剛田武 概要

剛田武

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 23:13 UTC 版)

概要

同級生に暴行したり漫画オモチャなどを奪ったりするなど乱暴な人物。作中では特にのび太をいじめることが多い一方で、義理固く涙もろい一面の持ち主であり、特に映画版では後者の性格が強調される。ガキ大将と言われているが、腕力でのび太・スネ夫を従わせているだけである。

ほかの主要キャラより大柄な体格と高い運動能力を持つ。それに対し勉強は苦手である。

主な趣味は歌であるが聞くに堪えないレベルの音痴。それにもかかわらず自身の歌を空き地で披露する「ジャイアンリサイタル」に同級生を強制参加させ、周囲に嫌がられている。

実家は個人商店の「剛田商店[注 1]」。時折実家は八百屋という設定で書かれている書籍などもあるが、原作では卵や缶詰を売ったり、カボチャなどの野菜を売ったりする描写があり、アニメでは食品や調味料以外に金物やティッシュなども扱っている商店となっている。そのため八百屋だという明確な描写は無い。家族は母ちゃん、妹のジャイ子、およびほとんど登場しない父ちゃん。母ちゃんには頭が上がらず、いじめやリサイタルなどの騒動を起こしては母ちゃんから「たけし!」と怒られる描写が目立つ。ジャイ子を溺愛しており、彼女に手を出す者は容赦しないほど、妹思いな一面もある。

将来の夢は歌手であるが、『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』ではスーパーマーケットの経営者になっている。

はじめは「ジャイアン」という名前だけだったが、読者から「なぜ名前がないのか」という問い合わせが相次ぎ、名と誕生日が当時アシスタントだったえびはら武司からとられた[2][注 2]

外見

登場キャラクター中、子供では最も長身。右目が大きく左目が小さい“ガチャ目”がち(表情によって強調されて描かれる程度)で団子鼻。常に茶色のセーターと黒の長ズボン姿(映画「のび太の創世日記」序盤では半ズボン姿。その他、夏である事が描かれている話などでは半袖姿であったりする)。

前髪は1979年から1985年まではアニメオリジナルの丸まった感じだったが、1986年以降現在まで、原作に準じたとがっている感じになった。

目についても、1979年以来、原作と違って白目があり、黒目が小さかったが、2005年の声優リニューアルを機に、原作に準じた、中央が白い黒目がちの目に改められた。2010年代以降は怒った時に黒目が小さくなることがある。2017年に再度キャラクターデザインが改められてマイナーチェンジされてからは、最初は黒目で描かれることがあったが、途中から白目で描かれることが多くなった。

肌の色は漫画ではのび太達と同じ肌色であるが、アニメでは褐色になっている(なお、父親も肌の色が褐色)。

性格

とても短気で喧嘩っ早い言動が多く、「お前の物はオレの物、オレの物もオレの物」というセリフ(ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「尺には尺を」に似たものがある[3])に代表されるように、きわめて自己中心的・自分勝手である(これに由来した「ジャイアニズム」という言葉が存在する)。一方で義理固く涙もろい一面の持ち主であり、「心の友よ![3]と泣きながら叫んで抱きつく事もある(ただしドラえもんの道具の利益を期待している時などにも「心の友よ!」とすがりつくなど押し付けがましい面を見せることもある)。また、大長編シリーズでは義侠心に富んだ性格が強調される。

短所

殴る、蹴るなどの暴行

「ムシャクシャしている」という理由だけでよくのび太やスネ夫に八つ当たりしている。「この野郎」などの罵詈雑言を浴びせながらクラスメイト(特にのび太やスネ夫)に暴力を振るう、相手が怪我をするまで容赦なく痛めつける、バットで十数発も殴りつける[4]などの暴力を平然とふるうという容赦ない一面も持っている。ジャイアンひとりでドラえもんやのび太たち4人に殴りかかることもある[5]。また、「のび太を1日1回殴らないと飯が不味い」と言ったこともある[6]。格闘技や武術の真似事を始めると「腕試し」と称して、技を使わずとも楽勝なのび太を強制的に相手に選ぶ[7]等、現代では暴行罪傷害罪になる警察沙汰になる行為を平気で日常茶飯事として行う。

