モールの定理

- 両端が可動支点と固定支点で支持され、途中に曲げ剛性の不連続点や中間ヒンジが存在するはりに、曲げ剛性の不連続点に荷重(緑の矢印)を作用させて
- 曲げモーメント
自由端 固定支点 回転支点 可動支点 中間ヒンジ 中間支点 片持ちばり 片端張り出しばり 両端張り出しばり 2径間ゲルバーばり 3径間ゲルバーばり 弾性荷重法
弾性荷重法の例 モールの定理を利用して、たわみやたわみ角を求める方法を弾性荷重法と呼ぶがこれは以下のように整理される[12][注 2]。
- 与系の曲げモーメント M を求める。
- 曲げモーメントを曲げ剛性 EI で除して、弾性荷重 z = M/EI を生成し、共役ばりに作用させる。
- 共役ばりにおけるせん断力(相当量)Q を求めると、与系のたわみ角 θ を得ることができ、さらに曲げモーメント(相当量)M を求めると、与系のたわみ v を得ることができる。
このように、弾性荷重法を使うと、微分方程式を直接解くことなく、はりのたわみやたわみ角を求めることができるが、以下のような長所と短所がある[13]。
- 長所
-
- 微分方程式を直接解く場合には、はりの中間でモーメント外力が働いていたり、断面寸法(曲げ剛性)が急変したりすると、場合分けが必要になり解法が煩雑になる。一方、弾性荷重法ではそれが必要ない。
- ある特定の点でのたわみやたわみ角だけが必要な場合、曲線を全て求めなくても、共役ばり上でのその点の曲げモーメント相当量あるいはせん断力相当量だけを求めるだけでよい。
- 短所
-
- 荷重の分布形状が複雑で曲げモーメント高次式になる場合、弾性荷重の合力の大きさや作用位置の計算が煩雑になる。
- 計算に曲げモーメントが必要になるので、弾性荷重法のみでは不静定ばりは解くことができない。
脚注
注釈
出典
- ^ a b 山本 & 久保 1987, p. 126.
- ^ 宮本ほか 1994, p. 99.
- ^ a b 崎本 2004, p. 151.
- ^ a b 崎本 2004, p. 153.
- ^ 崎本 2004, pp. 160–161.
- ^ 米田 2003, p. 149.
- ^ a b c d 岡村 1998, p. 171.
- ^ a b 崎本 2004, p. 161.
- ^ a b ティモシェンコ 2007, pp. 256–258.
- ^ 山本 & 久保 1987, p. 125.
- ^ 岡村 1998, p. 172.
- ^ 崎本 2004, p. 165.
- ^ 崎本 2004, p. 167.
参考文献
- 崎本達郎『構造力学[上]』森北出版〈基礎土木工学シリーズ1〉、2004年。ISBN 4-627-42510-4。
- 宮本裕 ほか『構造工学』技報堂出版、1994年。ISBN 4-7655-1542-7。
- 岡村宏一『構造工学(I)』鹿島出版会〈土木教程選書〉、1988年。ISBN 4-306-02225-0。
- 山本宏、久保喜延『わかりやすい構造力学(I)』鹿島出版会、1987年。ISBN 4-306-02248-X。
- S. P. ティモシェンコ 著、川口昌宏 訳『材料力学史』最上武雄 監訳、鹿島出版会、2007年(原著1953年)。ISBN 978-4-306-02390-1。
- 米田昌弘『構造力学を学ぶ: 基礎編』森北出版、2003年。ISBN 4-627-46511-4。
関連項目
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