国際標準同人誌番号とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 国際標準同人誌番号の意味・解説 

国際標準同人誌番号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/19 06:48 UTC 版)

International Standard Dojin Numbering
ISDNのロゴ
正式名称 国際標準同人誌番号
頭字語 ISDN
利用開始 2008年7月
管理団体 国際標準同人誌機構
日本同人誌コード管理センター
桁数 13桁
チェック
ディジット
加重和
278-4-702901-97-8
ウェブサイト https://isdn.jp/
ISDNが印刷された同人誌

国際標準同人誌番号:International Standard Dojin Numbering)は、同人作品を識別するために設けられた番号システムの一種[1][2]。略称はISDN

ISBN(国際標準図書番号)のパロディ。本家ISBN同様、各作品ごとに13桁のアラビア数字が一意に割り当てられる。

概要

2008年7月、聖やきょう(本名:岡野正明)によって、同人誌などの同人作品の情報を一元的に管理する方法として、新たに「ISDN」という規格が考案された[3][4]。このISDNは、いわば「同人誌のためのISBN」と位置づけられており、同人作品に携わる全ての人の基盤となるシステムを目指していると語られている。

本家ISBN同様、ISDNは13桁のアラビア数字で構成される。ウェブサイト上から発行申請を行うことができ、各同人作品に対して一意にISDNが発行される。この番号はウェブサイト上で管理されている作品情報と紐づいており、HTMLおよびXML形式でデータを閲覧・取得することができる。またISDN発行時に別途バーコードの作成を依頼することもでき、これを用いて同人作品に管理用のEANコードを設けることができる。

現在、このISDNは「国際標準同人誌機構/日本同人誌コード管理センター」を名乗る非営利の任意団体[注 1]同人サークル)によって管理されている[3]。よってISDNは既存のISBNとは別の規格であり、当然このまま一般の書籍の流通経路に乗せることはできない。ただ本家ISBNとは異なり、ISDNの発行申請には一切の費用が発生しないため、利用に際してのハードルは低い。その上ISBNを発行することができない書籍以外の音楽、ソフトウェア、グッズ、フライヤー、コピー本などの多種多様な作品の形態にも対応しており、比較的自由度が高い[4]

なおISDNの発行は任意であり、印刷会社、書店、即売会などにおいて基本的に不要である[5]。しかし、一部の印刷会社などではISDN用のデータや専用のバーコードシールを販売している例がわずかながら存在する[2][6]

発行対象となる作品形態

ISDNの申請フォームには、以下の作品形態が用意されている。

  • 同人誌(本)
  • 同人グッズ
  • 同人音楽
  • 同人ソフト
  • 同人ハード
  • フィギュア・ドール
  • 衣装・アクセサリ
  • フライヤー(ペーパー)
  • イベントカタログ

本家ISBNとは異なり、書籍としての体裁を成していないものや、書籍でない作品についてもISDNの発行を認めている。またコピー機で印刷した本(いわゆるコピー本)や手作りのグッズ、CD・DVDメディア、実体のないダウンロード作品などに対しても発行することができる。なおISBNを既に取得している書籍に対してもISDNを発行することができる[3]

ISDNの規格仕様

ISDNは固定長の13桁アラビア数字を使用する。なお本家ISBNには2006年12月31日まで発行されていた「10桁」の旧規格が存在するが、2008年に制定されたISDNは新規格の方である「13桁」のみを採用している(ただし相談があれば10桁のISDNも非推奨だが対応可能としている[5])。

基本的な仕様は本家ISBNとほとんど同じだが、前方の数値には278~279が用いられるという点が大きく異なる。これはインストアコードの「20X~29X」と本家ISBN-13の「978~979」を合成させた数値である。

1段目のバーコード(ISBN/ISDN)
ISBN ISDN
仕様 10桁固定長(2006年まで)
13桁固定長(2007年から)
13桁固定長
接頭記号(3桁) 978、979 278、279
グループ記号 地域に応じて数値を割り振る(1~5桁)。日本の場合は4
出版社記号 出版社に応じて異なる 作品に応じてランダムな数値を発行する(1~7桁)
書名記号 版ごとに付与される 作品に応じてランダムな数値を発行する(1~2桁)
チェックデジット モジュラス10 ウェイト3・1(JANコードと同じ)
978-3-16-148410-0 278-4-702901-97-8

書籍JANコード

なお一般の書籍同様、日本図書コード(Cコード)や価格を表記した、2段目のバーコードも用いることができる。これらの規格も書籍JANコードと概ね同様である。ただし接頭記号がISBNは192なのに対して、ISDNは292を用いる。

2段目のバーコード
ISBN ISDN
接頭記号(3桁) 192 292
Cコード(4桁) 日本図書コードに準じる
価格(5桁) 5桁固定長にゼロ埋めした税抜価格 5桁固定長にゼロ埋めした頒布価格
チェックデジット モジュラス10 ウェイト3・1(JANコードと同じ)
192-0192-01238-6 292-3055-00100-7

ISDNの表示

ISDNを文字列として表記する場合は、ISDN278-4-702901-97-8のようにISBN-13の仕様と同じ。

またCコードを表記する場合には、ISDN278-4-702901-97-8 C3055と表記すれば良い。また価格も併記する場合は、ISDN278-4-702901-97-8 C3055 ¥100Eと表記すれば良い(\Eで金額を挟む)。

