弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク)の意味・解説 

弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 20:40 UTC 版)

バルトーク弦楽四重奏曲第3番 (げんがくしじゅうそうきょくだい3ばん)Sz.85は、1927年に完成した弦楽四重奏曲である。

成立

単一楽章から成る。この前年に作曲されたピアノ協奏曲第1番ピアノソナタでも見られた、打楽器的な器楽法が要求されており、コル・レーニョなどの特殊奏法を用いた荒々しいリズムが特徴である。その反面、音楽の構成は極めて簡素で緊密な構成で書かれている。

この作品は、フィラデルフィア音楽基金協会英語版主催の室内楽作曲コンクールに応募作品として提出され、翌1928年の10月に1等の名誉と賞金をイタリアの作曲家アルフレード・カゼッラカルロ・ヤキーノイタリア語版英語版[注釈 1]、およびイギリスの作曲家ハリー・ウォルド・ワーナー英語版[注釈 2]とで四等分する形となり、不運のバルトークはまたしても単独優勝を逃した[注釈 3]が、お祝いの電報を送ってきたフリッツ・ライナーには1928年10月29日付の手紙[注釈 4]で、賞金だけでなく宣伝効果があると、受賞したことに意義を見出していた[1]

出版時にはフィラデルフィア音楽基金協会に献呈されている。このコンクールにはシマノフスキ弦楽四重奏曲第2番を提出し予選で落ちた。

作品紹介

作曲年

1927年。完成したのは9月。

楽曲構成

  1. Moderato
  2. Allegro
  3. Recapitulazione della prima parte (第1部の再現部)
  4. Coda Allegro molt

の緩-急-緩-急という4つの部分で構成される単一楽章。演奏時間は全曲で約15分。

初演

1929年2月19日 ロンドン。ヴァルトバウエル弦楽四重奏団による。

作品の内容

第1部のモデラートは、いわば序奏にあたる部分で、小さな動機が互いに絡み合って構成されている。弦楽四重奏曲第1番と同様、冒頭の動機で8度音程内の12の音すべてが用いられるが、シェーンベルク十二音技法によっているわけではない。ピウ・アンダンテの新しい楽想は、スル・ポンティチェロ(駒の近くを弓で擦る特殊奏法)で提示される。対位法部分とリズムが優勢な部分とが交錯しながら第2部アレグロとなる。第2部はかなり変則的ではあるがソナタ形式をとどめている。チェロのピツィカートとヴァイオリンが主題を提示し、ヴァイオリンの主題によるフガートにチェロの主題が絡み、それに再現部が続くという構成である。第3部では第1部の楽想のいくつかが回想されるが、その音楽の文脈は第1部のそれとは全く異なっており、これを「第1部の再現部」と呼ぶのは適切でないとさえ思われる。最後のコーダは、第2部の雰囲気に戻り、順当に名付けるのであれば「第2部の再現部」にあたるものであるが、さすがにこれを再現部と呼ぶのははばかられたのであろう。コーダとされている。

脚注

注釈

  1. ^ Carlo Jachino、クルチ社イタリア語版刊『十二音技法』で知られる。
  2. ^ Harry Waldo Warner、ヴィオラ奏者でもある。
  3. ^ 賞金は総額6000ドルであった。
  4. ^ 手紙の中では「もう1曲、もっと大きな5楽章の弦楽四重奏をすでに作曲したんだが、どこかで室内楽曲のコンクールをやってないかな?」と冗談まじりに弦楽四重奏曲第4番についても書いている。

出典

  1. ^ バルトーク・ベーラ 著、羽仁協子 訳『ある芸術家の人間像 -バルトークの手紙と記録-』冨山房、1970年5月20日、121頁。ASIN B000J91TMUdoi:10.11501/12433485 

参考図書

外部リンク



このページでは「ウィキペディア」から弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク)を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク)を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク) を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク)」の関連用語

弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS