菊池宏子とは? わかりやすく解説

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菊池宏子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/05 03:09 UTC 版)

菊池 宏子(きくち ひろこ、1972年 - )は、東京都出身のアーティスト、教育者、コミュニティデザイナー。アートを通じた地域社会との協働や教育活動を軸に、国内外で数多くのプロジェクトや展覧会に参加している。

来歴

1999年にボストン大学芸術学部彫刻科を卒業(BFA)、2001年にタフツ大学大学院(School of the Museum of Fine Arts)を修了(MFA)。2001年から2006年までマサチューセッツ工科大学リスト・ビジュアル・アーツ・センターで教育・アウトリーチコーディネーターを務め、ボストン美術館では2005年から2009年にかけて若者向け芸術教育プログラムに従事した。

2011年の東日本大震災を機に帰国し、「わわプロジェクト」のコミュニティデザイン・ディレクターを務める[1]。その後もアートを通じて地域社会や教育現場と関わる実践を展開し、板谷由夏による朝日新聞のコラムでは「人と人、地域と地域をアートでつなぐ活動」として紹介されている[2]。2012年から2013年には「あいちトリエンナーレ2013」において教育普及プログラム「キッズ・トリエンナーレ」の企画・運営に携わった[3]。2015年にはNPO法人inVisibleを共同設立し、2024年までクリエイティブディレクターを務めた[4]。その活動は雑誌『Precious』にも取り上げられており、アートを介した社会との関わりを特徴としている[5]。2022年には英国ウェルカム・トラスト主催「マインドスケープス」に参加し、美術手帖でその意義が紹介された[6]。2024年からは新たなアート・コレクティブ「tra-」の共同設立者として活動している。

主なプロジェクト

  • 2002年–2003年 「寶藏巖農園肖像画計画(Treasure Hill Garden Portrait Studio Project)」 台湾台北市(リードアーティスト/カルチャルコンサルタント)
  • 2003年–2004年 「都市を篩にかけたとき(Sifting the Inner Belt)」 米国ボストン(リードアーティスト)
  • 2007年–2010年 「チャイナタウン・オレンジ・プロジェクト(Chinatown Orange Project)」 米国フィラデルフィア(アーティスト)[7]
  • 2011年–2012年 「健康の創造的決定要因(Creative Determinants of Health)」 米国(アーティスト/リサーチャー)
  • 2015年–2018年 「Relight Project/Committee」 東京都(クリエイティブ・ディレクター/ファシリテーター)
  • 2016年–2018年 「天昌堂プロジェクト」 新潟市南区(アーティスト/ファシリテーター)
  • 2016年–現在 「PinSプロジェクト」 東京都(共同設立者/クリエイティブディレクター)

主な展覧会

  • 2007年 「Artadia Award」 ボストン芸術センター(米国・ボストン)
  • 2010年 「EAT LACMA」 ロサンゼルスカウンティ美術館(米国・ロサンゼルス)
  • 2012年–2015年 「Feast: Radical Hospitality in Contemporary Art」 巡回展(米国・シカゴ、ヒューストン、サンタフェ、オハイオ、ミネアポリス)
  • 2013年 「あいちトリエンナーレ2013|キッズ・トリエンナーレ」 (日本・愛知県)
  • 2018年 「Invisible Playcity」 六本木アートナイト(日本・東京)

主な作品

  • 『晩餐会/Feast』 Aidkimen Gallery(米国・マサチューセッツ州メドフォード)|2001年
  • 『チョコレートの作品/Chocolate Piece』 “Corporeal Heat” 国際パフォーマンスフェスティバル、元ボストンD-4警察署(米国・ボストン)|2004年
  • 『カットピース/Cut Piece』 「Grapefruit: Yoko Ono in 1964」ISE文化財団(米国・ニューヨーク)|2004年
  • 『皮膚の罠/Skinshipu』 “Deforme” パフォーマンスアートビエンナーレ(チリ・サンティアゴ)、ほか国際パフォーマンスフェスティバル(米国・ボストン、コロンビア・ボゴタなど)|2006–2007年
  • 『水の作品/Water Piece』 “Low Footprints, Intervene! Interrupt! Rethinking Art as Social Practice” カリフォルニア大学サンタクルーズ校(米国・カリフォルニア)|2008年
  • 『地の塩/Salt of the Earth』 Utah Invitational Performance Festival(米国・ソルトレイクシティ、ウェーバー州立大学)|2009年
  • 『千本のひげ根』 MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館(奈良県)|2020年–2023年[8]
  • 『いつかこの瞬間を名付ける日まで』 九鬼祭(奈良、常設展示)|2023年–現在[9]
  • 『人の綾/Nuances of Being』 SENSE ISLAND/LAND 感覚の島と感覚の地(神奈川県横須賀市)|2024年[10]

教育活動

立教大学(2012年–)、早稲田大学(2025年–)などで非常勤講師を務めているほか、国内外の大学でゲスト講師として招かれている。

受賞歴

  • ARTADIA Award(2007年)
  • イーストベイ・コミュニティ財団 コミュニティアート賞(2010年)

著書・寄稿

  • 『へそ ─ 社会彫刻家基金による「社会」を彫刻する人のガイドブック』(2021年)
  • 『新コモンズ論』(2016年)
  • 『キュレーションの現在』(2015年)

出典

  1. ^ TOKION「インビジブルのアートを触媒に社会を彫刻し続けるという挑戦」2023年4月24日
  2. ^ 朝日新聞デジタル「板谷由夏のBonMarcheコラム」2020年2月12日
  3. ^ OKAMURA WAVE+「アートの力で生きた街を創る」2014年
  4. ^ inVisible公式サイト
  5. ^ Precious「地域や社会を巻き込みながら、どんな人にも開かれた『アートのある日常』をつくるには?」2019年10月24日
  6. ^ 美術手帖「文化やアートでメンタルヘルスを問い直す意義とは?」2023年
  7. ^ Artadia Award公式サイト
  8. ^ MIND TRAIL公式サイト
  9. ^ 九鬼祭公式サイト
  10. ^ SENSE ISLAND公式サイト

外部リンク




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