なお、暴力の対象はのび太達同級生だけでなく、小さい子供や動物も含まれており、頭に包帯を巻くほどの怪我を負わせたり、子犬を蹴飛ばしたり、猫をゴミバケツに閉じ込めるといった行動を取る。ジャイアンが悪さをした後、その子供の親や動物の飼い主に怒られたり、親犬に袋叩きにされる事もあった[8]等。

これらの行為をしている所を母ちゃんに見つかって母ちゃんからお仕置きを受け、強制的に退場させられるパターンが多い。逆に叱らなくなると、それをいいことにして乱暴をさらにエスカレートさせていた[9]

強奪

登場人物の中ではスネ夫が被害にあうことが最も多い。その手口は強引に他人の漫画やおもちゃ、おやつなどを取り上げ、「お前のものはオレのもの、オレのものもオレのもの」と叫んで自分のものにする、というものである。執念深く、欲しい物があると持ち主にしつこくくれるよう頼む[10]。借りた物が壊れたりしない限り自分から返すことはほとんどなく、催促されると開き直って怒るので友人たちはひみつ道具に頼って取り戻すことになる。当人曰く「返さないのではなく永久に借りておくだけ[11]」「いつ返すか決めてないだけ[12]」。

場合によっては奪った物や借りた物を返す事もあるが、物が壊されたり、汚された状態で戻ってくる為、ちゃんとした状態で返す事は少ない。

その他の短所

  • のび太がしずかの家に行こうとしているのを単独で邪魔したり[13]、スネ夫と共に邪魔することがしばしばある[14]
  • スネ夫と共におつかいをしている途中ののび太にいたずらを仕掛け、のび太がママに叱られる原因を作ることもある[15]
  • スネ夫からラジコンを奪い、ラジコン機が民家の敷地などあらぬ方向に行ってしまうと、「おれ、知〜らない」といってプロポだけをスネ夫に突き返して逃げたり、ジャイアン自身の問題であるにもかかわらず、嫌な事をのび太に押し付けるなど、無責任な面もある。
  • 未来の道具で世界征服を目論んだり[16]、「逆らうものは死刑!アハハ、いい気持ちだ」と発言する[17]など、独裁者的な心理描写もある。
  • いつもは威張っているが、自分に責任があると感じた場合や大勢から追い詰められると弱腰になったり、泣いて許しを請うなど、小心になることもある。
  • 基本的にはしずかに暴力を振るうことはなく、威圧的な態度を取ることも少ないが、のび太達から誕生日を渋々祝われていると感じた際はしずかも例外なく家から追い出す描写もある[18]
  • ひみつ道具を上手に使いこなしたり、ひみつ道具の能力を調べるのび太達(のび太、静香、スネ夫、出木杉)とは違い、ジャイアンにはそのような描写がない。ジャイアンの場合はよく考えずにデタラメに弄ったり、力任せに道具を使用する為、この行動が周りの人や建物に被害が及ぶ原因の一つとなっている。ジャイアンによるひみつ道具で主に被害に遭っている人物はスネ夫であり、ジャイアンの行動で巻き添えを食ったり、ジャイアンに本心を見抜かれて袋叩きに遭った事がある。ジャイアンの家も被害の対象になっており、しずめ玉で地中に沈んだり、材質変換機で家の材質がビニールになってしまったり、ねじ式台風のねじの巻き過ぎによる小型台風で庭が滅茶苦茶になる等の被害に遭っている。なお、騒動後はジャイアン自身がひみつ道具で痛い目に遭ったり、母ちゃんに怒られる事が多い。
  • 前述のようにのび太達小学生の間では圧倒的暴力で恐怖の対象であるが、その強さは決して小学生の範疇を超えておらず、両親や先生に逆らえないのは無論の事、中学生か高校生の不良にカツアゲされて怯えたり[19]、大人の浮浪者に「税金」と称した上納金を取られても何も出来なかったり[20]と、年上相手だと弱さを見せる事も多い。相手がのび太でも、タイムふろしきで10年後の姿になったのび太には相撲を取っても敵わず[注 3]、その後無理矢理ジャイアンズの野球の試合に参加して凡退を繰り返す大人のび太に抗議したところ「ゴシャゴシャ言うな! 子供のくせに大人にさからうのか!?」と脅されて「さからいません。」と怯えている[21]

