を自分で作っている。
  11. ^ コーラ・メントス銃や射的用コルク銃など
  12. ^ 渋谷での演説、夏祭り会場などでは警察に演説を注意されることがあった。
  13. ^ 浅草、渋谷、夏祭り会場などで疲れた顔をしていた。ただ、人混みでは高砂と密着することが多いので、原因は人疲れではないのかもしれない。[独自研究?]
  14. ^ バレンタインの偵察時には、2人きりではなかったことを残念がり、高砂が文と2人部屋になったときも心配で眠れなかった。短編 反恋愛的デートプランを提案せよ! では神明と高砂が2人で乗った電車を尾行し、西堀の自宅に高砂が一人で行った際も訪問してきた。
  15. ^ フラワーアレンジメント同好会アジト陥落時、地下アジト陥落時、屋上での攻防戦、夏祭り、新歓フェス後など。ただし、反恋部の他メンバーの配慮もあると思われる。
  16. ^ 領家はITを「あいてー」と発音する。
  17. ^ 彼女を性的な妄想の対象にしていることをわざと聞こえるように話すなど。
  18. ^ 作者の椎田十三も同じ趣味を持っているようである。3巻あとがきには青春18切符旅の模様が書かれている。
  19. ^ 地球から100メガパーセク離れた位置を時空の特異点通過した際に、特異点経由で来たという。
  20. ^ 宇宙年齢を138億とすると、およそ69億歳。
  21. ^ 5巻現在、宮前の名前は明かされていない。
  22. ^ 領家が反恋部議長と判明しても、彼女の身の安全に安堵し抱きついた。
  23. ^ 互いをかばい合う、行きのぴったりな様子を見せつけられる、自己批判を要求するもその内容がリア充そのものの行動を反省する、など。
  24. ^ ワタルは瀬ヶ崎渉と同じ名前だが、関係ない別人と思われる。
  25. ^ この時、女児が宮前に扮していたため、当人が田島を覚えているかどうかは謎である。
  26. ^ 印刷機は部室棟にあった壊れたものを修理して使用していた。
  27. ^ 学園と呼ばれる記載があることから、私立高校の可能性がある。
  28. ^ 多数決ドラマ第4弾「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」と同時に発表された。

出典

  1. ^ a b c d 大橋崇行 / 山中智省『ライトノベル・フロントライン 3』青弓社、2016年12月31日、23-24頁。ISBN 978-4-7872-9242-1 
  2. ^ 『このライトノベルがすごい!2016』宝島社、2015年12月5日、87頁。ISBN 978-4-8002-4766-7 
  3. ^ 第1巻第1章より、友人がいないわけではない。
  4. ^ 第4巻、領家がパーカーを脱いで水着になるシーン。
  5. ^ 第1巻より、大晦日の初詣デートのとき。
  6. ^ 反恋部という呼称はあらすじあるいは電撃文庫の公式サイトで見ることができるが、本編にそのような記載はない。
  7. ^ 2・3恵方巻粉砕闘争より。
  8. ^ 反恋愛的デートプランを提案せよ! より。
  9. ^ 電撃文庫MAGAZINE Vol.42 作品紹介ページより
  10. ^ いでおろーぐ! 1”. KADOKAWA. 2021年7月18日閲覧。
  11. ^ いでおろーぐ! 2”. KADOKAWA. 2021年7月18日閲覧。
  12. ^ いでおろーぐ! 3”. KADOKAWA. 2021年7月18日閲覧。
  13. ^ いでおろーぐ! 4”. KADOKAWA. 2021年7月18日閲覧。
  14. ^ いでおろーぐ! 5”. KADOKAWA. 2021年7月18日閲覧。
  15. ^ いでおろーぐ! 6”. KADOKAWA. 2021年7月18日閲覧。
  16. ^ いでおろーぐ! 7”. KADOKAWA. 2021年7月18日閲覧。
  17. ^ いでおろーぐ!革命議事録 「漫画、書き下ろし小説と原作イラスト」 乳首解禁”. アキバBlog (2017年3月28日). 2022年7月17日閲覧。





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