ミシェル・ノストラダムス師の予言集とは? わかりやすく解説

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ミシェル・ノストラダムス師の予言集

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/07 05:17 UTC 版)

ミシェル・ノストラダムス師の予言集』(ミシェル・ノストラダムスしのよげんしゅう、Les Prophéties de M. Michel Nostradamus)は、フランス占星術師ノストラダムスの主著である。単に『予言集』(Les Prophéties) と呼ばれることもある(以下、この記事中ではこの略称を用いる)ほか、その本文をなす四行詩集の形式から『百詩篇集』(Les Centuries) と呼ばれることもある(詳細は後述)。また、『諸世紀』と呼ばれることもあるが、後述するようにこの訳語は不適切である。


注釈

  1. ^ 厳密に言えば、1691年頃に『ミシェル・ノストラダムス師の真の百詩篇集と予言集』という題名の版が一度だけ刊行されている。
  2. ^ 便宜上、この記事では単数のCenturieを「百詩篇」、複数のCenturiesを「百詩篇集」と訳し分ける。
  3. ^ Anatole Le Pelletier, Les Oracles de Michel de Nostredame, Tome.II, Paris ; A. Le Pelletier, 1867. この版は1969年と1995年にスラトキヌ社から影印本が出版された。Googleブックスなどで閲覧可能になると、それを元にした再版も多くなされている。
  4. ^ この説の元祖は1710年のル・ルーである(Leoni (1982) p.679)。
  5. ^ ただし、ラテン語で書かれた私信の分析などから、ノストラダムスはラテン語の文体に配慮できるほどの語学力を備えていなかった可能性も指摘されている(月村 (2000) p.93)。
  6. ^ アナグラムについては一切使われていないと主張する信奉者もいるが(加治木、前掲書、pp.84-88)、実証的な研究者でこうした見解を支持するものはない。
  7. ^ 以下、原文は1568年ブノワ・リゴー版に基づいたが、現代の正書法に従って表記を修正した箇所がある。
  8. ^ 影印版は Chevignard (1999) に収録されている。この件を公刊された文献で最初に指摘したのはブランダムールだが、彼自身はジャック・アルブロンから教えてもらったという(Brind'Amour (1993) p.255)。
  9. ^ 百詩篇第1巻35番は、厳密には3行分だけは息子セザールが解釈している(César de Nostredame, Histoire et chronique de Provence, Lyon, 1614, p.782 ; 山本 (2000) pp.243-244)
  10. ^ 「三大解釈者」はレオニの分類。 cf.Leoni (1982) p.68
  11. ^ この書簡の影印版は1983年にフランスの『ノストラダムス研究誌』に収録された。
  12. ^ なお、ノストラダムス以外でも、デュ・ベレー『フランス語の用語と顕揚』がスペローネ・スペローニの『諸国語に関する対話』の翻訳を多く含んでいた例など、同時代には類似例が存在する。
  13. ^ オリジナルの第一序文には区切りがない。ここではバレストが確立し、ブランダムールやプテ=ジラールが追随した区切りに従った。
  14. ^ 2行目については「別のもの」(autre) を「こえて」(outre) の誤植とみなして「7000年をこえて(7086年まで月が)統治する」と読む論者と、そのまま「7086年(約7000年)から別のもの(=太陽)が統治する」と読む論者とがいるが、全体の文意は変わらない。
  15. ^ ラメジャラーはその差が1555年になるのは作為的なものだと見ている(西暦1555年は予言集の初版が出された年)。cf. Lemesurier (2003) p.382
  16. ^ 月や三日月を意味すると考えられているこの語はフランス語にないが、実証的な論者たちも月の女神セレネの縁語と解釈している(Chevignard (1999) p.479 etc.)。
  17. ^ 五島はこの "l'advent" をキリストの再臨を意味する語としているが、キリスト教用語としてはアドベントの意味でしかなく(倉田清 波木居純一 『仏英独日対照・現代キリスト教用語辞典』 大修館書店、1985年)、ノストラダムスも暦書類ではその意味で "l'advent" を何度も使っていた(ex. Chevignard (1999) pp.417, 441)。
  18. ^ decide は現代フランス語になく、古語辞典にもないため、論者によっていくつかの読みが提示されている。没落や崩壊の意味に捉えるのは、Leoni (1982), Lemesurier (2003), Sieburth (2012) などによるものである。ほかに、「切断」「決定」「調停」などの意味に理解されることがある。
  19. ^ 現代フランス語の classe は英語の class のように「階級」「教室」などの意味だが、ラテン語の classis に基づき「艦隊」「(陸の)軍隊」などの意味で使っていたことは、実証的にも広く認められている (ex. Leoni (1982) p.134, Brind’Amour (1996) p.58, Petey-Girard (2003) p.256, Clébert (2003) p.108)。
  20. ^ 1568年版には、1570年代から1590年代に出版されたものが混じっているとされるが、ここでは考慮しない。

