国鉄EF80形電気機関車 軽軸重・直流化改造構想

国鉄EF80形電気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/04 07:57 UTC 版)

軽軸重・直流化改造構想

本形式を直流専用機に改造する計画が立案された[2]が、実現には至らなかった。詳細は下記の通りである。

経緯

製造後13 - 14年が経過した1970年代半ばになると、本形式は交流機器および周辺部の劣化が目立つようになり、故障件数も直流機関車の平均値の2倍にまで達するようになってきた。しかし抜本的な対策を行うには経費がかかるため、改修は容易ではなかった。一方で地方線区の中には、線路等級の問題(軸重制限)から標準形機関車の入線が困難な路線も多く、旧形式機関車の老朽化が進みながらもその淘汰は遅れていた。

そこで当時の国鉄大宮工場が着目したのが、本形式に採用された軽軸重化の仕組みである。製造時に交流機器の軽量化が困難であったために軸重軽減のため1台車1モーター方式が採用された本形式から交流機器や電暖用発電機を撤去し直流機とすれば、軸重が軽くなり地方線区への転用と交流機器撤去により劣化故障問題も同時に解決が可能となる見込みであった。

置き換え対象については、すでにED62形の落成が見込まれていたためこれによって置き換えられるED18形ED19形は除外され、EF10形EF12形が対象とされた。

改造内容

概要は下記の通りである。

  • 撤去対象機器の総重量は17.3 tであり、撤去後の軸重は当時最も条件の厳しかった飯田線飯田 - 辰野間)の軸重13.6 tをクリア。
  • 重量軽減による影響を抑えるため、台車の改造やブレーキ率を変更。
  • トンネル断面の小さい身延線等への入線も考慮して、パンタグラフをPS19形からPS17形へと変更し、設置位置を車体中心寄りの屋根上としたうえで屋根をフラット化。また主抵抗器冷却風道の形状を変更。
  • 一部消耗品の新形式への変更など体質改善工事を実施。

注釈

  1. ^ 量産型交直両用機関車としては、EF30形もこの方式を踏襲している。
  2. ^ 勝田 - 高萩間が1962年10月1日に、高萩 - 平間が1963年5月1日に電化開業である。
  3. ^ 1次形の一部車両は、田端所属のまま1962年 - 1965年に勝田区へ貸し渡しとされていた。
  4. ^ 1970年代後半に内郷配置車数両が福島機関区に転属している。
  5. ^ 既にこの時点で初期車の多くは廃車となっており、内郷区所属車でも状態の悪い車両は既に廃車となっていた。

出典

  1. ^ 渡辺健志「北関東の片隅で…内郷区のEF80と水戸線」ネコ・パブリッシング『国鉄時代』2007年11月号 p118-120
  2. ^ 電気車研究会『電気車の科学』1976年8月号
  3. ^ a b c 笹田昌弘 イカロスMOOK『保存車大全コンプリート 3000両超の保存車両を完全網羅』 イカロス出版 全カテゴリー保存車リスト P220
  4. ^ a b 新井正「EF15 192・EF80 36解体」 イカロスMOOK『電気機関車EX Vol.6』2018 Winter イカロス出版 P82
  5. ^ 沖田祐作 『機関車表 フルコンプリート版』DVDブック ネコ・パブリッシング P2985
  6. ^ 三浦衛 『鉄道ジャーナル』1999年7月号 鉄道ジャーナル社 「RJ FRASH 碓氷峠鉄道文化むらオープン」 P99
  7. ^ 沖田祐作 『機関車表 フルコンプリート版』DVDブック ネコ・パブリッシング P2983
  8. ^ (2013年の展示について)『鉄道ダイヤ情報』2013年7月号 交通新聞社 NEWS FILE DOMESTIC P74


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