パンドーラ (潜水艦)とは? わかりやすく解説

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パンドーラ (潜水艦)

(HMS Pandora (N42) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 08:43 UTC 版)

パンドーラ (HMS Pandora) はイギリス海軍潜水艦パーシアン級。艦名の由来はギリシャ神話のパンドーラーであり、イギリス海軍でこの名前がつけられた10隻目の艦である[1]

艦歴

1928年2月7日発注[2]バロー=イン=ファーネスヴィッカース・アームストロング社で建造され、1928年7月9日起工[2][3]。1929年8月22日進水[3]。1930年6月30日就役[2]

当初艦名は「パイソン」(Python、意味はニシキヘビ)であったが、イギリス海軍での蛇の名前が付けられた艦に対する嫌悪感から1928年に艦名は変更された[Note 1]

1930年12月、「パンドーラ」はポーツマスから中国へ向け出発。1931年2月に香港に到着し、1940年まで中国艦隊に所属した[1]。1940年、「パンドーラ」は第1潜水隊の所属となった[4]

1940年からは地中海で活動。7月、アルジェリアオラン付近での対フランス艦隊の作戦に参加。7月4日、アルジェ付近でフランスの通報艦「リゴー・ド・ジュヌイー」を沈めた。8月にはマルタへ補給物資を届けた[5][1]。 , 9月、ベンガジ沖で813トンの船を沈めるが、護衛のイタリア水雷艇「エンリコ・コセンツ」による爆雷攻撃を受けた[6]。1941年1月、パンドーラは3隻の船を沈めた[1]。その内容は、「Palma」(サルデーニャ南方)、「Valdivagna」ともう1隻(カラブリア州スパルティベント岬付近)である[5]

1942年3月31日夜、「パンドーラ」は物資や航空部隊用の魚雷を積んでマルタに到着した[7]。「パンドーラ」はマルサムクェット港に入港し、4月1日明け方にはハミルトン岸壁に移動[8]。4月1日14時30分から15時にかけて行われた空襲で「パンドーラ」は2発の直撃弾を受け、4分経たずに沈没した[9]。1日夜に出港できるようにするため、空襲が始まったときも「パンドーラ」では作業が行われていた[10]。戦死者は士官2名、水兵23名であった[11]。この日の空襲では潜水艦「P36」も撃沈され、「アンビートン」が損傷している[12]

5月8日、「パンドーラ」などの生存者を乗せた潜水艦「オリンパス」がマルタ出港直後に触雷して沈没した[13]

「パンドーラ」は引き上げられた後カルカラクリークに擱座させられてそのままとなっていたが、1957年にスクラップとして売却された[9]

  1. ^ 蛇の名前の艦名に対する疑念の始まりは1890年に173人の犠牲者を出した「サーペント」(Serpent、意味は蛇)の沈没である[1]。1901年には6週間の間に「ヴァイパー」(Viper、意味はクサリヘビ)と「コブラ」(Cobra、意味はコブラ)が失われた[1]。イギリス海軍で蛇の名前が再び使用されることはなかった。

出典

  1. ^ a b c d e f Akermann, Paul (1 November 2002). Encyclopedia of British Submarines 1901?1955. Periscope Publishing. p. 299. ISBN 978-1-904381-05-1. https://books.google.com/books?id=boO7WGL21EQC&pg=PA299 2012年8月24日閲覧。 
  2. ^ a b c HMS Pandora (N42) of the Royal Navy”. uboat.net. 2010年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年6月23日閲覧。
  3. ^ a b Gardiner, Robert; Chesnau, Roger, eds (1980). Conway's All the World's Fighting Ships, 1922–1946. London: Conway Maritime Press. p. 48. https://books.google.com/books?id=bJBMBvyQ83EC&pg=PA48 2011年8月2日閲覧。 
  4. ^ McCartney, Innes (28 November 2006). British Submarines 1939?45. Osprey Publishing. p. 23. ISBN 978-1-84603-007-9. https://books.google.com/books?id=hMaSTi,Hd8V4C&pg=PT4 2012年8月28日閲覧。 
  5. ^ a b Parthian Class Early Patrol Submarines”. BriTsuB. 2012年6月23日閲覧。
  6. ^ Jurgen Rohwer, Chronology of the War at Sea 1939-1945, Naval institute press, 2005, ISBN 1-59114-119-2, p.41
  7. ^ イギリス潜水艦隊の死闘、209ページ、Beneath the Waves、位置6946/10706
  8. ^ イギリス潜水艦隊の死闘、209ページ
  9. ^ a b >Beneath the Waves、位置6954/10706
  10. ^ イギリス潜水艦隊の死闘、209ページ、Beneath the Waves、位置6954/10706
  11. ^ イギリス潜水艦隊の死闘、210ページ
  12. ^ イギリス潜水艦隊の死闘、212ページ
  13. ^ イギリス潜水艦隊の死闘、233ページ

参考文献

  • ジョン・ウィンゲート『イギリス潜水艦隊の死闘』、秋山信雄 訳、早川書房、1994年、ISBN 4-15-207857-X
  • A.S Evans, Beneath the Waves: A History of HM Submarine Losses 1904-1971, Pen & Sword Maritime, ISBN 9781473802674 (Kindle版)



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