出典

  1. ^ a b c d e f 以下、書誌に関する基本情報は、主としてChomarat (1989), Benazra (1990) によっている。
  2. ^ Répertoire Chronologique Nostradamusで見ることが出来る
  3. ^ Georges Lepreux, Gallia Typographica, T.3-v.2, 1912
  4. ^ Chomarat (2000) p.78, Petey-Girard (2003) p.50
  5. ^ ex. Brind'Amour (1996) pp.568, 579 etc.
  6. ^ ex.加治木義博『真説ノストラダムスの大予言』KKロングセラーズ、1990年、p.27
  7. ^ ノストラダムス研究室 Archived 2007年11月3日, at the Wayback Machine. - 関連する論考はリンク切れ。関連する見解としてPrévost (1999) pp.120-121も参照。
  8. ^ Leoni (1982) p.681
  9. ^ Halbronn (2002) pp.20-23, 52-53, Chomarat (2000) p.82
  10. ^ Brind'Amour (1996) pp.XXIX-XXX, Petey-Girard (2003) p.27, Drévillon & Lagrange (2003) pp.38-39(日本語版pp.42-43)
  11. ^ Brind'Amour (1996) pp.XXIX-XXX
  12. ^ この段落はラメジャラー (1998a) pp.197-211, 高田・伊藤 (1999) p.340, Petey-Girard (2003) pp.24-34などによる。
  13. ^ Petey-Girard (2003) p.25
  14. ^ Chavigny [1594] p.6
  15. ^ Arthur Crockett, Nostradamus’ Unpublished Prophecies, Inner Light, 2001, p.51
  16. ^ 五島勉 『ノストラダムスの大予言・中東編』(祥伝社、1990年)、 歴史予言検証会 『2012年地球崩壊の驚愕大予言』(日本文芸社、2008年)、並木伸一郎 『人類への警告 !! - 最期の審判は2012年からはじまる』(竹書房、2010年)、南山宏監修 『絶望の大予言ミステリー』(双葉社、2011年)etc.
  17. ^ a b ASIOS・菊池・山津 (2012) pp.93-95
  18. ^ Benazra (1990) p.52
  19. ^ Benazra (1990) pp.118-121
  20. ^ Benazra (1990) pp.158-159
  21. ^ ASIOS・菊池・山津 (2012) p.76
  22. ^ Chevignard (1999) pp.100, 144
  23. ^ Leroy (1993) pp.132-133
  24. ^ a b ASIOS・菊池・山津 (2012) p.92
  25. ^ 該当するページのフォトコピーはRuzo (1997) p.107にある。
  26. ^ Brind'Amour (1993) pp.268-269
  27. ^ Benazra (1990) p.155
  28. ^ Benazra (1990) pp.220-230
  29. ^ Benazra (1990) p.231, n.1
  30. ^ ドレヴィヨン&ラグランジュ (2004) pp.84-91
  31. ^ 山本 (1999) pp.439-442
  32. ^ Antoine Du Verdier, Bibliothèque d'Ant. Duverdier, contenant le catalogue de tous les auteurs qui ont écrit en français, Paris, 1585, p.881
  33. ^ ソーニエ『十六世紀フランス文学』(白水社、文庫クセジュ、1958年) p.55、高田 (2000) p.37
  34. ^ 高田・伊藤 (1999) pp.342-352
  35. ^ cf. 高田 (2000) pp.46-49, イヴォンヌ・ベランジェ『プレイヤード派の詩人たち』白水社(文庫クセジュ)pp.97-101
  36. ^ ルーサ『時の状態と変転の書』の副題。
  37. ^ 高田・伊藤 (1999) pp.343-344, Petey-Girard (2003) p.17
  38. ^ Prévost (1999) p.249
  39. ^ 荻野 (2000) pp. 166-171
  40. ^ Drévillon & Lagrange (2003) p.38(日本語版 p.42)
  41. ^ 高田・伊藤 (1999) p.339
  42. ^ 高田・伊藤 (1999) p.341
  43. ^ Petey-Girard (2003) p.22
  44. ^ Shepherd (1986) p.64
  45. ^ 高田 (2000) pp.50-51
  46. ^ Liaroutzos (1986)
  47. ^ 加治木、前掲書、pp.43-45
  48. ^ Brind'Amour (1996) pp.6-7
  49. ^ この辺りの事情については、宮崎哲弥「全ては『ノストラダムスの大予言』から始まった」(『正義の見方』洋泉社、1996年)pp.79-84を参照
  50. ^ Brind'Amour (1996) pp.118-119, Prévost (1999) p.118, Lemesurier (2003) p.23, 高田・伊藤 (1999) pp.35-36, 56
  51. ^ Brind’Amour (1993) pp.187-214
  52. ^ Dumezil (1984) pp.116-127(Dumezil (1999) pp.83-92)
  53. ^ Polizzi (1997) pp.58-59 ; なお、短靴の原語はChausses(ズボン下)であるが、ここではポリジらの読みに従った。ローズの辞典でも語源上は「短靴」に通じると指摘されている(Rose (2002) pp.52-53)。
