自由境界問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/08 22:56 UTC 版)
数学における自由境界問題(じゆうきょうかいもんだい、英: free boundary problem)とは、未知関数 u および未知領域 Ω の両方について解かれる、ある偏微分方程式のことを言う。問題の初めには知られていない、領域 Ω の境界の区間 Γ のことを自由境界(free boundary)と言う。
自由境界問題の古典的な例に、氷の融解が挙げられる。与えられた氷のかたまりに対し、適切な初期条件および境界条件の下で、その温度を決定するような熱方程式を解くことが出来る。しかし、もし任意の領域における温度が氷の融点よりも常に高かったら、その領域は氷の代わりに液体の水で占められることになる。その氷/水の表面の位置が、偏微分方程式の解によって力学的にコントロールされるのである。
二相ステファン問題
氷の融解は、温度場 T に対するステファン問題で、それは次のように定式化される。T > 0 の時に現れるような相 1 と、T < 0 の時に現れるような相 2 の二つの相からなる領域 Ω を占めるようなある媒質を考える。その二つの相の温度拡散率はそれぞれ α1 および α2 とする。例えば、水の温度拡散率は 1.4×10−7 m2/s であり、氷の温度拡散率は 1.335×10−6 m2/s である。
単一の相からなる領域において、温度は熱方程式によって決定づけられるものとする。T > 0 の領域においては、
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