解析学 における差商 に対する平均値の定理 (へいきんちのていり、英 : mean value theorem )は、平均値の定理 を高階導函数 に対するものへ一般化する[1] 。
定理の主張 平均値の定理 どの二つも相異なる n + 1 個の点 x 0 , …, xn を含む定義域上で n 回微分可能な函数 f に対し、内点 ξ ∈ ( min { x 0 , … , x n } , max { x 0 , … , x n } ) {\displaystyle \xi \in (\min\{x_{0},\dots ,x_{n}\},\,\max\{x_{0},\dots ,x_{n}\})} が存在して、その点での f の n -階微分係数が、与えられた点における n -次差商 の n ! -倍に等しい。式で書けば f [ x 0 , … , x n ] = f ( n ) ( ξ ) n ! {\displaystyle f[x_{0},\dots ,x_{n}]={\frac {f^{(n)}(\xi )}{n!}}} が成り立つ。 n = 1 のとき、上記の主張は函数の二点間の値に対する、通常の平均値の定理 である。
証明
点 x 0 , …, xn における f のラグランジュ補間多項式 を P とするとき、ニュートン形 を考えれば P の最高次項は f [ x 0 , … , x n ] ( x − x n − 1 ) ⋯ ( x − x 1 ) ( x − x 0 ) {\textstyle f[x_{0},\dots ,x_{n}](x-x_{n-1})\dotsb (x-x_{1})(x-x_{0})} である。
g ≔ f − P をこの補間の誤差項とすれば、g は x 0 , …, xn という n + 1 個の零点を持つ。ロルの定理 をまず g に適用し、さらに g′ に適用し、以下同様に g (n −1) まで適用すれば、g (n ) が零点 ξ を持つことが分かる。したがって
0 = g ( n ) ( ξ ) = f ( n ) ( ξ ) − f [ x 0 , … , x n ] n ! {\displaystyle 0=g^{(n)}(\xi )=f^{(n)}(\xi )-f[x_{0},\dots ,x_{n}]n!} となり、整理すれば
f [ x 0 , … , x n ] = f ( n ) ( ξ ) n ! {\displaystyle f[x_{0},\dots ,x_{n}]={\frac {f^{(n)}(\xi )}{n!}}} を得る。
応用 差商に対する平均値定理を用いれば、Stolarsky平均(英語版 ) を多変数に一般化することができる。
参考文献 ^ de Boor, C. (2005). “Divided differences”. Surv. Approx. Theory 1 : 46–69. MR 2221566 .