Colemak配列とは? わかりやすく解説

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Colemak配列

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/30 09:11 UTC 版)

ANSI Colemak keyboard layout (US)

Colekak配列(-はいれつ)とは、ラテン文字アルファベットキー配列の一種である。キーボードのホームポジションに英語で最も使用される文字を割り当てたことで、最も使用されているQWERTY配列と比べて効率の良いタイピングを行えることを可能にする設計がなされた。ショートカットキーの配置はQWERTYと同様の配置を採用している[1]。Colemak配列は2006年1月に公開され、名前の由来は設計者のシャイ・コールマン(Shai Coleman)に因んだものである[2]

Colemak配列はMicrosoft Windows(Windows 11, version 24H2[3])やmacOSLinuxAndroidChromeOSBSDなど主要なオペレーティングシステムにおいて採用されている。Windowsの過去のバージョンにおいてもキー配列をインストールすることで利用が可能となる[4]。また、AndroidやiOSについてもGboardやSwiftKeyなどのヴァーチャルキーボードを使用することで利用が可能となる[5]。物理キーボードに関しても対応するアプリケーションをインストールすることにより利用が可能となる[6][7]

背景

Colemak配列における英文字の出現頻度の分布図
QWERTY配列における英文字の出現頻度の分布図

Colemak配列はQWERTY配列のキー配列に基づいた設計であり、QWERTY配列において非アルファベットの文字や主要なショートカットキーの配置を維持しながら、17のキーの配置の変更を行った。この変更により、同じくタイピング効率を基に設計されたDvorak配列と比べて既にQWERTY配列を使用している人のタイピングの習得が容易であり、かつタイピング効率を損なわないとされている。Colemak配列は指の移動距離が最小限となるような配置で、ホームポジションの使用頻度が高いことなどDvorak配列と同様の設計思想を有する[8]。タイピングにおいてホームポジションでの打鍵頻度の割合がColemak配列では74%であり、Dvorak配列は70%、QWERTY配列では32%という検証がなされている[9]。デフォルトのColemak配列にはCapsLockキーがなく、Colemak配列ではCapsLockキーの位置にBackspaceキーが配置されている[1]

Colemak配列の設計者であるコールマンはColemak配列を楽しく容易に習得ができるような設計を行ったと言及しており、Dvorak配列はQWERTY配列とあまりにも異なったキー配列であることから、QWERTYの使用者にとって一からの習得が難しいと言及している[10]。Colemak配列はタイピング速度や快適性の向上を目指す代替キーボード配列として、Dvorak配列の代替として注目を集めている[9][11][12]

類似の配列

ISO Colemak-DH配列(UK)

新規利用者がColemak配列を習得しやすくすることを目的としてTarmak配列と呼ばれるQWERTY配列およびColemak配列の中間となる配列が設計されている[12]。これらの配列は、1つ配列につき三から五個のキーの配列のみを変更したものを採用することで五段階のステップに分けてColemak配列の習得を容易にする[13]

Colemak配列はホームポジションに出現頻度が頻繁でない文字の D、H のキーが配置されていることから、HE のような英語のバイグラムにおいて頻繁に出現するような文字入力の際に、指が横方向へ移動がしばしば発生してしまう問題が課題として挙げられている。これを対処するために、Colemak配列のユーザーコミュニティにおいてColemak-DH配列と呼ばれるColemak配列を修正したキー配列が開発されている[14]

脚注

  1. ^ a b Colemak keyboard layout”. 2020年2月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月29日閲覧。
  2. ^ FAQ - Colemak”. colemak.com. 2024年3月24日閲覧。
  3. ^ Announcing Windows 11 Insider Preview Build 26040 (Canary Channel)”. Microsoft (2024年1月26日). 2024年5月29日閲覧。 “Added the Colemak keyboard layout.”
  4. ^ Colemak keyboard layout”. Colemak. 2014年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年2月23日閲覧。 “ergonomic, fast and easy to learn QWERTY/Dvorak alternative”
  5. ^ How do I change the keyboard layout (e.g. QWERTY to AZERTY) with Microsoft SwiftKey Keyboard for Android? – SwiftKey Support”. 2020年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月25日閲覧。 “Supported layouts include [...] Colemak”
  6. ^ Extra Physical Keyboard Layouts”. 2021年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月25日閲覧。 “Adds a few choices to the list of layouts to use when a physical keyboard is connected e.g. via OTG or Bluetooth.”
  7. ^ mod-dh/android at master · ColemakMods/mod-dh”. GitHub. 2022年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月25日閲覧。 “Colemak Mod-DH layouts for a physical keyboard connected to an Android device via USB or Bluetooth”
  8. ^ Krzywinski, Martin. “Colemak – Popular Alternative”. Carpalx keyboard layout optimizer. Canada: Michael Smith Genome Sciences Centre. 2019年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月4日閲覧。
  9. ^ a b Dunn, Matthew (2017年11月30日). “Why you should ditch the QWERTY keyboard layout for one of two other options”. news.com.au. 2018年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月9日閲覧。
  10. ^ Coleman, Shai. “What's wrong with the Dvorak layout”. 2018年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月2日閲覧。
  11. ^ Klosowski, Thorin (2013年10月18日). “Should I Use an Alternative Keyboard Layout Like Dvorak?”. Lifehacker. 2018年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月9日閲覧。
  12. ^ a b Zukerman, Erez (2012年6月8日). “How I Quickly Mastered A Superior Keyboard Layout Without Losing Productivity”. Makeuseof. 2018年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月9日閲覧。
  13. ^ The Tarmak Transitional Learning Layouts”. DreymaR's Big Bag – Tarmak. 2022年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月25日閲覧。
  14. ^ Colemak Mod-DH”. GitHub. 2020年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月30日閲覧。

関連項目

外部リンク




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