キツネ狩り (美術)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/02 04:27 UTC 版)
現在、削除の方針に従って、この項目の一部の版または全体を削除することが審議されています。 削除についての議論は、削除依頼の依頼サブページで行われています。削除の議論中はこのお知らせを除去しないでください。 この項目の執筆者の方々へ: まだ削除は行われていません。削除に対する議論に参加し、削除の方針に該当するかどうか検討してください。また、本項目を既に編集されていた方は、自身の編集した記述内容を念のために控えておいてください。 |
英語: The Fox Hunt | |
![]() |
|
作者 | ウィンスロー・ホーマー |
---|---|
製作年 | 1893年 |
種類 | 油彩、キャンバス |
寸法 | 96.5 cm × 174 cm (38.0 in × 69 in) |
所蔵 | ペンシルベニア美術アカデミー、フィラデルフィア |
『キツネ狩り』(きつねがり、英: The Fox Hunt)は、アメリカ合衆国の画家ウィンスロー・ホーマーが1893年にキャンバスに油彩で描いた絵画作品である。これは、腹を空かせたカラスらに脅かされて深雪のなかを走っているキツネを描いている。彼の最大、唯一の作品として、これは「ホーマーの最も偉大なダーウィン的な絵、論証可能であるがいかなる種類であるにせよ彼の最も偉大な絵」と評されている[1]。
『キツネ狩り』は、1893年の冬のあいだにメイン州プローツ・ネック(Prouts Neck)のホーマーのアトリエで描かれた。絵は食料を探し回るキツネを描き、こんどはキツネが飢えのために捕食に駆られるカラスらに狩られつつある[2][3]。左では赤い漿果の小枝が幾本か雪を破り、そして遠くでは海岸線が、そして深い青の空の下には海洋が見えるであろう。
作品
ニコライ・チコフスキー・ジュニア(Nicolai Cikovsky, Jr.)によれば、美術家は、色彩調和を正確に記録するために雪のなかの樽をキツネの生皮でおおった[2]。ホーマーの伝記作者フィリップ・C・ビーム(Philip C. Beam)は、この絵を描く前にホーマーはある猟師からキツネの死体を、別のロズウェル・グージンズ(Roswell Googins)という猟師から幾羽かのカラスを、与えられたと書いた[4]。ホーマーは、アトリエの外の雪のうえにそれらのカラスを置き、そして紐と棒でキツネを走行姿勢をとらせた。ホーマーは、製作は晩冬に始められたのでいくらかの苦労を経験し、そして温まる温度は、硬直したカラスらをとかし、ぐにゃぐにゃにした[4]。ホーマーは、メイン州スカボロー(Scarborough)駅の駅長エルブリッジ・オリヴァー(Elbridge Oliver)に絵をどう思うかと訊ね、すると彼は「やあ、ウィン、ありゃあカラスじゃねえな。」("Hell, Win, them ain't crows")と応えた[4]。鳥たちを描ききったのち、ホーマーは駅でオリヴァーといっしょになり、そこでふたりは3日間、カラスを引き寄せるために地面にコーンをまき、ホーマーは電報用紙に鳥たちをスケッチした[4]。スケッチを参考として使用して、彼はカラスを描きなおし、それからオリヴァーを喚んで、意見を求め、賛成を得た[4]。
解釈
1893年に展示されたとき、絵のダーウィン的な側面はただちに批評家らによって認識された:「キツネが雪のなかを進み、敵らをするどく見やる - 2羽の巨大なカラスが自分をむさぼり食おうと舞い降り襲いかかる、彼らの飢えはいつもの狩り場をおおう吹雪で激しくなっている。べつのカラスらは遠くで休むことなく舞っている。過ぐる夏の野バラの茂みの1、2本の小枝は、絵の装飾音であり、場面の陰鬱な性格をじゅうぶんに埋め合わせする。」[5]
ホーマーの作品について書いている幾人かは『キツネ狩り』に美術家の自己開示の証拠を見ている。トーマス・B・ヘス(Thomas B. Hess)は、絵をフロイト的な面から見て、「小柄で敏捷な、小さい、せんさく好きな、狡猾な」キツネは自画像であると信じた[6][7]。チコフスキーは、美術家の署名が「深雪のなかにキツネのように沈みかけていて、その形と動きを正確にまねしている」ことに注意し、そしてキツネの尾は、署名の「R」に摸写され、ブラシ(brush)と称されることを付け加えた[6](キツネ狩りでキツネの尾は、トロフィー、手柄の記念、賞品とされる)。ホーマーが、悪賢さおよび社会的超然さ、キツネに帰せられる性質と一体感を持っていたということはあり得る[6]。そのうえ、カラスは死の前兆と見られ[6]、フロイトのレオナルド・ダ・ヴィンチ研究に解釈の基礎を置いているヘスにとって、それらは、「空飛ぶ陰茎の悪夢」を現わしている[7]。
ホーマーの作品にたいする日本のデザインの影響はひろく注意され、とくに『キツネ狩り』においては、絵が3枚の垂直な画板に分けることができ、したがって「完璧な日本の屏風」("a perfect Japanese screen")を創作しているという観察記録とともに注意されている[8]。
『キツネ狩り』は、ペンシルベニア美術アカデミーの例年展示に展示されたのち、1894年に美術家からアカデミーによって購入された。
注釈
参考文献
- Beam, Philip. Winslow Homer at Prout's Neck. 1966
- Cikovsky, Jr., Nicolai; Kelly, Franklin. (1995). Winslow Homer. National Gallery of Art, Washington. ISBN 0-89468-217-2
- Gardner, Albert Ten Eyck. Winslow Homer, American Artist: his World and his Work. Clarkson N. Potter, Inc., New York: 1961
- Little, Carl. Winslow Homer and The Sea. Pomegranate Artbooks, 1995.
文献案内
外部リンク
- The Fox Hunt's entry at the Pennsylvania Academy of the Fine Arts
「キツネ狩り (美術)」の例文・使い方・用例・文例
- キツネ狩り (美術)のページへのリンク