藤

世界宗教用語大事典

ふじ 【藤】

マメ科フジ属の蔓性落葉木本の総称。藤づるの繊維で作った藤布はじょうぶだったので早くから山村で愛用され、『万葉集』に「荒妙の藤」と詠まれている。つるは蛇を連想し、藤は不時に通じるとして、屋敷に植えるのを忌む人もあるが、花の垂れ下がりが稲穂を連想させるとして豊作を予兆する神聖な木とする地方もある。花を卯月八日の天道花に用い、庭先に立てて神の依代ともした。「朝藤夕繩」といって朝に藤を燃やすのを忌む風もある。