CROWS (RWS)とは? わかりやすく解説

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CROWS (RWS)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/27 09:54 UTC 版)

12.7mmM2重機関銃を搭載したM153 CROWS II

CROWS(Common Remotely Operated Weapon Station)は、アメリカ合衆国で調達、運用されているRWS(Remote Weapon Station, 遠隔操作式銃塔)の呼称である。最初に配備されたM101 CROWSと、その後改良型として配備されたM153 CROWS IIの2種類のモデルがあるが、両者は全く別のメーカーの製品をアメリカ軍がそれぞれ制式採用したものであって、M153 CROWS IIはM101 CROWSの直接の後継機種という訳では無い。

概要

CROWSはアメリカ軍による要求仕様に基づいて調達、配備されたRWSである。5.56mmM249軽機関銃7.62mmM240汎用機関銃、12.7mmM2重機関銃Mk19 40mmグレネードランチャーを装備可能で、周囲360°の旋回能力、上方60°下方20°の仰俯角を持ち、ジャイロスタビライザーにより安定化されている。照準用光学機器として可視光用ビデオカメラ、赤外線暗視カメラ(サーマルサイト)レーザーレンジファインダーが搭載されており、弾道計算用のFCS(火器管制装置)を持つ。

マックスプロの車内でM153 CROWS IIを操作する米軍兵士。2012年、アフガニスタン。

2004年にイラク駐留アメリカ軍に配備が始まったM101 CROWSは、Recon Optical Inc製のRWSであるRAVEN R-400をアメリカ軍が制式化した物で、特殊部隊、憲兵隊、歩兵部隊、輸送部隊などに配備された。M101 CROWS(RAVEN R-400)は約560基がアメリカ軍に配備された[1]。2006年にはオーストラリア軍ブッシュマスターIMVへの搭載用に44基のR400S RWSをオーストラリアが購入し、アメリカ以外の初のユーザーとなった。後にオランダ陸軍がオーストラリアからブッシュマスターIMVを緊急購入した際、R400S RWSが装備された車両もオランダ軍に導入された[1]

2007年8月に調達契約が交わされたM153 CROWS IIは、ノルウェーコングスベルグ・ディフェンス&エアロスペース製のプロテクター RWSシリーズの機種であるM153 プロテクターをアメリカ軍が採用したもので、当初からM101 CROWSを大きく上回る約6,500基がアメリカ軍に導入された。2009年にはアメリカ軍の調達数が約10,000基強に増やされている[2]。M153 プロテクターの前身であるM151 プロテクターはアメリカ陸軍のストライカー装甲車の標準装備として配備されていたため、運用評価が進んでいた事や、保守部品の互換性などの優位性があったものと見られる。M153 CROWS IIはハンヴィーM1A2 SEP V2、各種MRAPマックスプロRG-31M-ATVバッファローMPCVなど)に幅広く搭載されている。

バリエーション

M101 CROWS
アメリカ合衆国のRecon Optical社によって開発されたRAVEN R-400をアメリカ軍が採用した物。重量約135kg(火器含まず)。
M153 CROWS II
ノルウェーのコングスベルグ・ディフェンス&エアロスペース社によって開発されたM153 プロテクターをアメリカ軍が採用した物。重量約172kg(火器含まず)[3]
CROWS-J
M153 CROWS IIにFGM-148 ジャベリン対戦車ミサイルを追加装備したバージョンで、2017年から18年にかけて第2騎兵連隊英語版のM1126ストライカーICVに配備されテストされた[4]
アメリカ陸軍は各ストライカー旅団のICVの半分を30mm機関砲搭載型のM1296ストライカーICVD(ドラグーン)に更新し、残りの半分にはCROWS-Jを装備する事により、各ストライカー旅団の火力強化を検討している[5][6][7][8]

運用国

アメリカ合衆国

M101 CROWS 約560基。M153 CROWS II 約10,000基を導入。後者はハンヴィーMRAPへの搭載の他、M1A2 SEP V2の標準装備となった。

オーストラリア

ブッシュマスターIMVRAVEN R-400(M101 CROWS)を搭載。

オランダ

オーストラリア軍からブッシュマスターIMVを直接緊急購入したため、R-400 RWS(M101 CROWS)もセットで導入された。

画像

脚注・出典

関連項目




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TUSK2007年頃からイラクで運用していたM1A1やM1A2の一部に、TUSKと呼ばれる、市街戦など都市環境下での運用に適応させるための強化キットが取り付けられていた。基本キットの「TUSK I」は、対戦車兵器から発射される成形炸薬弾に対する防護を念頭に、車体側面に箱形の爆発反応装甲タイルを装備、装填手用ハッチの周囲と機関銃に盾を追加、装填手用機関銃に暗視照準器を追加する、対地雷用のベリーアーマーと呼ばれる車体底部を覆う増加装甲を追加する、などの内容。TUSK Iの追加キットである「TUSK II」では、車体側面の爆発反応装甲タイルの上と砲塔側面に瓦形の爆発反応装甲タイルが追加された。また、車長用に全周防護の盾などが追加されている。TUSKと同じ時期に、主砲防盾上にM2重機関銃を増設するCSAMMと呼ばれる装備も合わせて検討されており、この装備もTUSKに組み込まれて一部の車両に搭載された。TUSK Iを装着したM1A1TUSK Iを装着したM1A2TUSKとCSAMMを装着したM1A1。この写真ではM2重機関銃を搭載していない。TUSKで開発されたM2重機関銃用の光学照準器は、海兵隊のM1A1にも組み込まれている。TUSKで開発された車体底部装甲、装填手用防弾板も、海兵隊のM1A1に採用され、アフガニスタンへの派遣車両に装着されていた。RWS
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