第51回全国高等学校野球選手権大会決勝 疑惑の判定

第51回全国高等学校野球選手権大会決勝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 15:34 UTC 版)

疑惑の判定

延長15回裏のカウント1-3からの5球目は誤審ではないかとの認識が試合中から存在。さらには試合後優勝した松山商の監督と球審を務めた審判が同じ明治大学野球部の先輩後輩の間柄だったことから球審が松山商に有利な判定を下したのではとの疑惑も存在し、一部では両者の出身大学をもじって「明大ストライク事件」と呼ばれている[1]。当時、産経新聞の記者だった片岡宏雄はコラムの中で両者の間柄に触れ「誤解を招くような審判構成はあらかじめ避けるべきではないか」と綴っている[2]。実際、審判は都道府県の高野連から推薦され出場しているため日本高野連は審判団が中立に判定できるようにと審判の出身高校や出身都道府県の高校の試合には出場できないようにルールで定められている。しかし、出身大学や先輩後輩などの関係についてはルールで定められていない。

ただ、その試合で捕手を務めた大森光生は「あのボールは、少なくても自分のミットに入った時点では間違いなくストライク。」と主張している。その一方で「どうせならストライクに判定してもらえる可能性を最大限に広げたくて、ミットをど真ん中に構えて、キャッチャーボックスの一番前、ほとんど線上にしゃがんで、ミットをベース上に差し出した。そして、意識して体を傾けて、球審に見やすいようにしたのがよかったと思う。でも、これだけ思い切ったことができたのは、打者に全く打つ気が感じられなかったから。打者が打ってきたら間違いなく打撃妨害になっていただろう。」と振り返っている[3]

その後

引き分けの決まった時、街頭テレビでそれを見届けたひとりの男性のこぼした言葉が、この試合を象徴するものとして報じられた――「良かった、どっちも負けなかったんだな」

  • 36個0を並べた名勝負
  • 半分に分けれぬものか優勝旗

などの川柳が、この試合について詠まれた。三沢ナインは5人が幼少から同じチームで野球を始め、駐留米軍の子弟相手に練習試合を行い力をつけていた。三沢高校ではこの試合を顕彰する記念碑を建てることになったが、この碑に野球部員たちの名を刻むことには、当時の校長が反対した。「それでは、あの延長18回の、という重荷をこれからずっと彼らに負わせてしまうことになる」という判断からだった。三沢高校の校庭に建つ同碑には、詩人サトウ・ハチローによる三沢ナインをたたえる詩が刻まれているが、当時のナインの名前は入っていない。

1994年7月17日に当時のメンバー(松山商業9人、三沢7人)が驚きももの木20世紀の収録のため甲子園を訪れ、25年ぶりに再会を果たした。両校のメンバーが対面するのは1969年の決勝戦引き分け再試合以来これが初めてであった。この模様は同年8月12日に放送された。

1999年11月6日に当時のメンバー達が甲子園に集まり試合を行った。結果は13-8で松山商OBが勝利した。

この試合を記録したスコアブックが2007年末に松山商業高校内で発見された。翌年2月5日より坊っちゃんスタジアム内にある野球歴史資料館「の·ボールミュージアム」で展示されている。

2012年東奥義塾高OBの陸羯南と松山市出身の俳人正岡子規に親交があった縁、そして同校創立140周年を記念し、6月3日に両校の現役野球部員の対戦が弘前運動公園野球場で実現した。結果は9-3で松山商が勝利した。

当時の試合の本放送(カラー放送)は映像が現存していないが、2014年、両試合を実況したNHKの羽佐間正雄アナウンサーにより、モノクロの家庭用ビデオで収録された両試合のすべての映像テープがNHKへ提供された[4]。なお、再試合での松山商の優勝を伝えるニュース画像は、鮮明なカラーのニュース取材用フィルム映像で現存している。


  1. ^ 疑惑の名勝負大全 86、87ページ ミリオン出版社
  2. ^ 疑惑の名勝負大全 87ページ ミリオン出版社
  3. ^ 高校野球珠玉の名勝負&名場面ベスト100 32ページ ベースボール・マガジン社
  4. ^ NHK番組発掘プロジェクト通信 No.313 伝説の甲子園決勝!引き分け再試合、全中継を発掘!(2022年8月5日)、NHK番組発掘プロジェクト


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