NEXTAGE (ロボット)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/29 02:34 UTC 版)
NEXTAGE(ネクステージ)は、カワダロボティクス株式会社が開発・販売するヒト型ロボットで、製造現場での安全性と生産性の向上を目指している。呼称は双腕多関節ロボットや人型工業用ロボットなど、さまざまある。
産業用ロボットの一種の協働ロボットである。
概要
NEXTAGEは、1998年度~2003年度に実施された「人間協調・共存型ロボットシステムプロジェクト(ヒューマノイドロボットプロジェクト)」の成果を基に開発された。このプロジェクトでは、カワダロボティクス(当時は川田工業株式会社)が製作設計を担当したHRP-2ロボットが開発され、現在も研究機関で使用されている。NEXTAGEは2009年に提案され、実用的な製造現場での協働を目的としたロボットとして進化した[1][2]。
2018年6月に新型「NXA」シリーズを発表した[1]。
設計と特徴
NEXTAGEは15軸の自由度を持つ双腕多関節ロボットで、頭部にステレオカメラ、手に追加のカメラを装備し、精密な物体認識と操作が可能。各アームのペイロードは最大6kgで、位置再現性は高く、安全柵なしで人間と一緒に働くことができる。クロスマークシールを用いた環境認識機能により、作業環境の変更やロボットの移動が容易。また、独自のソフトウェア「NxProduction」を標準搭載しており、プログラミング知識がなくても操作が可能[3]。
技術仕様
- 自由度 15軸(各アーム6軸、首2軸、腰1軸)[4]
- ペイロード(可搬質量) 両アーム最大6kg[1][2]
- 安全機能 アクチュエータ出力80W以下、安全柵なしで協働可能[4]
- 環境認識 ステレオカメラ、クロスマークシール使用[4]
- ソフトウェア NxProduction(プログラミング不要の操作)[4]
アプリケーションと導入例
NEXTAGEは製造業や3品産業(食品、化粧品、医薬品)の製造ラインをはじめとした幅広い産業で活用されている。
- 自動車・電機産業
- 組立や検査作業に使用。自動車や電機関連の多品種少量生産ラインで有効[4]。
- 化粧品・日用品産業
- 梱包や出荷作業に活用。具体的には、資生堂や花王などへ導入[4]。
- 物流分野
- 2018年の国際物流総合展で、3m×3mのエリア内で部品ピッキング作業をデモンストレーション。SLAM式AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)を使用し、特別な装置なしでピッキング、梱包、検査、サービングを行う。
- 具体的な事例
-
→「ロボットカフェ § テレバリスタ」も参照
NEXTAGEは電子機器、自動車、食品産業など100以上の生産・物流現場への導入に加え、近年では飲食店など更に幅広い分野で活躍している[1][2][4][6][7]。
受賞と評価
NEXTAGEは以下の賞を受賞しており、その革新性が評価されている。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d “武器は「共感を呼ぶ力」、カワダロボティクスが人型協働ロボットを新投入した狙い”. ビジネス+IT(SBクリエイティブ) (2022年4月27日). 2025年6月23日閲覧。
- ^ a b c “ロボットデータベース|NEXTAGE(ネクステージ)”. ロボスタ. 2025年6月23日閲覧。
- ^ “カワダロボティクス株式会社|ヒト型ロボット「NEXTAGE」”. evort(エボルト). 2025年6月23日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “人と一緒に働くヒト型ロボット NEXTAGE”. Mavic (2019年7月10日). 2025年6月23日閲覧。
- ^ “テレバリスタプロジェクト”. 川田テクノロジーズ株式会社. 2025年6月28日閲覧。
- ^ a b “双腕ロボットがバリスタやコンビニ店員に、外出困難者に就労の道を開く”. 日経クロステック (2020年9月14日). 2025年6月6日閲覧。
- ^ a b “「分身ロボットカフェ」、カフェと新たな働き方を開発する公開実験店を融合した体験型施設として5/1(月)よりリニューアルオープン! 働き方の提案を強化し、食事を楽しみながら新しい働き方の実験を体感できる施設へ進化 株式会社オリィ研究所”. PR TIMES (2023年4月25日). 2025年6月6日閲覧。
関連項目
外部リンク
- NEXTAGE_(ロボット)のページへのリンク