強制法 強制法の概要

強制法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 06:35 UTC 版)

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直観的意味合い

強制法はより概念的には自然で直観的であるブール値モデルの方法と等価であるが、そちらのほうは応用が利きにくい。

直観的には、強制法は集合論の宇宙 V をより大きい宇宙 V* に拡大することから成り立っている。 この大きい宇宙では、拡大する前の宇宙には無かった ω = {0,1,2,…} の新しい部分集合をたくさん要素に持っている。 そしてそれにより連続体仮説を否定することができる。が、このような議論は表面上不可能である。

原理的には、次のようなものを考える。

で特定し、 の形をした"新しい"集合にも 関係する拡大された所属関係を導入する。

強制法はこのアイデアを洗練したもので、新しい集合の存在を認めて利用するというより、拡大された宇宙の性質を元の宇宙からよりよく操作することを許したものである。

コーエンの元々のテクニックは今ではramified forcing英語版と呼ばれるもので、強制法の説明によく使われるunramified forcingとは少々異なる。

強制半順序

強制半順序は3つ組順序対

(P, ≤, 1)

である。ここで "≤" はP上の前順序関係(広義の半順序)で、以下のsplitting condition(アトムの非存在性)を満たすもの。

任意の pPに対して、sq, r となる sP が存在しないようなq, rp である q, rP が存在する。

1 は最大元である。すなわち、

全ての pP に対して p ≤ 1

P の要素は条件と呼ばれ、

pq

pq より強い

とよぶ。直観的には、これは"小さい"条件がより"多く"情報をもたらしているということである。区間[3.1415926,3.1415927]はπの値について、より広い区間[3.1,3.2]よりも多くの情報を与えている。

(ここで使われる条件は多様である。"≤"に反対称律を求める場合もあり、そのときはこの順序は狭義(広く使われている意味の)半順序である。最大要素の存在を仮定しないこともある。逆順序も利用された。これはシェラハとその共著者の研究でも知られている。)

強制半順序 PP-名前と関連付けられる。P-名前は集合で、

{(u,p):uP-名前 かつ pP}

この定義は超限再帰によるものである。

  • Name(0) = {};
  • Name(α + 1) = (Name(α) × P)の冪集合の定義可能な部分集合;
  • Name(λ) = ∪{Name(α) : α < λ} (ただし λ は極限順序数)

と定義して P-名前全体のクラスを

V(P) = ∪{Name(α) : α は順序数}

と定義する。P-名前は宇宙の拡大の様子を表している。V の要素 x に対して

xˇ

P-名前であり

{(yˇ,1) : yx}.

で定義する。これもやはり超限再帰による定義である。

P の部分集合 G に対して、解釈 とか 付値 というのは、名前に対する関数で

val(u, G) = {val(v, G) : ∃ pG , (v, p) ∈ u}.

と定義する(この定義も超限再帰による)。ここで、もし 1 が G の要素なら

val(xˇ, G) = x.

となる。

G = {(pˇ, p) : pG},

と定義すると、

val(G,G) = G.

となる。強制半順序の良い例が

(Bor(I) , ⊆ , I ),

である。ここで I = [0,1] であり、Bor(I) は Iのボレル部分集合で非零ルベーグ測度を持つもの全体である。この場合、半順序の条件は確からしさを表していると説明され、Bor(I)-名前は所属関係を確率的な意味で割り当てる。この例でも得られている確率的言語の考えは他の強制半順序でも使われる。







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