PENTAXのフィルム一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントAF機種) PENTAXのフィルム一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントAF機種)の概要

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PENTAXのフィルム一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントAF機種)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/12 22:15 UTC 版)

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PENTAX SFシリーズ

PENTAX SFシリーズとは、旭光学工業初のAFシリーズである。ちなみにその名称は"Super Focus"より由来する。

旭光学工業もME F(1981年11月発売)の後もAF化の開発研究を続けてはいたものの、1984年末にミノルタによって世界初のAFシステムカメラである『ミノルタα-7000』が完成すると、一眼レフカメラメーカーすべてがその遅れを挽回する側に回ることとなったのである。これは業界全体を揺るがす大きな出来事であったために、後に「αショック」と言われるようになった。

その「αショック」による急激なAF化のニーズに応えるべく『PENTAX SFX』は短期間で会社の総力を結集して開発された。初代のAF機である『PENTAX ME F』のアピール不足による反省から、今度はシリーズまるごとAF化への刷新を行い、全機種のワインダー内蔵化による巻上げ巻き戻し作業の全自動化、交換式ファインダースクリーン、交換式データバック、外部リモートレリーズの新規格化などの対応アクセサリーも専用のものへと一新され、また高度に電子化されたAEカメラの操作に特化したボディデザインの採用など、新世代のカメラであることを全面的にアピールする商品展開を行った。

同じ物では競争にならないといった判断から、付加価値として世界初の格納型(リトラクタブル)TTLダイレクト測光方式のフラッシュをボディ内に搭載し、先行他社製品との差別化を図った[1]。また暗所での合焦性能を向上させるため、非球面レンズを使用したAF補助光装置も搭載され、内蔵TTLフラッシュの利便性の向上が図られた。

AF機構に関しては、従来の精度は高いものの実用面で問題があった「コントラスト検出方式」AFマウントであるKFマウント[2]ではなく、新たに「位相差検出方式」AFマウントとして新規開発されたKAFマウント[3]を実装し、ようやくAF合焦精度と速度のバランスが実用レベルに達した。その新機能に対応したSMCペンタックス-Fレンズ群[4]も同時に用意され、その新レンズ群のデザイン、機構も従来のMFレンズ群より一新された。

ボディデザインは、従来のシリーズとはがらりと変わって大型化され、電子化されたAEカメラに最適化された筐体デザインとなった。主な特徴は、液晶パネルがペンタ部に移り、各情報の視認性の向上が図られたこと。また、内蔵フラッシュ用大型コンデンサの搭載位置の関係から、グリップ部が大型化され、ホットシューが軍艦部右肩に移ったことなどが挙げられる。グリップ感の良さや、使い勝手が良かったことなどから、この基本デザインは次のZシリーズにも継承される。

その企業努力の甲斐もあってかSFシリーズは成功を収め、また世界初のズームレンズ内蔵コンパクトカメラの『ペンタックスズーム70』の成功と相まって、旭光学工業の窮地を救うこととなった。国内においてこのSFシリーズは、全モデルにデータバック(クォーツデート機能)のある製品と、ない製品の2種類がラインナップされた。

