謎の彼女X
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/28 04:01 UTC 版)
概要
唾液で感情を伝達する特殊な能力を持ち、「ハサミ」が趣味という変わった高校2年生「謎の彼女X」と主人公の恋愛を描いた学園恋愛漫画。作品のテーマは17歳という微妙な年齢の男女関係の不安定さや、男性から見た女性の情動の不可解さ。タイトルの「X」は、ヒロインが持つハサミの形からも来ている[1]。各話のサブタイトルには全て「謎の」という言葉が含まれている。
物語の舞台となっているのは、東京の架空の都市「風見台」。年代設定は「20XX」年だが、ポラロイドカメラが登場したり、携帯電話が登場しなかったりと、作者が高校時代を過ごした1980年代の空気が色濃く反映され、2000年代とも1980年代とも言い切れない曖昧な雰囲気を醸し出している。桜の花・夏休み・文化祭・冬服など季節ネタも多数盛り込まれているが、主人公たちはストーリーの時間の経過を無視するかのように常に高校2年生、17歳である。第0話「謎の彼女X」は高2の夏6月だが、第14話「謎の雨宿り」は高2の5月(衣替前)に戻っている。第6話「謎の夏休み」では最初のデートを8月31日としているが、第16話「謎の海水浴」では夏休みの卜部の帰省後に2人で海水浴に出かけている。また、第27話「謎の暑中見舞い」では夏休みの椿の帰省後に2人で花火大会に出かけている。 「唾液」による心理状態の伝達で主人公がヒロインの唾液を舐めたり、女性同士で唾液を舐めさせたりする点や、ヒロインがパンツの右腰部に安全バサミを常に隠し持っている点、本編中のエピソードでヒロインがスカートの下に何も穿かずに学校で過ごす[2]点など、作品中に男性のフェティッシュがちりばめられている。
作品については作者のこれまでの路線と違いオカルト的な要素が無く、高校生の恋愛を主題に日常の表現に重きを置いた作品になっている。当初『夢使い』の次回作として構想された作品は『古事記』に記されている古代の不思議な一族の血筋を継ぐ少女と、その少女に恋する少年との伝奇的恋愛ものだった。しかし、編集部から「少年と少女が出会う物語で『古事記』の伝説のようなオカルト的要素は必要なのか? 思春期の少年にとって、少女とは、少女であるということだけで神秘的で、とてつもなく謎めいた存在なのではないか?」とのクレームがつき、悪戦苦闘、紆余曲折の末に第0話「謎の彼女X」が生まれた[3]。
注釈
出典
- ^ 単行本第1巻のカバー下表紙の記載
- ^ 単行本1巻第4話
- ^ 単行本第3巻巻末著者2008年2月某日の記述より
- ^ 単行本1巻 第0話
- ^ 杉岡祐樹. “アニメ『謎の彼女X』発売記念 スペシャル対談”. Billboard Japan. 2012年7月18日閲覧。
- ^ 単行本第3巻のカバー下表紙の記載
- ^ 単行本第4巻特典「とらのあな」限定・作者書き下ろしメッセージペーパーより
- ^ 作者によると「主人公を陽とすれば、陰となるライバルキャラ」「ブラック卜部」という位置づけらしい(『月刊アフタヌーン』2009年10月号「アメゾ・ザ・ボイス」の記述から)。
固有名詞の分類
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