生態系 様々な生態系

生態系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/09 07:26 UTC 版)

様々な生態系

生態系は広大な森林から小さな池まで様々な大きさのものがある。それぞれの生態系は砂漠や山地、海や川など地理学的な障壁で分離されていることが多い。あるいは、このような障壁で分離されている場合に、その内部をひとつのまとまりと見なしやすい。これらの境界は絶対的なものではないため、生態系どうしが混ざりあう。その結果、スケールの視点を変えることで、地球全体を一つの生態系と見たり、逆に湖をいくつかの生態系に分割したりすることができる。

一般には、見かけのはっきり違う自然環境は、それぞれを独立の生態系と見なす。例えば森林生態系、河川生態系、海洋生態系などと呼ぶ。池沼などは、輪郭がはっきりしているので独立したものと見なすことが可能だが、実際には多くの物質が流入放出され、また多くの生物が出入りする。そのことを前提にして考える必要がある。

生態系を構築する試み

生態系は理想的には外部からの太陽エネルギーの供給のみで、その中に生物群集の生存を維持するしくみと見ることができる。このことは、その群集の構成員として人間を捉えれば、人類が生き延びるしくみそのものである。

たとえば、空想的ではあるが、他の星までの宇宙旅行を考える。当然ながら長い年月がかかるので、その間に必要な食料、水、空気をすべて持参することはできない。これを解決する方法として、当然考えられるのが、生態系を作ればよい、というものである。宇宙船内で植物が育ち、それを食べて動物が育ち、それらの一部を食料とし、排泄物などの処理もそれらに任せるわけである。 想定外の様々なトラブルを起こしながらも、1991年からアリゾナ州オラクルで行われた「バイオスフィア2」をはじめ、実際にこのような意図での実験が行われてもいる。しかし、理論的にはできるはずであるが、実験的にこのような系を構成することは、なかなかに困難であって、次第にバランスを崩すことが多い。これらの実験における失敗例では、分解者などとして機能している微生物の活動量を低く見積もりすぎ、次第に閉鎖環境内の酸素濃度が低下して、実験打ち切りに至っていることが多い。

ところが、構成要素を選択的に決定することを意図しなければ、このような系を作るのは実に簡単である。たとえば藁の煮出し汁などをフラスコに入れ、池の水を一滴垂らす。たちまち細菌類が増殖し、水は濁るが、1週間もすると水は澄んできて、原生動物が出現したことがわかる。そのまま放置すれば藻類ワムシなど、出現種数は次第に増加し、そのまま口を閉じておいても、長い間これらの生物は共存し続ける。これは、ごく簡単な生態系の再現である。なお、この際、瓶の口を綿栓などで覆った場合は空気の出入りは自由になるので、密閉容器内にこれを入れれば真に隔離した系が得られる。この場合、囲い込まれた空気の量が多いほど、安定が長く維持される傾向があるという。内部における微小な変動を弾力的に受けとめられることによるとも言われる。

脚注


注釈

  1. ^ : food web

出典

  1. ^ a b Robert A. Wallaceほか (1988). ウォーレス現代生物学(下). 東京化学同人. p. 740 
  2. ^ a b 大田 2009, pp. 147–152.
  3. ^ A.J.Willis (1997). “The Ecosystem: An Evolving Concept Viewed Historically”. Functional Ecology 11 (2): 268–271. doi:10.1111/j.1365-2435.1997.00081.x. 
  4. ^ a b c d e f g Robert A. Wallaceほか (1988). ウォーレス現代生物学(下). 東京化学同人. p. 741 





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