  • SFX / クォーツデート - 1987年3月発売。『ペンタックスSFX』とは、ミノルタの『α-7000』より遅れること2年、満を持して登場したシリーズ第1号機である。地味なスペックではあるがカメラとしての基本は押さえており、当時のAFカメラを望む多くの一般層に受け入れられた。売りであった世界初のTTL内蔵フラッシュだけではなく、軍艦部、液晶表示部を撮影者側に傾斜させたことによる操作性、視認性の向上を考慮した筐体デザインなどから、α-7000を相当意識し、それ以上の製品を作ろうとした開発スタッフの努力が垣間見える。またフル・プラスチック外装ながらも、堅牢性も高く、まず最初にデザインされたという、グリップ部のホールディング性も良い。プロダクトデザイナーの工夫がうかがえるためか実用的な機種であったが、当時では実用性を重視しすぎた感のある奇抜なデザインや、発売時期がわずかに『キヤノンEOS650』に遅れを取ったことなどから、その販売実績や、実力に対してやや地味な印象を持たれているものの、後の多くの他社一眼レフカメラ製品に内蔵TTLフラッシュが採用されていることから、そのアイデアは正しかったといえる。
  • SF7 / クォーツデート - 1988年9月発売。『ペンタックスSF7』とは、SFシリーズの廉価機として登場した。初代機SFXとの差別化のためか、配色や表面処理は、同時期に発売されたSFXNに合わせられ、グレーの胴体部が「平面処理」から「梨地処理」に変更されている他、マウント左脇のフォーカスモードセレクターの文字色が赤に変更された。SFXから、マルチプログラム、視度調整機能が省略されたが、ペンタックス初の多分割測光機能である2分割測光(SPD素子)の採用や電池ボックスが底板の開閉フタ式に変更されるなど廉価機といえどもスペック、実用面においては従来の上位機種であるSFXとも遜色がなく一面では上回る機種であった。注目すべき点は、形状、スペックにおいてSFX/XNと酷似するが、内部構造が大きく異なり、パーツの一体成形化、組立工程の簡略化などの各所に大幅なコストダウンが図られていることである。後のZシリーズ廉価機のベース機になったが、やや大型なのはペンタプリズム(銀蒸着)を採用しているためである。なおこの機種よりフォーカシングスクリーンが、より明るい「アスフェリックマイクロマットスクリーン」が採用される。この機種の大きな欠点はネガフィルムを主に使う層を対象と考えたためか大幅に露出がオーバーとなることだった。露出補正もフィルム感度のマニュアル設定も出来ないためリバーサルフィルム使用時にはDXコードを改造するしかなかった。
  • SFXN / クォーツデート - 1988年11月発売。『ペンタックスSFXN』とは、AF機における激しい技術競争の中でわずか2年足らずで性能的に古くなってしまったSFXの後継機種である。シャッター速度がペンタックス・カメラ初の最高1/4000秒を実現し、フラッシュ同調速度は1/125秒にまで引き上げられた。そればかりではなく、連射性能の向上や、オートブラケット機能の追加、低ミラーショックのためのミラーアップ機構の設計の見直しなどの大幅な改良とグレードアップが図られており、「N」、つまり“New”の名に止めておくには惜しい機種であった。従来のSFXに対して実力的にはワンランク以上の実質上の上位機種となったが、外装部品、デザイン、と目に見える部分がほとんど同一であるために、これもまた地味な印象の機種となってしまった。その酷似するSFXとの外装面での主な違いとして、先行発売されたSF7のカラーリングや「梨地処理」を踏襲しつつ、軍艦部の色がブラックからメタリック・ブラックとなったこと。他にグリップ部の“SFX”のプリントロゴがグリップ部のバッテリー蓋側(外側)から、本体側(内側)に変更された点などが挙げられる。

ペンタックス Zシリーズ

SFシリーズの筐体デザインを踏襲しながら即応の思想という新たなコンセプトのもとに開発されたAF機第2世代のシリーズ。ハイパーマニュアル露出以降、HyM露出と記述)はシリーズ全機種に採用された。さらに新規のKAF2マウントが採用され、全機種がパワーズーム機能を始めとした各種ズーム補助機能すべてに対応(ただしZ-70Pはパワーズームのみである等、Z-1以外の機種にはインテリジェント動作に制限がある)し、それに応じて新たにSMCペンタックス-FAレンズ群が発売された。他にも全機種に多分割測光機能が実装され、測光機能も強化された。アメリカではPZシリーズとして販売された。

  • Z-10 クォーツデート - 1991年6月発売。廉価機ながらも「HyM露出」、「6分割測光」、「スポット測光機能」を実装。KAF2マウントの全機能に対応している。一方コストダウン等のためファインダー内表示等が極めて簡略化された。
  • Z-1 クォーツデート - 1991年12月発売。「1」の数字を与えられた旗艦機である[5]シャッター速度は最高1/8000秒まで引き上げられた。「第9回(1992年)カメラグランプリ」を受賞している。ハイパープログラムを実装し、プログラムモードから、前後ダイヤルを操作するだけで、絞り優先モードとシャッター速度優先モードを行き来することができる。ペンタックスとしては初めて裏蓋に本体の操作ボタン(露出補正ボタン、測光モードボタン)を備える。SFシリーズに引き続き、液晶表示部はペンタプリズム上部に配置されている。レンズの絞り環がA位置であっても絞り優先モードが使用可能なため、絞り環を持たないFA JレンズやD FAレンズなども使用できる数少ない機種の一つである。下部にグリップストラップFDを装着できが、これはホールディング向上のためであり、バッテリーグリップではない。


