シスターフッド (フェミニズム)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/12 14:34 UTC 版)
シスターフッド(英語: sisterhood)とは、女性同士の連帯や絆を示す概念である[1]。
歴史
シスターフッドという語は、1960年代にアメリカ合衆国から始まった女性解放運動のウーマン・リブで使われた[2]。1968年、キャシー・サラチャイルドは「シスターフッド・イズ・パワフル」(Sisterhood is powerful) というスローガンを掲げてデモ行進した[3]。その後、#MeToo運動などがきっかけとなり、シスターフッドは再び社会に広まった[2]。
肌の色、宗教、年齢、性的指向、身体的な特徴など、個人が持つ属性の違いから、シスターフッドが弱まるという一面もある[4]。そこで生まれる差別に気づくために、インターセクショナリティという概念が提唱された[4]。
日本
ファッション雑誌『ELLE』は、2020年4月号で「"女たちの絆"がキーワード」と掲げて、「春の映画、百花繚乱!」特集を組んだ[5]。そこでは、女性の映画監督であるグレタ・ガーウィグによってリメイクされた『若草物語』や、ボンドウーマンが登場する『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』など、20代から70代までの女性をヒロインとする映画が取り上げられた[5]。
文芸雑誌『文藝』は、2020年秋季号で「覚醒するシスターフッド」特集を組んだ[6]。同雑誌に掲載された8つの短編は、新たに2つの短編を加えて、2021年に『覚醒するシスターフッド』の題名で単行本化された[6]。
著作家の王谷晶は、2020年のインタビューにおいて、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの存在が「シスターフッドの大衆化」に寄与しているのではないか、と述べている[7]。
大衆文化
映画批評においては、『アナと雪の女王』(2013年)や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)といった作品の商業的な成功により、シスターフッドの概念が定着していった[8]。
シスターフッドを描いた作品として、映画『テルマ&ルイーズ』(1991年)[9]、テレビドラマ『虎に翼』(2024年)がある[10]。
脚注
- ^ “女性の連帯示す「シスターフッド」 作家や歌人 特集や連載で注目”. 日本経済新聞 (2020年8月15日). 2025年5月12日閲覧。
- ^ a b “「シスターフッドに頼るな」 作家・柚木麻子さんが覚えるいらだち”. 毎日新聞 (2025年3月11日). 2025年5月12日閲覧。
- ^ “東大卒・山口真由、苦手だった「女友だち」の“つながりの強さ”を実感した出来事”. FRaU (2022年9月6日). 2025年5月12日閲覧。
- ^ a b “シスターフッドとは何のこと?フェミニズム運動と連帯”. あしたメディア by BIGLOBE (2021年10月6日). 2025年5月12日閲覧。
- ^ a b “女性同士が連帯する「シスターフッド」の新たな動き”. 毎日新聞 (2020年12月28日). 2025年5月12日閲覧。
- ^ a b “【書評】女性どうしの連帯をテーマにしたアンソロジー。発売即増刷した『文藝』が単行本に~『覚醒するシスターフッド』”. 婦人公論 (2021年5月30日). 2025年5月12日閲覧。
- ^ “女性同士の人間関係に変化 いま要注目の“シスターフッド”って?”. an・an (2020年9月20日). 2025年5月12日閲覧。
- ^ “映画、書籍、雑誌にヒット続出 新キーワード「シスターフッド」”. 日経クロストレンド (2021年5月12日). 2025年5月12日閲覧。
- ^ “時代を先取りしすぎていた映画!? シスターフッド映画の金字塔が4K版に!”. an・an (2024年2月20日). 2025年5月12日閲覧。
- ^ “女性の分断を生む本当の敵とは?「女王蜂症候群」というけれど…”. 日経クロスウーマン (2024年12月5日). 2025年5月12日閲覧。
関連文献
- 「特集1 覚醒するシスターフッド」『文藝』、河出書房新社、2020年秋季号。
- 治部れんげ (2021年10月18日). “そのシスターフッドは特権の上に成り立っていないか~ますます重要性を増す「交差性(インターセクショナリティ)」について考える~”. Harper's BAZAAR. 2025年5月12日閲覧。
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