無記名預金口座
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/30 08:12 UTC 版)
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無記名預金口座(むきめいよきんこうざ、Numbered bank account)は、名義人の記載のない預金口座である。利用者の秘密性・匿名性が強く、口座番号と符号のみで資金の受払を行うことができる。単にNumberd accountともいう他、匿名口座と訳することもある。
利用者にとって銀行秘密が保証されるが、脱税のための資金の隠匿やマネーロンダリグに使われるリスクが高いとして、FATFでは参加国に禁止を求めている[1][2]。スイスやオーストリアでは、伝統的に無記名預金口座の提供を続けてきたが、FATF勧告を含め諸外国からの批判が強くなってから以降、運用は変化しており、預金者は口座利用時に銀行が指定する個人認証を完了しなければならず[3]、また、2015年にスイスとEU加盟国との間で自動的情報交換(automatic exchange of information)の合意が成立し、秘密口座としての性格は失いつつある[4][5][6][7]。
現代では、前払式電子マネーや仮想通貨の匿名ウォレットなどで、無記名預金口座と同様の議論が行われている[8][9]。
日本では、1946年から1988年までの間、無記名定期預金口座の開設が認められており、預金者は住所・氏名を届け出ることなく、印鑑のみで無記名の預金証書の発行を金融機関から受けることができ、この際、印鑑と預金者の氏名が一致している必要はなく、口座の開設手続を行った者と実際に口座に資金を預け入れる者が別人であることも許容され、預金の払戻しは預金証書と口座開設時に届けた印鑑を持参した者に行われていた[10][11][12]。
関連項目
脚注
- ^ 岡田薫 (2007). “マネーロンダリング対策−国際的深化と我が国の対応−”. レファレンス (国立国会図書館調査及び立法考査局) (672): 9-32.
- ^ 田中健太郎 (2015). “アメリカ合衆国及びイタリア共和国におけるマネーロンダリング法制及びその実務”. 預金保険研究 (17): 132.
- ^ https://web.archive.org/web/20110928023922/http://www.swissbanking.org/1116_e.pdf
- ^ http://www.efd.admin.ch/aktuell/medieninformation/00462/index.html?lang=en&msg-id=30378
- ^ http://www.admin.ch/ch/f/rs/0_672_933_612/index.html
- ^ “貯蓄経済金融-個人金融に関する外国調査-スイス連邦”. 一般財団法人ゆうちょ財団. 2025年3月30日閲覧。
- ^ 青木五郎 (2000). “国際組織犯罪と日本警察の課題”. 警察学論集 (警察大学校) 53 (9): 25-45.
- ^ 宇根正志 (2019). “暗号資産における取引の追跡困難性と匿名性:研究動向と課題”. 金融研究 (日本銀行金融研究所) 38 (3): 127-152.
- ^ 大森健吾 (2018). “仮想通貨交換業をめぐる⾦融⾏政の課題”. 調査と情報 (国立国会図書館調査及び立法考査局) (1030): 1-12.
- ^ 『新聞雑誌語辞典 新修改版』第一出版、1948年、390頁。
- ^ 高秀成 (2006). “預金債権の帰属問題における救済法理としての客観説の一素描”. 慶應法学 (慶應義塾大学大学院法務研究科) (6): 227-283.
- ^ 田中夏樹 (2017). “預金制度の変化と預金契約の当事者確定 : 利害関係の変容を通じた検討”. 日本法学 (日本大学法学会) 83 (2): 337-377.
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