自律訓練法 具体的な訓練方法

自律訓練法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/13 05:12 UTC 版)

具体的な訓練方法

指導者や個人の見解でやり方に違いはあるが、ここではヨハネス・ハインリヒ・シュルツ成瀬悟策が書いた「自己催眠」による訓練の進め方を紹介する。

姿勢の留意点

仰向けは寝椅子か床、あるいは直に畳に横たわれるので初心者が練習するのに最も楽な姿勢である。両脚は少し開いて力抜く。もも部分の力を十分緩めるには膝関節の下へたたんだ毛布など何か支えを置くと良い。かかとはくっつけないほうが良い。胴、肩、頭などは左右に偏らないようにし、まっすぐにする。頭やくび、肩などの部位が最も楽になるように枕を調節する。腕は力を抜いて少し曲げ、胴の脇に掌を下にして置く。指はやや伸ばし自然に曲げ胴に触れないようにする。 これらのことをどれかを欠くと好ましくない効果が生ずることがある。マットレスや枕など柔らかいものを使うとかえって頭や肩の緊張する人もある。畳の上のような硬いもののほうが良いことも有るから人によって色々試してみる。

この他、椅子姿勢などあるが具体的なことはここでは割愛する。

心構え

心構えは練習の進歩に直接的な影響を及ぼす。大切なことは、「虚心」「持念」「留意」の3つである。

  • 虚心:公式の示す内容を早く実現しようとして、特にきばったり、注意したりしないで、ぼんやりとその公式に心を向けていることが必要である。公式の内容についての意味を考えるでもない。ちょうどお題目や念仏を唱えたり、或いは禅の公案を練るときの気持ちのような無心の心構えで公式の内容が体験的に実現するのを待つのである。
  • 持念:公式を断えず念頭に持ち続ける事が次に大切である。虚心、無心と言っても何も心にないというのではない。公式の言葉を、しかもその意味から離れて心のなかに維持するのである。例えば公式の文字を字幕のように心像として眺めるもよし、あるいは声を聞くかのように繰り返し聴き続けてもよい。いわば心眼、心耳にそれを保つのである。
  • 留意:同時に公式が示す身体部位に心を置く。太陽神経叢(お腹)、脚、足などある程度正確に身体部位を知ってそこに留意することが大切である。勿論、その部位が“重くなれ”とか“重くなったか”などと言うふうに気を配るわけではない。虚心に、またひたすらそこに留意するだけである。

実はこれらの心構えが自律訓練法ではもっとも重要なもので、むしろこの訓練法では全てがそうした特殊な心構えを習得するために組み立てられており、それを適切に出来るようになることを目的にした練習法だと言って良いほどである。各自がその心構え体得のためにそれぞれ工夫するほかない。

暗示

「自己催眠」によれば公式の効果を感じるまでは次の公式に進んではいけない。つまり最初は第1公式の「重い」だけを繰り返すことになる。

また、「右腕が重い」「左腕が重い」など対象部位を細かく分けるのが普通である。この時、対象部位に公式の感覚が出てくるまで次の部位に進まないのも同じである。

最初は背景公式(数回繰り返す)の次に「右腕が重い」を30〜60秒繰り返したら直ぐに消去動作に移り1回の訓練は終わりである。(最初の腕は通常利き腕から始める。つまり左利きの人は左腕から)

対象部位に効果が出るようになったら、次の部位を公式に組み込んでいく。「背景公式」、「右腕が〜」、「左腕が〜」、「消去動作」。

更に「右脚が〜」、「左脚が〜」と組み込んでいき、慣れてきたら(効果が簡単に出るようになったら)まとめて「両手両脚が重い」等とする。

更に進むと、第1と第2をまとめた「両手両脚が重くて温かい」等と短くまとめることができる。

公式の間に適時、背景公式「気持ちが落ち着いている」を何回かはさむようにする。

なお、「右腕」の後が必ずしも「左腕」とは限らず、同じ右側の「右脚」となる人も居る。対象部位をどの順でやるかというのは個人差があり、効果の出方で決める。

訓練初期や初心者は1回の訓練は長くて5分ほどで終了しなければいけない。公式を短くまとめるのもそのためである。1回練習を行ったらきっぱりと終了・覚醒し、直ちに2回目の練習に入る。

1回の訓練を長々やっていても効果が上がらないばかりか逆効果である。それより回数を多くする方が効果的である。基本的には一度の練習は3回を1セッションとし、それを朝・昼・晩と3セッション練習するのが良いとされる。出来ない場合は朝・晩の2セッション、或いは就寝前に1セッションだけでもやるようにする。

効果を上げるのに一番大事な事は、練習量が少なくても毎日継続することである。毎日続けないと進歩が著しく停滞する。

大抵の場合、1〜6の公式それぞれの習得に数週間から長くて2ヶ月程を要する。全ての公式の習得に早ければ1ヶ月、長くて1年以上かかる。

1回の練習が終わったらその都度、消去動作で終了・覚醒する。そのためには両腕(両脚を)強く2〜3回屈伸し、次に深く呼吸してから目を開ける。

消去動作で最初に目を開けるとめまいなどを起こすことがあるので、目を開けるのは手足を動かすなどしてからにする。目を瞑ったままベッドなどから降りるのは危険なので訓練をした状態・体制である程度体を動かして解除してから目を開けるようにするということである。







英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「自律訓練法」の関連用語

自律訓練法のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



自律訓練法のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの自律訓練法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS