スコットのトリック
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/13 10:13 UTC 版)
集合論において、スコットのトリック(英: Scott's trick)とは真クラス上の同値関係についての同値類の定義を、累積的階層のレベルを参照することによって与える方法である[1]。
この方法は選択公理でなく正則性公理に依存している。選択公理を仮定しないZFにおいて順序数の代表元を定義するのに用いることができる[2]。この方法は Dana Scott (1955) によって導入された。
順序数の代表元を集合として定義する問題を超えて、スコットのトリックは基数の代表元を得たり、もっと一般的な同型類にも用いることができる。例えば、全順序集合の順序型はその一例である[1]。また、スコットのトリックはモデル理論において真クラスの超冪を作るときに(選択公理を仮定したとしても)必要であると信じられている[3]。
濃度への応用
スコットのトリックの典型的な使われ方は、濃度に対する使用例に見られる。
濃度の元々の定義は集合の同値類で、間に全単射が存在しているものを同値と見なすものである。この定義の問題点は、ほぼ全ての同値類が真クラスになってしまい、集合のみを扱うZFなどの理論では直接扱うことができないものになってしまうことである。集合論の文脈においては同値類の代表元である集合が存在することが望ましいことが多く、これらの集合は定義によって基数"である"と見なされる。
ZFCにおいて、濃度の代表元として基数を割り当てる1つの方法としては、同じ濃度を持つ順序数のうち最小のものを基数とするものがある。これらの特別な順序数はいわゆるアレフ数である。しかし選択公理を仮定しないZFの場合、濃度によっては最小の順序数が見つかるとは限らず、それらの集合の濃度は代表元としての基数になる順序数を持てない。
一方、スコットのトリックでは異なる方法で代表元を割り当てる。任意の集合
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