長所

藤子・F・不二雄ミュージアム発着バスに使用されているジャイアンのイラスト(右端)

普段はとても短気で喧嘩っ早い程の粗暴な性格であるが、ドラえもんやのび太など主要キャラがピンチに陥ったときには心配したり、助けたり、涙ぐんだりするなどし、内面では彼らを親しい友人とみなしている事がわかる。

たとえば風邪をひいたのび太を本気で心配したり[22]、ドラえもんの力を借りられず追い詰められたのび太を助けるために共闘したこともある[23]。もしもボックスの効力でのび太がアメリカへ引越しをすることになった際には、誰よりも早くのび太の家へ駆けつけ涙を流して、今まで虐めてきたことを謝罪し、今までの分、自分を殴らせた[24]

大長編シリーズでは特にその体格ゆえに男気溢れる性格が顕著で、命を賭して友達を守ろうとするなど仁侠的な印象が強い[25]

連載初期にはこうした性格が固まりきっておらず、ドラえもんとの別れを嘆くのび太をからかっていじめたこともあるが[26]、映画『帰ってきたドラえもん』ではドラえもんが未来から帰って来た直後、のび太の心を傷付けた事を謝ろうとどら焼きを持ってしずかとスネ夫と共に野比家に来ていた。

またこうした性格が行き過ぎてかえって迷惑になることもあり、のび太が家出した時にはそれを支援するためスネ夫に強制的に協力を求め[27][注 4]、おじさんの話に感動しのび太の押しかけボディーガードとしてつきまとった[28]

他者を思いやる行為に弱く、涙もろい面もある。学業こそ怠るものの強くなりたいという意思もあり、自身で身体を鍛える努力家の一面も併せ持っている[28]

非常に妹思いであり、妹のジャイ子に対しても優しく、彼女を泣かしたり、傷付ける者は友人であろうと怒りを見せる。ジャイ子が漫画のスランプで落ち込んでしまった際は、ドラえもんやのび太に頭を下げて助けを求めた事もある(ただし言うことを聞かない時にその都度脅しをかけてくる)。アニメ第2作第1期の後期では、ドラミという妹を持つドラえもんとは同じく妹を持つ兄として共感し合う場面もあり[29]、アニメ第2作第2期ではジャイ子とドラミがスネ夫とスネ吉に会っている場面をドラえもんと共に知った際は同じ妹を持つ兄としてドラえもんと手を組んで一緒に様子を探ったり、勘違いでジャイ子とドラミが泣かされたと思い込んだ時もドラえもん共々激昂してスネ夫とスネ吉を痛い目に遭わせている[30]。子守りロボットのドラえもんよりも子守りも上手く、面倒見のいい所もある。

その他の性格的特徴

のび太やスネ夫、しずかなどがそれなりに親に反抗しているシーンがあるのに対し、ジャイアンは親への反抗心を抑えている所もあり、店番をさぼろうとしたり陰で悪口を言うなどして、ストレスを発散したこともある[31]

泣き上戸の気があり、酔っ払うと女口調のおとなしい性格になり、酔っ払うと酒癖が悪くなるスネ夫に散々殴られ、これまで奪ってきたおもちゃや漫画を返させられた[32]








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