窯変瓦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/03/10 17:59 UTC 版)
窯変瓦(ようへんがわら)とは粘土瓦の一種で、釉薬を使わずに備前焼と同じ製法で色調を出す瓦である。
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概要
粘土瓦は、釉薬瓦と無釉薬瓦に分けられるが、窯変瓦は無釉薬瓦に分類される。窯変瓦は、備前焼と同じ手法で酸化炎と還元炎の焼き具合のみで色調を出し、1枚の中にも連続的に色調が変化するのが特徴である。仕上がりの予測が困難で、歩留まりも悪く、仕上がった色調によってロット調整をする必要がある。また素焼きと還元焼成の2度焼きが必要となるために高価な瓦となっている。S型瓦の商品が多いが、平瓦や日本瓦などの形状も広く流通している。
製造法
焼きむらは、窯の中に注入する酸素ガスを調整し、窯の中の環境を変えながら瓦を焼きあげることによって行われる。酸素が多い部分は瓦中の鉄分などが1200℃程度で酸化焼成され、酸素が不足した部分では1100℃程度で還元焼成が行われ[1]る。加熱にはガスバーナーとともに、意図的な還元炎域の確保のためにオイルバーナーも使用されることがある。
窯変瓦の施工時の問題
焼き上がりの色調が再現しにくく、同じ会社の同じ商品でも、ロットによってバラつきが大きい。また素焼き瓦なので、太陽の角度や降雨によって見え方が大きく異なり、屋根に敷く場合も一枚一枚の色むらが強いために、配色を考えて設置する必要があり、手間隙がかかる。
特記事項
- 現存する古い窯変瓦としては、備前市にある特別史跡「閑谷学校」の屋根瓦が有名である[2]。
- 焼き方のみで色調を管理するのは高度な技術が必要であるために、二種類の粘土をランダムに混合して焼模様を付ける方法や[3]、練り込み瓦の技術を応用し、粘土にベンガラを練りこみ、赤く発色しやすくしたり、マンガンを練りこみ、黒く発色しやすくするなどの方法もある。
- 窯変瓦は高価であるので、素焼き瓦に部分的に釉薬を散布し、窯変瓦に似せた製品も広く流通している。
脚注
関連項目
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