作品データ

ISDNをウェブサイトの検索バーに入力することで、その同人作品のデータを検索して、閲覧することができる[3]。各作品のページはhttps://isdn.jp/<ISDN-13>[注 2]というURLで表現されている。

その他、コンピュータが処理しやすいXML形式でもデータを取得することができる。この場合は、https://isdn.jp/xml/<ISDN-13>[注 2]というURLでアクセスすることができる。なおXML用のスキーマ(XSD)も提供されている。

XMLのデータ構造
必須 タグ 意味 備考
item 各作品情報ごとの区切り
disp-isdn 文字列 表示用ISDN
region 文字列 地域
class 文字列 区分(オリジナル/パロディ
type 文字列 形態(同人誌・同人グッズなど)
rating_gender 文字列 レーティング(性別) 区別なし・女性向け・男性向け
rating_age 文字列 レーティング(年齢) 一般・15禁・18禁
product-name 文字列 作品名
product-yomi 文字列 作品名ふりがな
publisher-code 文字列 発行者コード
publisher-name 文字列 発行者(サークル)名
publisher-yomi 文字列 発行者名ふりがな
issue-date 日付 発行日
genre-code 文字列 ジャンルコード コミックマーケットのジャンルコード
genre-name 文字列 ジャンル名
genre-user 文字列 ジャンル補足
c-code 文字列 Cコード
author 文字列 販売対象 Cコード1桁目の意味
shape 文字列 形態 Cコード2桁目の意味
contents 文字列 内容 Cコード3・4桁目の意味
price 数値 イベント頒布価格
price-unit 文字列 通貨単位 ISO 4217
barcode2 文字列 2段目バーコード
product-comment 文字列 作品内容コメント
product-style 文字列 体裁 印刷・製本・プレスなど
product-size 文字列 大きさ B5・文庫など
product-capacity 数値 内容量
product-capacity-unit 文字列 内容量の単位 ページ数、データ容量、演奏時間など
sample-image-uri URL サンプル画像 最大150x150px
useroption 登録者定義情報 執筆者や作品・作品の体裁など、
その他の細かい情報
property 文字列 項目名
value 文字列
external-link リンク 作品やサークルについての関連リンク
title 文字列 リンク先サイトタイトル
uri URL URL

なお、作品データすべてを取得するには、サイトマップhttps://isdn.jp/sitemap.xml)を用いることが推奨されている[7]

ISDNのメリット

ISDNは2025年5月16日時点で登録作品数が11,000件を突破した。しかしこれは、即売会や同人作品全体の規模から考えると、極めて限定的な数であり、本家ISBNほど書籍の販売現場と密接に紐づいた関係ではない。実際、印刷会社への入稿や即売会での見本誌提出などにおいて、このISDNが利用される例は存在しないか、非常に稀である。

しかしISDNは一般のバーコードリーダーでも読み取れるため、POSシステムを利用した店舗や即売会などにおける在庫管理[8][9]、あるいは専用のアプリケーションを利用した自宅の蔵書管理などに活用することができる。「司書にゃん」や「司書のこぁちゃん」など、ISDNに対応したソフトウェアも既に存在する[7][10]

また単純に、自身の制作した同人誌にバーコードを印字できる(市販書籍風のデザインにできる)という点もメリットである[3][注 3]

脚注

注釈

  1. ^ 任意団体であるため、法人格を持たない。
  2. ^ a b <ISDN-13>の部分は、ISDN値を表す13桁の数字。
  3. ^ ISDN側も「OCR用のフォントを使用すると、それっぽく見えます」と解説している。

出典

  1. ^ ISDN - 国際標準同人誌番号”. ISDN. 2025年5月28日閲覧。
  2. ^ a b 同人誌用のバーコードシール データ販売(国際標準同人誌番号ISDN)”. 印刷ネットドットコム. 2025年5月28日閲覧。
  3. ^ a b c d e ISDN (国際標準同人誌番号) について”. ISDN. 2025年5月28日閲覧。
  4. ^ a b 聖やきょう『同人誌とバーコードのあれこれ 合本版』(第1版)日本同人誌コード管理センター、2022年8月13日https://isdn.jp/2784888888216 
  5. ^ a b よくある質問と回答”. ISDN. 2025年5月28日閲覧。
  6. ^ 同人誌用のバーコードシール印刷 発売開始”. valuepress. 株式会社 明光舎印刷所 (2024年3月14日). 2025年5月28日閲覧。
  7. ^ a b 聖やきょう『ISDN 国際標準同人誌番号 日本同人誌コード API仕様書 2018年版』(第1版第1刷)日本同人誌コード管理センター、2018年4月22日https://isdn.jp/2784888888179 
  8. ^ 聖やきょう『できる 同人誌即売会レジ構築』(第1版第1刷)日本同人誌コード管理センター、2014年8月17日https://isdn.jp/2784888888148 
  9. ^ 聖やきょう『Square Terminalではじめる同人誌即売会キャッシュレスレジ ~バーコードスキャナーを添えて~』日本同人誌コード管理センター、2021年12月31日https://isdn.jp/2784888888209 
  10. ^ 蔵書管理ソフトウェア 司書のこぁちゃん”. 東方天翔記CPUダービー処. 2025年5月29日閲覧。 “ISBN、ISDNで管理されている情報であれば、司書のこぁちゃんではインターネットから自動取得します!”

関連項目

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  国際標準同人誌番号のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

国際標準同人誌番号のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



国際標準同人誌番号のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの国際標準同人誌番号 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS