積極思考 影響

積極思考

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/30 15:31 UTC 版)

影響

自己啓発

積極思考を説く自己啓発本は、アメリカでも日本でも常にベストセラー上位に食い込んでいる。程度の低いジャンルとして揶揄の対象になっているが、発行部数の多さ、大衆化したセラピー文化の一形態として、無視できない存在であり、マナーや掃除、整理法などカテゴリを拡大し続けている[18]。子供向けにも見られ、2014年にイオンで発売された本田圭佑の『夢のノート』は、1937年の自己啓発本の古典ナポレオン・ヒル『思考は現実化する』に事実上準拠しており、子供に与えても安全で有益なものと受け入れられているのが分かる[19]

伝統的なキリスト教

ニューソート研究者マーチン・A・ラーソン英語版は、伝統的なキリスト教の面々にまでニューソート的積極思考は浸透しており、現在教会で行われる説教の内容は、カルヴァンルター[要曖昧さ回避]ジョン・ウェスレーにさえ似ているとは言いがたく、(彼らは認めていないが)むしろニューソートに近いと指摘している[20]。神学者・牧師の青木保憲は、プロテスタントの主張である福音主義的見地から見ると、「人は生まれながらにして罪人」であるとする原罪とキリストの磔刑による救いと、「私たちの中にある素晴らしい価値に気が付きなさい」というメッセージを発する自己啓発本の思想とは逆のものだが、聖書に基づいたメッセージの中に「自己啓発」的な積極思考が入り込んでおり、有効な伝導のツールになっていると述べている[21]

マルチ商法

ネットワークビジネス(マルチ商法)は、販売員のモチベーション向上のために積極思考を研修やトレーニングに取り入れており、積極思考を組織的に学び、それをビジネスや人生で実践しようという集団、積極思考のコミュニティのようなものになっている[22]


  1. ^ 小池 2007, pp. 35–36.
  2. ^ a b c d WHAT IS LAW OF ATTRACTION HISTORY? Power Law of Attraction
  3. ^ 加藤 2015, pp. 135–138.
  4. ^ a b c 小池 2007, pp. 39–40.
  5. ^ a b c d The negative power of positive thinking”. ワシントンポスト (2014年4月12日). 2018年3月25日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j アンダーソン 1998, p. 289-291.
  7. ^ The (Other) Secret The inverse square law trumps the law of attraction Scientific American
  8. ^ Benjamin Radford The Pseudoscience of 'The Secret' Live Science
  9. ^ a b c d アンダーソン 1998, p. 249-250.
  10. ^ アンダーソン 1998, p. 268-269.
  11. ^ a b アンダーソン 1998, pp. 270–272.
  12. ^ a b アンダーソン 1998, p. 268.
  13. ^ a b c d 加藤 2015, pp. 144–146.
  14. ^ a b c 加藤 2015, pp. 150–151.
  15. ^ a b 加藤 2015, pp. 156–157.
  16. ^ a b c d Jane Lampman 'The Secret,' a phenomenon, is no mystery to many The Christian Science Monitor
  17. ^ 加藤 2015, pp. 142–143.
  18. ^ 小池 2007, pp. 35–37.
  19. ^ 加藤 2015, pp. 136–138.
  20. ^ 小池, 2007 & pp74.
  21. ^ 青木保憲 神学書を読む(10)ノーマン・V・ピール著『新訳 積極的考え方の力―成功と幸福を手にする17の原則』 クリスチャントディ
  22. ^ 小池 2007, pp. 37–41.
  23. ^ What's Wrong with The Secret”. Skeptoid Media (2008年4月15日). 2018年3月2日閲覧。
  24. ^ 加藤 2015, pp. 148–149.
  25. ^ 加藤 2015, p. 146.
  26. ^ a b エーレンライク 2010, pp. 224–225.
  27. ^ Maybe We Should Blame God for the Subprime Mess”. Time (2008年10月3日). 2018年3月25日閲覧。
  28. ^ 加藤 2015, p. 149.
  29. ^ Law of Attraction”. The Skeptic's Dictionary. 2018年2月17日閲覧。
  30. ^ 加藤 2015, pp. 137–138.





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