GM-1
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当時の高性能航空用エンジンには、上空での気圧低下(酸素量の減少 = 出力低下)を補うためスーパーチャージャー(遠心式圧縮機)が広く用いられていたが、過給しブースト圧を上げると吸気温度が上昇し、エンジンの異常燃焼(ノッキング)を誘発してしまう[1]。特に対ノッキング性の低い、すなわちオクタン価の低い航空燃料を使わざるを得ないケースにおいてはより深刻である[1]。このため、吸気の温度を下げるシステムとして、DB601の開発現場にて、GM-1が考案された[1]。
亜酸化窒素は当時においてもそれほど手に入りにくい物質という訳ではなく[1]、また引火や爆発の危険も無い物質であった[1]。これを加圧し、-88度 Cで[2]液化してボンベに封じこめ、航空機に搭載しておくかたちである[1]。亜酸化窒素は必要な時にスーパーチャージャーに噴射され、気化熱でこれと吸気を冷却し、ノッキングを抑える。さらにエンジン内での混合気の燃焼に伴い酸素を放出する。その酸素によりエンジンはより大きなブースト圧を得た時と同様に、出力が増加する、と言う二段構えのシステムである[1]。また、不必要な重量増とならないようボンベの容量が限られていたことから、「GM-1緊急出力増強装置」などと呼ばれることもある[1]。
これはBf109-G型の登場時から実戦に用いられた[1]。 ただし、矢吹ら(2005)によればボンベを含むシステム全体で100 kg少々の重量が有ったと言われ、亜酸化窒素を使い果たした後は、これはデッドウェイト、すなわちただの重しである。このため敢えて使用されない事も有ったという。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j 矢吹 et al. 2005, pp. 126–127.
- ^ 野原 2006, p. 79.
- ^ フラッペ & ローラン 1999, p. 180, 190.
- ^ フラッペ & ローラン 1999, p. 189.
- ^ フラッペ & ローラン 1999, p. 458.
- ^ フラッペ & ローラン 1999, p. 451.
- ^ 野原 2009, p. 139.
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