  54. ^ Polizzi (1997) p.61
  55. ^ クルト・アルガイヤー『1987年悪魔のシナリオ』光文社、1985年、pp.161-163 ; エリカ・チータム『ノストラダムス全予言』二見書房、1988年、p.92 etc.
  56. ^ Brind'Amour (1996) pp.250-253, 高田・伊藤 (1999) pp.153-156
  57. ^ 高田・伊藤 (1999) pp. 22-24, 50-52, 346 etc.
  58. ^ 五島勉『ノストラダムスの大予言II』pp.104-110, 藤島啓章『ノストラダムスの大警告』学習研究社、1989年、pp.235-238
  59. ^ Chavigny (1594) p.40, Brind'Amour (1996) p.309
  60. ^ Leoni (1982) pp.667-668
  61. ^ Brind'Amour (1996) p.298, Rose (2002) p.459
  62. ^ 五島勉『ノストラダムスの大予言』祥伝社、1973年、pp.174-177 ; 同『ノストラダムスの大予言・地獄編』祥伝社、1994年、pp.62-64 etc.
  63. ^ Leoni (1982) pp.725-726 etc.
  64. ^ ASIOS・菊池・山津 (2012) p.89
  65. ^ Lemesurier (2010) p.245. なお、ラメジャラーはゾピュラを銘句に用いていたのはカール5世としている。
  66. ^ Clébert (2003), Lemesurier (2010), Sieburth (2012) etc.
  67. ^ 解釈はClébert (2003), Lemesurier (2010), Sieburth (2012) のうちの1冊ないし複数で、プロテスタントと関連付けられているものを選択した。
  68. ^ 高田・伊藤 (1999) pp.196-203
  69. ^ この詩に関する信奉者側の多様な解釈は、山本弘 (1999) pp.410-414 などを参照のこと。
  70. ^ Leoni (1982) p.736, Lemesurier (2003) p.341
  71. ^ Brind'Amour (1993) pp.227-231
  72. ^ Lemesurier (2003) pp.363-364
  73. ^ Le Pelletier, op.cit., T.I, pp.265-266 ; John Hogue, Nostradamus: The Complete Prophecies, Shaftesbury, 1997/1999, pp.648-649 etc.
  74. ^ Charles A. Ward, Oracles of Nostradamus, 1891, p.340
  75. ^ Leoni (1982) p.755
  76. ^ Prévost (1999) p.89, Lemesurier (2003) p.279
  77. ^ SEXT. はSextusの略、mansolはmausol / mausolée(霊廟)の誤植とされる(ex. Lemesurier [2003])。
  78. ^ Leroy (1993) p.193, Randi (1990) pp.176-189(日本語版pp.243- 264)
  79. ^ Leroy, ibid.このあたりの論点は、日本語文献では竹下 (1998) pp.226-229で手際よくまとめられている。
  80. ^ Eugène Bareste, Nostrdamus, Paris, 1840, pp.57-59 ; Anatole Le Pelletier, Les Oracles de Michel de Nostredame, T.1, 1867, pp.72-73 etc.
  81. ^ 以下は Buget (1863) pp.453-455による。
  82. ^ Brind'Amour (1996) pp.99-101, 高田・伊藤 (1999) pp.45-47
  83. ^ Brind’Amour (1993) pp.262-263
  84. ^ Lemesurier (2003) pp.255-256
  85. ^ ASIOS・菊池・山津 (2012) p.82
  86. ^ cf. Levert (1979) p.246, Dr. M. de Fontbrune, Les Prophéties de Maistre Michel Nostradamus. Expliquées et Commentées, 4e éd., Sarlat, 1939, p.278 etc.
  87. ^ Drévillon & Lagrange (2003) p.21(日本語版 p.25)
  88. ^ Brind'Amour (1996) p.115
  89. ^ 高田・伊藤 (1999) pp. 1-2, 316なお、ここでの「評価」はあくまでも原文と用語集の編纂に関するもので、彼の解釈が支持されているわけではない。
  90. ^ Brind'Amour (1996)
  91. ^ 参考文献としている例として、Lemesurier (2003), Petey-Girard (2003), Sieburth (2012) etc.
  92. ^ 高田・伊藤 (1999) p.3
  93. ^ Petey-Girard (2003), Lemesurier (2003), Clébert (2003)
  94. ^ Petey-Girard (2003) p.50
  95. ^ ヘンリー・C・ロバーツ編、大乗和子訳、内田秀男監修『ノストラダムス大予言原典・諸世紀』たま出版、1975年。エリカ・チータム編著、山根和郎訳、流智明監修『ノストラダムス全予言』二見書房、1988年
  96. ^ ASIOS・菊池・山津 (2012) p.68
  97. ^ Nostradamus en son siècle, Thomas-Scheler, 2010




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