義務論 形而上学的事項

義務論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/20 07:54 UTC 版)

形而上学的事項

義務論では道徳規則に従うことは自らの自由意志によって規定しなければならないとされる。これを自律という。ここで言う自由とは理性にとっての自由である。理性以外の一切のもの(例:短絡的欲求)によって行為を規定してはならない。こうしてカントは理性的存在者の自由尊厳を確保したのである。人格の尊重を道徳規則とすると“汝や他者の人格を単に手段としてのみ扱ってはならず目的として扱わなければならない”となる。

義務論批判・功利主義との関係

義務論に対する批判に“抽象的”、“義務の衝突が発生する”というものがある。この問題を解決するために提案されているのが功利主義の利用である。功利制度を導入することで行為の具体化、妥当な義務の選択が可能となる。この時、義務論と功利主義はかなり接近する(正確には規則功利主義英語版と)。

しかし、第一に、義務論では功利制度、最大多数の最大幸福による止むを得ない犠牲(他の義務を切捨てた事等)自体は善とされない。第二に、善悪判断に関して、功利主義は目的、結果を評価するのに対し、義務論は意志、動機を評価する。これらのため、義務論と規則功利主義とは根本的に異なる。

義務論はその他の諸理論にある「行為の目的」という物を排し、どんな場合でも無条件で結果を考慮せず道徳規則に従わせる。


  1. ^ 動機説 - コトバンク
  2. ^ 規範倫理学の学説”. 東京大学. 2006年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月24日閲覧。


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