煙幕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/21 01:00 UTC 版)
発煙装置
発煙装置(smoke generator)によって、非常に大きく持続性のある煙幕が作られる。
発煙装置は、油、または油を基礎とした混合物を熱して蒸発させる機械で、その蒸気と外部の冷たい空気を任意の割合で混合し、コントロールされた液滴サイズを有する非常に濃い霧状の煙を発生させる。
最も単純な設計では、単にヒーター上で廃油を沸騰させるものであった。より洗練されたものとしては、加熱したプレート上に特別に調整されたノズルを用いて油性の混合物、すなわち「フォッグ・オイル」と呼ばれる、重量あたりの隠蔽効果が非常に高い混合物を噴霧する構造である。適切な油を選択し、また、冷却率を緻密に制御することによって、可視光線をさえぎるために理想的に近いサイズの液滴を発生できる。
発煙装置がフォッグ・オイルを供給され続ける限り煙幕は維持され続け、また、多くの発煙装置を同時に使用することで、煙幕の高さをかなりの高度まで広げられる。一般的な例として、50ガロン(189リットル)入りドラム缶ひとつ分のフォッグ・オイルで、60マイル(96.6km)の土地を15分で不明瞭にできる。
ただし、比較的安価に大量の煙を発生することができる一方、発煙装置には多くの欠点がある。装置が発煙を開始するまでには時間約5-10秒ほどの時間を有し、火薬などに比べると非常に反応が遅い。また、装置そのものが煙が覆う地域の間際に位置することが必須となる。装置が重く携帯には向かない。こうしたの問題を解決するために、戦場に広く分散する固定されたポストを用いる方法や、あるいは特別に設計された車両を用いるアイディアが採用された。
発煙装置をトレーラーに搭載したり、車両の荷台に搭載することで機動性を高めたものもある。実際に用いられた車両の例としては、ハンヴィーを改装したM56 コヨーテや、M113装甲兵員輸送車を改装したM58 ウルフ、牽引式の発煙機2型、高機動車を改装した発煙機3型がある。
- ^ “煙幕弾「鳥の子」威力実証”. 読売新聞. 2022年5月1日閲覧。
- ^ “室蘭市における戦災の状況(北海道)1-8.日鉄の鋳造工場の破損状況”. 総務省ホームページ. 2020年1月1日閲覧。
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