MAS 38短機関銃とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > MAS 38短機関銃の意味・解説 

MAS 38短機関銃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/20 08:43 UTC 版)

MAS 38
MAS 38
種類 短機関銃
製造国 フランス
設計・製造 サン=テティエンヌ造兵廠
仕様
口径 7.65mm
銃身長 224mm
使用弾薬 7.65x20mmロング弾
装弾数 32
作動方式 ブローバック
全長 630mm
重量 2.87kg
発射速度 600–700発/分
銃口初速 350m/s
最大射程 200m
有効射程 100m
歴史
設計年 1938
製造期間 1938–1949
製造数 1,958
テンプレートを表示

MAS-38は、第二次世界大戦で使われた1930年代のフランス短機関銃。1918年から1922年にかけて、既存の小火器に代わるものとして短機関銃、軽機関銃半自動小銃が開発された小型武器開発プログラムの一部として作られた。

歴史

フランス軍事博物館で展示されている1935年の試作品

MAS-38は、1935年に試作されたMAS-35を基に開発された[1]。当時、フランス陸軍省はサブマシンガンの必要性は低いと考えており、制式採用は1938年、量産開始は1939年までずれ込んだ。1940年にドイツ軍がMAS(Manufacture d'Armes de St-Etienne:サン=テティエンヌ造兵廠)の工場を占領したとき、使用されていたのはごく少数であった[1]。ドイツ軍はこの銃をMP722(f)と名付けて使用した[2]。ドイツ軍のために生産は継続され[2]、一部はヴィシー・フランスに供給された。

生産は1949年に終了した。フランス警察は第二次世界大戦後もMAS-38を使用し続けたが、1950年代にMAT 49短機関銃に取って代わられた。

この銃は1945年4月28日、イタリアのパルチザンファシストの元指導者ベニート・ムッソリーニを処刑するために使用されたことで知られている[3]

設計

ベニート・ムッソリーニの処刑に使用されたMAS-38(アルバニア国立歴史博物館)

使用弾薬はM1935ピストルと同じ7.65x20mmロング弾であり、これは限定的な標準化を可能にした。

レシーバーとボルトが銃身の軸からわずかに傾斜しているため、ボルトが銃床を通る筒の中で反跳することで反動を減らして銃をコンパクトにできるほか、摩擦を増やしてボルトの動きを遅くし、軽いボルトを使用しつつ発射速度を抑えている[1]オープンボルト方式で動作し、射撃はフルオートのみである[4]。また、トリガーを前方に折り畳むことによってボルトがロックされるという珍しい安全装置がある[1][5]。シンプルな構造なので分解に工具を必要としない。ほとんどの部品は、生産効率の低い削り出し加工によって製造されていた[4]

照準器は三角形のフロントサイトと折り畳み式アパチャーサイトのリアサイトから構成されている[5]。使用弾薬と特徴的なメカニズムのおかげで反動は少なかったが、この弾薬はドイツが使用する9x19mmパラベラム弾と比較するとパワー不足であった[5]

使用国

脚注

  1. ^ a b c d MAS-38” (英語). Modern Firearms (2010年10月27日). 2024年9月9日閲覧。
  2. ^ a b MAS 38 (Pistolet Mitrailleur MAS modele 38) Submachine Gun (SMG)”. www.militaryfactory.com. 2024年9月9日閲覧。
  3. ^ “Gun that killed Mussolini shown”. (2004年8月5日). オリジナルの2023年5月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230516141346/http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/3539272.stm 
  4. ^ a b 床井雅美『最新サブ・マシンガン図鑑』徳間書店、2000年7月15日、162頁。ISBN 4-19-891342-0 
  5. ^ a b c French MAS-38 SMG” (英語). www.forgottenweapons.com (2013年5月17日). 2024年9月9日閲覧。

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  MAS 38短機関銃のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「MAS 38短機関銃」の関連用語

MAS 38短機関銃のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



MAS 38短機関銃のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのMAS 38短機関銃 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS