三菱・4G6型エンジン
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4G67
4G67は、排気量1,836ccのDOHC 16バルブエンジンである。登場年度は比較的古く、1989年に6代目ギャランの1.8Lモデルのエンジンとして登場している[15]。サイレントシャフトが搭載されたエンジンではあるが、4G61と同じく末端にBが付く略称は命名されなかった。愛称もシリウスではなくサイクロンが与えられている。4G67を搭載された車両は1.8Lと公称しており、実質的な4G62の後継エンジンにあたるものであるが、ごく僅かながらボアが拡げられているため、4G62とは別の形式番号が割り振られている。現在では4G9型に役割を譲る形で生産を終えている。
性能諸元
- 内径×行程: 81.5×88mm
- 圧縮比 : 9.2:1
- 最高出力(ネット) : 135PS(99kW) / 6,300rpm
- 最大トルク(ネット) : 16.2kg・m(158.9N・m) / 4,500rpm
- 燃料供給装置 : ECI-MULTI
- 使用燃料 : 無鉛レギュラー
- 上記はE35A型ギャラン ヴィエント のもの[5]
採用車種
- 1988-1991 三菱・ランサー 1.8GTI(輸出仕様、C58A / C68A型)
- 1989-1992 三菱・ギャラン / エテルナ / エテルナサヴァ(E35A型)
- 1990-1992 三菱・コルトIII 1.8GTI(C58A型)
- 1993-1995 ヒュンダイ・エラントラ (現代自動車内では4G67はG4CNの型番が与えられた)
4D68
4D68はシリウスディーゼルとしても知られる、1,998ccのディーゼルエンジンである。4D68は93mmストロークのクランクシャフトと、82.7mm径のシリンダーボアが採用された[3]。静的圧縮比は22.4で、ピストンピンは直径25mmである。サイレントシャフトが搭載されたエンジンではあるが、4D65と同じく末端にBが付く略称は命名されなかった。4D68は自然吸気とターボチャージャーが選択でき、4D65と共に4G6型エンジン車のディーゼル仕様の設定に利用された。なお、4D68は日本国内ではほとんどがディーゼルターボ仕様で、自然吸気仕様はOEM供給のプロトン・ウィラ 2.0Dなど少数に留まる。
性能諸元
- 形式 : SOHC 8バルブ 副室式燃焼室
- 最高出力(ネット) : 67bhp(68PS,50kW) / 4,500rpm
- 最大トルク(ネット) : 123N・m(91ft・lbf) / 3,000rpm
- 燃料供給装置 : 噴射ポンプ
- 使用燃料 : 軽油
- 上記は プロトン・ウィラ 2.0D のもの[16]
採用車種
4D68ターボ(4D68T)
4D68ターボは登場当時は4D65ターボと同じくインタークーラーを持たない仕様であったが、後にインタークーラーが追加され出力がアップした。
性能諸元
- 過給器 : 三菱重工業製TD04-9B / インタークーラー付き
- 最高出力(ネット) : 94PS(69kW) / 4,500rpm (IC無しは88PS)
- 最大トルク(ネット) : 20.0kg・m(196.1Nm) / 2,500rpm (IC無しは18.0kg・m)
- 上記は E57A型ギャラン MU のもの[5]
採用車種
- 1991-1996 三菱・ミラージュ / コルト(4代目、CB8A / CD8A型)
- 1991-1996 三菱・ランサー / リベロ(4代目、CB8A / CB8AR/ CD8A型)
- 1992-1996 三菱・ギャラン / エテルナ / エテルナサヴァ(7代目、E57A / E77A型)
- 1992-1997 三菱・シャリオ / スペースワゴン(N38W / N48W型)
- 1992-1997 三菱・RVR(初代、N28W / N28WG型)
- 1994-2000 三菱・リベロカーゴ(CB8V / CD8V / CB8W / CD8W型)
- 1996-1999 三菱・ランサー / リベロ(5代目、CM8A / CM8AR/ CK8A型)
- 1997–2002 三菱・ミラージュ / コルト(5代目、CM8A / CK8A型)
4G69
4G69は、4G6型の中で最大となる2,378ccの排気量を持つ、SOHC 16バルブのエンジンである。ボアは87 mm、ストロークは100 mmであり、ボア・ストロークと排気量の近い4G64の実質的な後継エンジンにあたる。出力は162 hp (119 kW) / 5,750rpm(ランサースポーツバックワゴンは160PS)、トルクは162 lb・ft(219 N・m) / 4,000rpmである。鋳鉄製シリンダーブロックとアルミ合金製シリンダーヘッドを持ち、マルチポイント式インジェクション、ローラーロッカーアーム、鍛造鋼コンロッド、一体鋳造カムシャフト、アルミ鋳物製インテークマニホールド等の機構が採用されている。また、三菱の可変バルブタイミング機構であるMIVECも導入されている。なお、4G63と同様のインターフェアレンスエンジン[注釈 2]である。
性能諸元
- 圧縮比 : 9.5:1
- 最高出力(ネット) : 165PS(121kW) / 6,000rpm
- 最大トルク(ネット) : 22.1kg・m(217N・m) / 4,000rpm
- 燃料供給装置 : ECI-MULTI
- 使用燃料 : 無鉛レギュラー
- 上記はNA4W型グランディスシリーズのもの[5]
採用車種
- 2003–2011 三菱・グランディス(NA4W型)
- 2004–2006 三菱・ランサー(輸出仕様)
- 2004–2006 三菱・エアトレック (CU5W型)
- 2004–2013 三菱・ギャラン(輸出仕様)
- 2006–2013 三菱・エクリプス(輸出仕様)
- 2009–2013 グレートウォール・ホーバー H5 / X240
- 2011–2013 BYD S6
ノート: 2005年(平成17年)以降、僅かにデチューンされたバージョン(115 kW, 220Nm)が、オーストラリアのランサーで用いられている。
- ^ 三菱ランサーターボ(1979) - ミニミニ東京モーターショー - 東京モーターショーWebサイト
- ^ 1992年式デリカスターワゴンカタログ。
- ^ a b 4D68(E-W) ENGINE 整備解説書
- ^ Bowen, Robert (January 15), How to Build Max-Performance Mitsubishi 4G63t Engines, S-A Design, ISBN 978-1932494624
- ^ a b c d e f g h i j k Goo-net 自動車カタログ
- ^ MITSUBISHI CORDIA-XG
- ^ Cordia GSR Turbo Specifications (Australian Version) - cordiapower.com
- ^ 日本のスポーツ車 1960~1990 第79回 ミツビシ ランサーEX 1800ターボGT(A175型)1981年10月
- ^ Yamaguchi, Jack K. (1985), Lösch, Annamaria, ed., “Japan: Lucrative Contraction”, World Cars 1985 (Pelham, NY: The Automobile Club of Italy/Herald Books): 51, ISBN 0-910714-17-7
- ^ 現代(ヒョンデ)グレンジャーの基礎知識
- ^ Tutte le Auto del Mondo 1990, pp. 565-566
- ^ 1999年05月12日 ふそう小型トラック「キャンター」シリーズ - プレスリリース - MITSUBISHI MOTORS
- ^ 1994 Mitsubishi Galant GS Specs | StreetSpecs.com
- ^ a b 4D65 ENGINE 整備解説書
- ^ Vientoとは?
- ^ Proton Wira - eNotes.com Reference
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