ABO式血液型 ABO式血液型と体質

ABO式血液型

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 09:21 UTC 版)

ABO式血液型と体質

血液型と病気の関連性については1980年代には持てはやされていたが、ヒトゲノム計画が終りつつあった2000年に、科学雑誌『Nature』にて総説が掲載され、その内容は「胃腸管に関するいくつかの形質に弱い相関が確認できるが、血液型と疾患の相関については再現性よく示されたものは無い」というものであった[88]。その後の研究では、健康面(ストレス抵抗性や病気のリスク)へあるという報告は存在している[89]。 ABO式以外の血液型では特定の血液型のみある病気にかからないというものがいくつか見つかっている(P式血液型:p型とPk型のヒトパルボウイルスB19耐性、ダフィー式血液型:Fy(a-b-)型の三日熱マラリア耐性など[90]。)が、ABO式では完全耐性の病気は見つかっておらず、下記のように相対値で数割ほど多い少ない程度の「あえて言えば」の範囲である。

  • マラリア:マラリアそのものの感染率は変わらないが、熱帯熱マラリアによって起きる脳性マラリアに移行するしやすさがA型がO型の1.3倍。(マラリアに寄生された赤血球が脳の血管に詰まるのが原因だがA型のみ毛細血管に若干くっつきやすい。)
  • 胃(十二指腸)潰瘍:ピロリ菌の感染しやすさがO型のみ25%ほど高い(ピロリ菌はルイス抗原のb抗原につきやすいので、Aルイスb抗原やBルイスb抗原に変化しているA型やB型より、これがこのまま残るO型の胃壁につきやすい。)
  • ノロウイルス:一部の株に限るが、H物質につくのでO型の感染率が若干高い。(以上3例山本(2015) p.180-188より)
  • COVID-19:関係しないという説と[91]、東アジア人種では関係するという説の両者がある[92]

免疫機構以外の病気の成りやすさで確認されているものでは、O型は血液凝固に必要なフォン・ウィルブランド因子の濃度が他の型より25%ほど低く、このため他の型よりわずかに血液が凝固しにくく、血栓が起きにくい(エコノミークラス症候群発生率がO型を基準とすると他の型は50%ほど多い)[93]

2022年には、科学雑誌『Nature』に、ABO型血液型と腸内細菌叢に関する論文が3報発表され[94][95][96]、うつ病、精神との因果関係が示されている細菌の存在量の違いが示されている。


  1. ^ 出典では「ランドスタイナー」表記
  2. ^ 現在の観点から見ると不自然な親子関係があるが、参考にした『血液型の話』14Pの表のままで掲載。
  3. ^ あくまで二対対立因子説による仮説である点に注意
  4. ^ 前述のフォン・デュンゲルンおよびヒルシュフェルトの初めての調査ではAB型の親とO型の子の組み合わせがあるが、以後の他の学者たちによる調査で確認できなかった。
  5. ^ この違いはAB型に現れるはずで、ベルンシュタインの説では「AB型血球にはR凝集原がないので凝集素ρには反応しない」はずだが、古畑らの説は「O型血球に反応する凝集素があればAB型でも反応する」となる。
  6. ^ よってオーストラリア・南北アメリカ大陸などは先住民のデータから推測。
  7. ^ 比率でわかるように後述の「A型遺伝子やB型遺伝子の多い地域」でも大半はA型遺伝子やB型遺伝子は過半数に達しておらず、O型の方が多数派の場合も多い。
  8. ^ 参考にした『血液型の話』原文は「アメリカ・インディアン」表記
  9. ^ 古畑(1962) p.213
  10. ^ 日本やシベリア先住民ではやや低いが、北海道などのアイヌはB型が比較的多い。
  11. ^ A型遺伝子出現率は九州東部・四国南西部では29%以上だが、青森県の北部は24%以下になるなど(保志(1968) p.324図4「日本におけるA型遺伝子出現率の地域差」(古畑より改変)。)。
  12. ^ 抗H抗体自体はA型・AB型で一番多いA1型やA1B型の血清にも存在するが、こちらは体温で反応しないため輸血で問題にされることはほとんどない。
  13. ^ なお、Row-Iは通常のボンベイ型が分類される。
  14. ^ 注:Hを小文字で上に書く書き方もある、以下同じ





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