信号保安 信号機

信号保安

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/26 06:23 UTC 版)

信号機

ほとんどの鉄道では、信号機が路側に立てられて、運転士に前方の路線が開通しているかどうかを伝え、列車の間隔を十分空けるために用いられている。

機械式信号機

最初期の信号機は、現示を物理的な動作で示していた。最初期のものは、運転士から見えるように正対して向けるか、線路に平行した向きに向けて運転士から見えないようにするか、回転させることができるボードであった。この方式の信号機は現在でもフランスドイツなどいくつかの国では使用されているが、機械式信号機として世界的に普及したのは腕木式信号機である。腕木式信号機には角度を変えることができる腕が備えられている。水平な腕が停止現示など、最も制限的な指示を伝える。

機械式信号機は、信号扱所のてこからワイヤで接続されて遠隔操作されることが一般的であるが、人間の力で動かすには遠すぎる場合には電動式や油圧式の装置も用いられる。

色灯式信号機

現代のほとんどの鉄道では、色灯式信号機が機械式信号機を置き換えている。色灯式信号機は昼でも夜でも同じ現示方式を使用することができ、機械式信号機に比べてメンテナンスの手間が少なく済む。

ルートシグナルとスピードシグナル

イギリスの鉄道信号はルートシグナルの原則に基づいている。一方で、世界中のほとんどの鉄道のシステムはアメリカが考案したスピードシグナルの原則に基づいている。

ルートシグナルでは、運転士は列車の進行する進路に基づく信号機を見る(進路が1つしかない場合は信号機も1つである)。信号機に設置された進路指示器を見ることで進路を知ることができる。運転士は、あらかじめ学習しているその進路の制限速度か、あるいは線路脇の速度制限標識に基づいて、進入する進路に応じた速度で列車を走らせる。この方式の欠点は、運転士がよく知らない路線に乗務する時にはその進路に応じた速度が分からないということである。この欠点ゆえに事故も起きている。

スピードシグナルでは、運転士は列車がどの進路に入るのかは知らされず、単に許容する速度が信号機に表示されるだけである。スピードシグナルを採用する場合には、ルートシグナルに比べて信号現示の段数を増やす必要があるが、運転士の路線に対する知識に頼らずに済む。

接近現示

列車が本線に比べて速度がかなり制限される進路へ進入する場合には、事前に適切な警告を運転士に伝える必要がある。スピードシグナルでは、分岐先の進路に応じた信号現示が行われるので、接近現示は必要ではない。

ルートシグナルでは、制限速度を伝達する現示は存在しないので、接近現示(approach release)というシステムが用いられている。接近現示では、分岐点の信号機は常に最も制限的な現示(通常は停止現示)が表示される。これによりその手前の信号機は注意現示になる。運転士はこの注意現示を見て、実際に分岐進路に進むかどうかによらず減速する。列車が実際に分岐点の信号機に接近すると、現示が進行(もしくはその先の進路の在線状況に応じた現示)に変わる。

分岐器の制限速度がほとんど本線の速度と同じである場合には、この仕組みは不必要である。


  1. ^ サミュエル・モールスが符号を考案し、実用的な電信技術が確立されるのが1860年代、グラハム・ベルにより電話が実用化されるのが更に遅れること10年の1870年代。





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