  • Z-20 クォーツデート - 1992年11月発売。Z-10の改良機でハイパープログラムシフト、ピクチャーモード、学習機能を搭載。
  • Z-20P クォーツデート - 1993年6月発売。Z-20のパノラマ対応版。
  • Z-50P クォーツデート - 1993年6月発売。Z-20/20Pより、学習機能などを省き、機能を整理した廉価機である。
  • Z-5 クォーツデート -
    PENTAX Z-5 & smc PENTAX-FA 85mmF1.4ED[IF]
    1994年3月発売。基本性能・外観はZ-1とほとんど同じだが、カスタムファンクション機能の一部が削除され、その分若干安価になっている。カスタムファンクション機能は、ペンタックスのサービスセンターにて有料で変更することができた。Z-5/5PはZシリーズで唯一クロームボディであり(Z-1リミテッドは除く)、FAレンズはこのボディと同じカラーリングである。


  • Z-1P クォーツデート - 1994年6月発売。Z-1の後継機。連写性能が秒間4コマへ向上。また、当時流行りだったパノラマの撮影も可能となった。UVコートが施されたほか、ファインダー内表示項目(露出インジケーター)の追加、巻き戻し動作の簡略化、グリップ部のラバーの改質(Z-1リミテッドと同じものに改良)、内蔵フラッシュの制御方式変更等細かく改良されている。以上のように、性能は大きく改良されているが、外観はZ-1とほぼ同じであった。Z-1Pからナチュラルブライトマットが採用されており、従来のクリアブライトマットから更にピントの山が掴みやすくなっている。パノラマモード切替レバーの搭載により、グリップストラップもレバーのための切り欠きのあるものに変更されている。
  • Z-5P クォーツデート - 1994年8月発売。Z-1Pベースの、Z-5の後継機。発売日はZ-5とわずか4ヶ月しか変わらない。短い期間しか販売されなかった[要出典]。Z-5とは異なり、液晶のバックライトが省略されている。AF機シリーズ初のクロームとブラック仕様のカラーバリエーションが展開された。
  • Z-70P クォーツデート - 1995年4月発売。愛称は“Zメイト”。ボディの軽量化が図られ、470gと500g以下のボディとなった。それに伴って大口径レンズ向けのパワーズーム機能も一部を残して大幅に整理された。測光範囲も2分割測光と大幅に簡素化された。SFシリーズから続いた「スイッチ兼モードセレクトレバー」がダイヤル式に変更された。

  1. ^ 後に他社カメラでも採用され、一眼レフの標準的な機能となった。デジタル一眼レフが主流となった現在でも採用されている
  2. ^ ME FおよびsmcペンタックスAFズーム35-70mmF2.8でのみ採用
  3. ^ KAFマウントの詳細記事はKマウントの系譜の節を参照のこと。
  4. ^ SMCペンタックス-Fレンズ群の詳細記事はKマウント用交換レンズ:35mm判カメラ用の節のSMCペンタックス-Fシリーズの項目を参照のこと。
  5. ^ MZシリーズでは「1」の数字を持つ機種が発売されなかったこともあり(MZ-1やK-1(2000)は開発のみで未発売)、「1」の数字を与えられた機種は、2016年発売の35mmフルサイズデジタル一眼レフK-1まで待たなければならなかった。
  6. ^ シリーズ唯一のMF機であるMZ-Mについてはペンタックスのフィルム一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントMF機種)を参照。
  7. ^ https://www.facebook.com/ricohimaging.jp/posts/1253867778044248(2018年6月6日閲覧)
  8. ^ SMCペンタックス-FA Jレンズ群の詳細記事はKマウント用交換レンズ:35mm判カメラ用の節のSMCペンタックス-FA Jシリーズの項目を参照のこと。
  9. ^ カスタムファンクション設定によって絞り優先オート、あるいは露出計非作動のフルマニュアル撮影での使用に限定される


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