千葉工匠具とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 千葉工匠具の意味・解説 

千葉工匠具

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/05 03:50 UTC 版)

千葉工匠具(ちばこうしょうぐ)とは、千葉県の鍛冶職人が伝統的な技法によって製造する刃物・手道具類の総称。主な製品として、鎌・鍬・包丁・洋鋏がある[1]。産地成立から約200年、洋式工匠具の製造開始から約130年の歴史を持つ[2]

歴史

房総半島では文禄3年(1594年)からの利根川東遷事業享保9年(1724年)に始まった印旛沼干拓など、江戸期を通じて大規模な土木工事が行われ、この過程で土地の開拓に必要な手道具類の製造技術が発達し、江戸末期には工匠具産地として成立していた[1]明治維新以降、嶺岡牧場の発展や御料牧場の開設により、畜産・繊維関連に用いる鋏等の洋式工匠具の製造が全国に先駆けて始まる[2]。また、断髪令に伴う理髪用理美容鋏の製造も盛んになった[1]
2017年11月30日に経済産業大臣から伝統的工芸品の指定を受けた[1][3]。千葉県では房州うちわに続く二件目の指定である[3]

特徴

千葉工匠具産地の特徴として、刀鍛冶と野鍛冶(農具を作る鍛冶屋)の交流があり、刀鍛冶の薄く鋭い刃を仕上げる技術が野鍛冶にも伝播していったことがある。全国に先駆けて明治初頭に洋鋏を製造した立野平作は菊間藩の刀鍛冶であり、また、房州鎌で知られる草刈鎌も花房藩の刀鍛冶だった鉄水子国輝の弟子が廃刀令後に鎌鍛冶に転じたことから生まれたものである[4][5]

房総半島の開拓のために外部から職人や技術を受け入れてきた歴史があることから、西洋鍛冶への忌避感も少なく、女性鍛冶師も活動している[6]

脚注

  1. ^ a b c d 千葉県. “「千葉工匠具」が国の伝統的工芸品に指定されました”. 千葉県. 2020年11月2日閲覧。
  2. ^ a b 千葉県打刃物連絡会”. 千葉県打刃物連絡会. 2020年11月2日閲覧。
  3. ^ a b 千葉)「千葉工匠具」が国の伝統的工芸品に 県内2件目:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年11月2日閲覧。
  4. ^ 「房州鎌(飛雀印鎌)のはなし」『千葉の鍛冶 鎌と鋏』千葉県教育振興財団、2015年10月9日、28-33頁。 
  5. ^ 「鋏鍛冶の発達」『千葉の鍛冶 鎌と鋏』千葉県教育振興財団、2015年10月9日、39-48頁。 
  6. ^ 土屋篤生,青木宏展,植田憲. “産学連携による千葉県における鍛冶文化の継承・振興に向けた取組”. 日本デザイン学会研究発表大会概要集 (日本デザイン学会) 71: 506-507. 

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「千葉工匠具」の関連用語

千葉工匠具のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



千葉工匠具のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの千葉工匠具 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS