心霊主義 現代の心霊主義

心霊主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/28 01:32 UTC 版)

現代の心霊主義

英語圏においては、ウィリアム・ステイントン・モーゼス『モーゼスの霊訓』(1883年、インペラールという未知の上位者の霊によるメッセージとされる)、ウィリアム・トーマス・ステッド『ジュリアの音信』(1914年、亡き友人ジュリア・エイムスのメッセージとされる)、ジョージ・ヴェール・オーウェン英語版『ベールの彼方の生活』(1921年、オーウェンの母と友人たちや守護霊などによるメッセージとされる[40])、ジェラルディン・カミンズ『マイヤースの通信』(1932年、故フレデリック・マイヤーズのメッセージとされる)、グレース・クック『ホワイトイーグル』(初刊1937年、ホワイトイーグルと名乗る聖ヨハネの霊によるメッセージとされる)、モーリス・バーバネル『シルバーバーチの霊訓』(初刊1938年、シルバーバーチという未知の上位者の霊によるメッセージとされる)といった霊媒による霊との交信記録、いわゆる「霊界通信」が次々と出版された。これらを霊界からの重要なメッセージであると考える人々によって研究され、一部は日本語にも翻訳されている。日本の書店では「精神世界」の棚に置かれることが多い。

『シルバーバーチの霊訓』によると、死後の世界は階層的で、地球圏に近いほど、死後の環境が地上に似ている[41]。それが上の界に行くにしたがって、美しさと神々しさを増す[41]。さらに上の界では地上の言葉で表現することが困難になる[41]。心霊主義とは、こうした理解を人類へ促すために、高級霊が中心となって全霊界により計画された運動であるという[42]

死者・未知の上位者から深遠な教えを得るという心霊主義の流れは、特別の能力を用いて霊的・精神的な世界と交流し、そのメッセージを一般人に伝えるチャネリング[43]に通じるものである。神智学の提唱者ブラヴァツキーは、叡智はチベット奥地にあるというシャンバラで受け継がれているとしたが、叡智はどこかに守り伝えられているというスタイルは、のちのオカルトに受けつがれた。見出されるべき真理のありかを宇宙の外だとする傾向が出てきたが、それ以外の神話的パターン、哲学的想定は同じであった[44]

千年王国思想・UFO信仰[45]の新宗教エーテリウス協会英語版など、宇宙人と交信し教えを受ける宗教が見られるようになっていった。1955年には、霊媒が自動書記で多数の地球外生命体、または高次の存在、天界の住人から自動書記によって与えられたメッセージ(イエス・キリストの教えの新しい解釈や啓示を含む)をまとめたという『ウランティアの書英語版』が出版された(この本は現在もUFO系新宗教の信者に熱く支持されている)[46][47]。UFO系新宗教も多数設立されたが、例えばエーテリウス協会は、1954年にジョージ・キング(1919年 -1997年)が、3500歳の異星人マスター・エーテリウスと交信したことから始まった[48]。UFO系の新宗教では、メッセージを伝える宇宙人は「天使のような存在」であり、「キリストやブッダなど過去の宗教家は異星人だった」ともいわれ、宇宙人は距離を問題としない別世界から飛来するともされる[48]

キングによる瞑想状態(彼の場合はヨーガによる)・トランス状態でのコンタクト法は「チャネリング」と呼ばれ、アメリカで一種のブームになり、未知の上位者や太古の霊、宇宙の知的存在(宇宙人、宇宙存在)との交信はチャネリング、交信者はチャネラーと呼ばれるようになった[48]。チャネラーは心霊主義の霊媒に相当する。日本でも「精神世界」ブームの際に、アメリカ人ダリル・アンカ(1951年 - )による地球外知的生命体バシャールとのチャネリング記録などの関連書が翻訳されブームとなった。近年では、さくらももこが装丁・挿絵を担当してヒットしたエンリケ・バリオスアミ 小さな宇宙人』(1995年版のタイトルは『アミ 小さな宇宙人―アダムスキー マイヤーをしのぐUFO体験』、さくらももこが装丁したのは2000年版、2005年文庫版)は、宇宙人アミに理想の社会・生き方を学ぶ本であり、UFO信仰・チャネリングの系統に属する。宇宙人、宇宙存在を奉じる宗教は神智学の影響が見られるものが少なくなく、650万年前に金星から降り立った護法魔王尊を崇める京都鞍馬山鞍馬弘教(1947年 - )も神智学の系統である[49]

また、霊媒カミンズによる「マイヤーズの霊界通信」では「グループ・ソウル」(類魂)説[50]という霊魂説が唱えられ、現在の心霊主義にも影響を与えている。マイヤーズは生前、人間の識閾下の部分(無意識)でのコミュニケーションが存在するに違いないと考え研究したが、自らの思想を死後の世界で深めたものとされる。霊魂はそれぞれグループに属し、生きた体験を自分だけではなくグループ全体で共有しているという考え方である。経験をグループで共有することで、グループ内の個魂は、何度も永遠に生まれ変わらなくても霊的進化の道を歩むことができるという理論で、仏教等に見られる個の輪廻転生とは大幅に異なる[51]。マイヤーズの霊界通信では、ブッダの思想は「生自体の否定」と批判されている[52][53]








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