永字八法とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 永字八法の意味・解説 

えいじ‐はっぽう〔‐ハツパフ〕【永字八法】

読み方:えいじはっぽう

書法伝授の一。「永」の一字含まれすべての文字応用できる運筆法。側(点)・勒(ろく)(横画)・努(ど)(縦画)・趯(てき)(跳ね)・策(短横画)・掠(りゃく)(左へはらう)・啄(たく)(左へ短くはらう)・磔(たく)(捺(なつ)、右の方へはらう)の8種。

永字八法の画像

永字八法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/16 00:56 UTC 版)


永字八法

永字八法(えいじはっぽう、えいじはちほう)とは、漢字の「永」の字には、に必要な技法8種が全て含まれているという事を表した言葉。

概要

側(ソク、点)、勒(ロク、横画)、努(ド、縦画)、趯(テキ、はね)、策(サク、右上がりの横画)、掠(リャク、左はらい)、啄(タク、短い左はらい)、磔(タク、右はらい)の八法。

楷書の成立と紀元を同じくすると言われる。その由来には唐の張懐瓘『玉堂禁経』にある「大凡筆法、点画八体は『永』字に備わる」「八法は隷字の始めに起こり、後漢の崔子玉より、鍾・王を歴て以下、伝授し用うる所の八体は万字に該す」といった記述から崔瑗(字は子玉)・鍾繇王羲之説が唱えられてきた。また、宋代の文献には智永説(宋・陳思書苑菁華』)、張旭説(宋・朱長文墨池編』)などが見られる。

なお、永字八法に含まれない書法として、戈法・戈脚(カ、右へ斜めに引きおろした線をはねあげる)が挙げられる。

八法の詳細











側(ソク、

図の1。

  • 李溥光『永字八法解』 - 「怪石」
  • 筆画の「点」
  • 筆と筆先の側面を使って抉るように書くので「側」と言う。

勒(ロク、

図の2。

  • 李溥光『永字八法解』 - 「玉案」
  • 筆画の「横」
  • 「勒」は馬の頭に掛けて馬を御する革ひも。勝手に動かないように制御する意味で、馬の革紐を引き締めるように書く。

努(ド、

図の3。

  • 李溥光『永字八法解』 - 「鉄柱」
  • 筆画の「竪」(すなわち縦画)
  • 「努」の脚(漢字の下半分)を「弓」とした「弩」と書く場合もある。「石弓」のこと。石弓で石を遠くに放つ前のように、縦画の中央部が左に反るように書く。

趯(テキ、

図の4。

  • 李溥光『永字八法解』 - 「蟹爪」
  • 筆画の「鉤」(縦画あるいは横画からの「はね」)
  • 旁(つくり;漢字の右半分)は「羽」と「隹」(ふるとり)から成り、高く抜きんでた雉(キジ)の尾。偏の「走」と合わさって、高く抜きんでるように躍り上がること。

策(サク、

図の5。

  • 李溥光『永字八法解』 - 「虎牙」
  • 筆画の「提」(右斜め上に向かう「はね」)。あるいは「横」が右上がりになったもの。
  • 脚(あし;漢字の下半分)は「セキ」で「とげの出た枝」を描いた象形文字。「刺す」の偏も同じ意味。「竹」の冠と合わせて、ぎざぎざとがっている鞭(ムチ)。鞭で「ビシッ」と叩くように書く。

掠(リャク、lüè

図の6。

  • 李溥光『永字八法解』 - 「犀角」
  • 筆画の「撇」が長く現されたもの。「左はらい」のこと。あるいは「彎」(左そり)。
  • 「掠」は「かすめる」こと。女性の長い髪を梳る(すく、くしけずる)ようにゆったりと左に払う。

啄(タク、zhuó

図の7。

  • 李溥光『永字八法解』 - 「鳥啄」
  • 筆画の「撇」が短く現されたもの。
  • 「啄」は「ついばむ」ことで、啄木鳥(キツツキ)が木を叩く姿を示す。

磔(タク、zhé

図の8。

  • 李溥光『永字八法解』 - 「金刀」
  • 筆画の「捺」。「右はらい」のこと。
  • 「磔」は「はりつけ」のことだが、「引き裂いて内臓を開く」意味もある。左への払い(掠)と異なり、肉を引き裂いて、金刀が骨まで達するように、力を入れてじっくりと右に払い、特に払い終わりは「掠」よりも力を入れて三角形を作る。

脚注

関連項目



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「永字八法」の関連用語

1
永字 デジタル大辞泉
100% |||||

2
デジタル大辞泉
100% |||||

3
16% |||||


5
12% |||||



8
6% |||||

9
6% |||||

10
6% |||||

永字八法のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



永字八法のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの永字八法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS